各省庁へきこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望を提出
2026年7月13日、全日本ろうあ連盟理事らが各省庁へ要望書を提出し、意見交換を行いました。また、一部の省庁へは要望書を送付しました。
| 各省庁名・担当課 | 全日本ろうあ連盟出席者 |
|---|---|
| 厚生労働省(7月13日)交渉風景と提出した要望書へ 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 障害保健福祉部 障害福祉課 障害保健福祉部 障害福祉課 地域生活・発達障害支援室 職業安定局 障害者雇用対策課 |
副理事長 中西 久美子 事務局長 小林 泉 福祉労働委員長 吉野 幸代 福祉労働副委員長 内川 大輔 情コミ委員長 藤平 淳一 |
| 警察庁(7月13日)交渉風景と提出した要望書へ 長官官房 企画課 人事課 会計課 総務課 生活安全局 生活安全企画課 交通局 交通企画課 交通規制課 運転免許課 |
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| スポーツ庁(7月13日)交渉風景と提出した要望書へ 参事官(民間スポーツ担当)付 健康スポーツ課パラスポーツ振興室 競技スポーツ課 政策課 企画調整室 文部科学省 大臣官房総務課 |
理事長 石橋 大吾 スポーツ委員長 太田 陽介 スポーツ事務局長 山田 尚人 情コミ副委員長 嶋本 恭規 本部事務所長 倉野 直紀 |
| 総務省(7月13日)交渉風景と提出した要望書へ 自治行政局 選挙部選挙課 選挙部管理課 情報流通行政局 放送業務課 情報流通振興課 情報活用支援室 大臣官房 政策評価広報課 |
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| 国土交通省(7月13日)交渉風景と提出した要望書へ 道路局 高速道路課 企画課 鉄道局 鉄道サービス政策室 旅客輸送業務監理室 物流・自動車局 技術・環境政策課 車両基準・国際課 都市局 参事官(国際園芸博覧会) 都市安全課 街路交通施設課 総合政策局 共生社会政策課 |
副理事長 河原 雅浩 教育文化委員長 堀米 泰晴 教育文化副委員長 宮田 茂樹 国際副委員長 岡野 敏昭 |
| 文部科学省(7月13日)交渉風景と提出した要望書へ 初等中等教育局 特別支援教育課 初等中等教育企画課 総合教育政策局 日本語教育課 国際教育課 男女共同参画共生社会学習・安全課 障害者学習支援推進室 男女共同参画共生社会学習・安全課 共生社会学習企画係 大臣官房 会計課 |
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送付した要望書一覧: 内閣府: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 法務省: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 外務省: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 経済産業省: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 金融庁: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 消費者庁: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について こども家庭庁: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 消防庁: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 出入国在留管理庁:きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 国税庁: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について 文化庁: きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について |
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【 送付した要望書 】
連本第260159号
2026年7月13日
内閣総理大臣
高市 早苗 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.各省庁や全国自治体の担当部局や団体等において、手話言語通訳者等を含めた情報アクセシビリティに要する経費の予算措置を義務化するよう、周知してください。
<説明>
障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)及び改正障害者差別解消法では、あらゆる機関で、その責任においてアクセシビリティに関する環境整備や合理的配慮を提供することを求めています。
法律が施行されてから数年が経っていますが、国や自治体の出先機関を含めた行政機関において、手話言語通訳等を含めた情報アクセシビリティに関する予算措置がされていないことを理由に、「過重な負担」として手話言語通訳等の情報保障の配慮を拒否・または手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に情報保障を自ら手配させることを要請する例は未だに起きています。
手話言語通訳等の利用実績にかかわらず、情報アクセシビリティの環境整備のため、各公的機関で手話言語通訳等の情報保障の予算は、障害福祉関係予算とは別建てで予算化するよう、各省庁・全国自治体部局等へ周知徹底してください。
2.各省庁および全国自治体に対し、手話施策推進法に定められている、手話を必要とする者、手話を使用する者の手話言語の獲得、学習及び利用並びに手話言語による教育に関する施策の実施とそれに必要な予算措置を行うことを、内閣府より周知してください。
<説明>
「手話に関する施策の推進に関する法律」が施行され、手話を必要とする者、手話を使用する者の手話言語の獲得、学習及び利用並びに手話言語による教育に関する施策の実施が国および地方公共団体の責務として求められています。
手話を必要とする者、手話を使用する者にとっての真の共生社会の実現のためには、手話言語を幼少期から獲得でき、学校で手話言語を学習し、手話言語で教育を受けられる機会が保障されること、また、教育・労働・医療・福祉などあらゆる場面で手話言語を使用できる環境が整えられることが必要不可欠です。
「手話に関する施策」は、福祉的配慮にとどまらず、言語的権利の保障という観点から、すべての省庁にまたがる横断的な施策として位置づけられるべきものです。
「手話に関する施策の推進に関する法律」の理念に基づき、各省庁において手話を必要とする者、手話を使用する者の手話言語の獲得、学習及び利用並びに手話言語による教育に関する施策を講じるとともに、それに必要な予算を適切に措置するよう、内閣府より周知・要請してください。
【各省共通項目】
3.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
4.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴省でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、内閣府管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260160号
2026年7月13日
法務大臣
平口 洋 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.民事訴訟における手話言語通訳費用について、公費負担の仕組みを整備してください。
<説明>
昨年の回答では、民事訴訟における手話言語通訳費用は「訴訟費用」として敗訴者負担となること、また、資力が乏しい場合には訴訟救助制度や法テラスの利用が可能であるとの説明をいただきました。
しかし、手話言語通訳を必要とする者にとって、敗訴した場合は手話言語通訳費用を負担しなければならないという事実は、訴訟の提起や訴訟手続の利用を躊躇する要因となっています。
訴訟救助制度や法テラスの利用の有無にかかわらず、司法へのアクセスを保障するために必要な情報アクセシビリティは、本来、公的に保障されるべきです。裁判を受ける権利は、障害の有無にかかわらず等しく保障される基本的な権利です。きこえない、きこえにくい人が必要な手話言語通訳を利用しながら安心して民事訴訟を利用できるよう、手話言語通訳をはじめとする情報アクセシビリティに要する費用について、公費負担の仕組みを整備してください。
2.裁判を傍聴するきこえない、きこえにくい人に対する手話言語通訳者の配置について、最高裁判所の事務連絡の趣旨を徹底し、全国の裁判所で統一的に運用してください。
<説明>
最高裁判所は2024年、裁判を傍聴するきこえない、きこえにくい人に対し、手話言語通訳者を公費で手配することについて事務連絡を発出しています。
しかし、その後も地方裁判所や高等裁判所において、傍聴のための手話言語通訳の申請が認められない事例が生じており、最高裁判所の事務連絡の趣旨が現場で十分に徹底されているとは言えません。
そのため、最高裁判所の事務連絡の趣旨について全国の裁判所へ改めて周知するとともに、裁判所間で対応に差が生じないよう統一的な運用を徹底してください。
きこえない・きこえにくい人が、きこえる人と対等な立場で裁判を傍聴し、裁判の内容を理解できるよう、必要な情報保障を確実に実施してください。
3.全国の矯正施設における手話言語による情報保障の実態を把握し、調査結果に基づく改善計画を策定・公表してください。
<説明>
昨年度の回答では、書面による通知、筆談、補聴器の使用、手話を解する職員の育成努力などが示されましたが、制度上可能であるという説明にとどまり、実際にどの程度運用されているかの実態が示されていません。
特に、手話を必要とする受刑者の人数、手話対応可能な職員数、手話通訳派遣の実績、職員研修の実施状況等の具体的データがなく、現場の状況が把握できません。
ついては、全国の矯正施設における手話言語対応の実態調査の実施と公表、刑務官・職員向け 手話言語研修の義務化と研修実施率の公表、「手話を解する職員の育成・確保に努める」という通知を、数値目標を伴うものに改める(例:各施設に最低1名以上)、「対応要領」の実効性を高めるため、施設ごとの合理的配慮提供状況の点検と改善計画の策定をしてください。
4.手話に関する施策の推進に関する法律の趣旨に基づき、法務省としての手話施策の具体的実施計画(2026年度版)を策定し、明示してください。
<説明>
昨年度の回答では、法律の趣旨を理解している旨は示されたものの、具体的な施策・計画・予算の提示はありませんでした。
法務省としての手話施策実施計画(2026年度)の策定と公表(例:法務局相談窓口の手話通訳常設化、オンライン相談の手話対応、人権擁護機関での手話対応強化、職員研修の拡充)と手話施策に必要な財政措置の具体額と使途の明示、法務省内の各部局における手話施策の担当部署と責任体制の明確化、手話施策の進捗状況を毎年度公表する仕組みの構築、必要に応じた民事訴訟費用制度の法改正等の検討をしてください。
【各省共通項目】
5.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴省関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴省関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
6.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
7.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴省における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴省においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化をしてください。
8.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
9.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴省でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴省でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260161号
2026年7月13日
外務大臣
茂木 敏充 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.東京2025デフリンピックのレガシーを活かし、さらなる情報保障・情報アクセシビリティの拡大及び充実を図ってください。
<説明>
2025年11月に開催された、東京2025デフリンピックではきこえない・きこえにくい人への情報保障と情報アクセシビリティ確保や、国外から多くのきこえない人を迎え入れるにあたり、さまざまな機器が研究開発されました。また、簡易的なコミュニケーション方法として筆談での対応や指さしボードの活用など、大会開催前後で情報保障・情報アクセシビリティがより広まりました。
これらのレガシーを次世代に残し、さらなる共生社会をめざすため、貴省ならびに在外公館等においても、筆談でのご対応や筆談マークの掲示のみならず、積極的に機器の使用や指さしボード等をご活用いただき、国内外のきこえない・きこえにくい人が安心して在外公館を利用することができるよう努めてください。
2.手話施策推進法に基づき、きこえない・きこえにくい人の国際交流や活動への支援を拡大及び充実をしてください。
<説明>
手話施策推進法第17条では、手話を使用する者や手話に関する国際交流の支援その他必要な施策を講ずることが明記されています。この内容に基づき、きこえない・きこえにくい人が国際レベルの会議やイベントへ出席・参加する際のサポートや助成金制度の新設など、支援制度の拡大及び充実をしてください。
3.国際会議等における日本手話言語通訳者及び国際手話通訳者の配置と、配置に向けた国際手話通訳者の養成をしてください。
<説明>
日本政府主催で開催される国際レベルの会議やイベント等において、日本手話言語通訳者と国際手話通訳者を配置してください。また、日本国内における国際手話通訳者の制度はまだ整っていません。アメリカ等の諸外国では、国際手話通訳に関する体系的なカリキュラムを使用した養成が進んでいます。日本でも養成カリキュラムの作成と制度化を進め、国際会議等の情報保障体制・情報アクセシビリティを構築してください。
4.障害者権利委員会の田門浩委員の活動における、手話言語による十分な情報保障支援を引き続き求めるとともに、国連による手話言語及び文字情報の排除に政府として抗議してください。
<説明>
障害者権利委員会の田門浩委員の情報保障に係る、引き続きの側面支援に感謝いたします。
委員としての活躍には、手話言語による情報保障の継続が必要にもかかわらず、国連は財政難を理由に、きこえない当事者の情報アクセシビリティにおける課題を放置し、2026年1月には、上記と同じ理由で会議に必要な国際手話通訳者や字幕等のアクセシビリティサービスを提供できないと、障害者権利委員会に通知しました。
このように、財政難の危機に陥った際には、きこえない・きこえにくい人の情報保障から切り捨てていくという姿勢は、「人権および基本的自由の尊重を促進することについて協力すること」と定められた国連憲章を、国連自らが軽視しています。
選出された委員個人の財政力に左右されることなく、障害のある誰もが委員として活躍できるよう、今後同様の問題が起きた際には、日本政府からも抗議をしてください。また、使途を情報保障に特定した、国連への任意拠出金の拠出を検討してください。
5.国際会議における政府回答に日本手話言語通訳をつけてください。
<説明>
2022年8月の日本政府と障害者権利委員会との建設的対話では、英語字幕及び国際手話通訳がついていましたが、手話言語を公用語としている国の政府は、その国の手話言語通訳者を同行し、政府回答に手話言語通訳をつけていました。日本政府におきましても、障害者権利委員会を含む国際会議において日本手話言語通訳をつけていただくよう要望します。
6.貴省管轄の在外公館及び国内の部署における合理的配慮の実例や実績を公開してください。
<説明>
2023年に貴省から在外公館へ、入り口のわかりやすい場所に「筆談マーク」を掲示するよう指示を出していただきました。世界各国にいる日本からのきこえない・きこえにくい旅行者や、きこえない・きこえにくい在外邦人が訪れやすいよう、実際に掲示をしている在外公館数及び、具体的な実例や実績を好事例として、貴省のホームページ等にて公開してください。
また、適切な支援やサポートが受けられるよう、貴省及び在外公館において、IT機器を通して手話言語オペレーターによる手話言語通訳を受けることができる「遠隔手話サービス」を導入したうえで「手話マーク」を掲示してください。
7.国連が推進している障害者権利条約の内容や、貴省の動画チャンネルにアップされている動画を日本手話言語で発信してください。
<説明>
貴省発信の一部動画の文字化や字幕挿入の工夫に感謝します。
きこえない・きこえにくい者の中には日本語の文章を読むことが苦手な人もいます。手話施策推進法や障害者権利条約の「手話は言語である」の精神に基づき、障害者権利条約の内容や貴省の動画チャンネルにアップされている映像、外務大臣会見などの動画全般に「日本手話言語」を挿入してください。特に外務大臣会見の映像は、日本国内外に住むきこえない者の、一国民としての権利が守られるようお願いいたします。
【各省共通項目】
8.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴省関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴省関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
9.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
10.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴省における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴省においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
11.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
12.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴省でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴省でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260162号
2026年7月13日
経済産業大臣
赤澤 亮正 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.電話リレーサービス及び手話言語通訳者を介した本人確認が確実に行われるよう、事業者への周知と指導を強化してください。
<説明>
昨年度の貴省回答では、電話リレーサービスの周知や業界団体への要請が示されましたが、現場では依然として、電話リレーサービスによる本人確認が拒否される事例が続いています。また、手話言語通訳者を介した電話連絡が「電話リレーサービスではない」という理由で本人確認として認められないケースも多く発生しています。
スマートフォンやタブレットを持たないため電話リレーサービスを利用できないきこえない・きこえにくい人も多く、手話言語通訳者を介した本人確認も認められる必要があります。
つきましては、クレジットカード会社を含む事業者に対し、電話リレーサービスおよび手話言語通訳者を介した本人確認が確実に行われるよう、明確な指導と周知徹底をお願いします。
2.クレジットカード会社に対し、手話言語通訳者を介した電話連絡を「本人による連絡」として扱うよう、明確な基準を示してください。
<説明>
昨年度の回答では「業界団体に伝える」との回答にとどまり、具体的な改善策は示されませんでした。現場では、手話言語通訳者を介した電話連絡が本人確認として認められず、金融機関に回され、手続きに30分以上かかるなど、きこえない人に過度な負担が生じています。
手話言語通訳者を介した連絡も本人の意思表示として扱うよう、クレジットカード会社に、改善を促してください。
3.店舗等のレジ・受付におけるコミュニケーション支援ボードの常置と、きこえない人への接遇研修の実施を、企業・事業者に対して明確に周知してください。
<説明>
昨年度の回答では、小売業界団体の接客マニュアルや支援ボードの普及が紹介されましたが、実際には店舗間の差が大きく、店員の問いかけに気が付けない、内容が理解できないなどの困難が続いています。
マスク着用や外国人店員の増加により、コミュニケーションがさらに困難になっている現状を踏まえ、コミュニケーション支援ボードの常置と、きこえない人への接遇研修を企業に対して周知し、好事例を貴省HP等で公開してください。
4.きこえない・きこえにくい人が学びやすいリスキリング環境を整備するため、情報保障のある学校・講座の好事例を収集し、貴省HPで公開してください。
<説明>
昨年度の回答では、字幕付きコンテンツやチャット対応などの配慮が紹介されましたが、情報保障が不十分な講座が依然として多く、きこえない人が受講を断念するケースが続いています。
きこえない・きこえにくい人のリスキリングを推進する上で、情報保障環境の整備は不可欠です。手話言語での情報保障のある学校・講座の好事例を収集し、貴省HPにて公開するなど、全国的な改善を促してください。
【各省共通項目】
5.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴省関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴省関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
6.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
7.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴省における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴省においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
8.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
9.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴省でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴省でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260163号
2026年7月13日
金融庁長官
伊藤 豊 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.金融機関の問い合わせ先におけるFAX番号またはEメールアドレスの併記を義務化し、きこえない・きこえにくい人の情報アクセスを保障できるよう指導してください。
<説明>
昨年度、貴庁からは「多様な手段を用意することが望ましい」との指針が示されましたが、現場では依然として電話番号のみを掲載している金融機関が多数存在し、きこえない・きこえにくい人が問い合わせすらできない状況が続いています。
金融庁の広報物やホームページでは、FAX番号・メールアドレスや手話リンクを積極的に掲載するとともに、金融機関にも同様の対応を義務化するよう周知徹底をお願いします。
また、キャッシュカード裏面についても、QRコード読み取りの問い合わせ表示が増えていますが、未だ電話番号のみ記載しているところも残っていますので、改めるよう指導してください。
2.電話リレーサービスによる本人確認の確実な運用と、手話言語対応窓口の拡大を金融機関に指導してください。
<説明>
電話リレーサービスは公共インフラとして開始されましたが、金融機関によっては本人確認に利用できないと拒否される事例が続いています。昨年度の貴庁回答では、アンケート調査や意見交換会での促しが示されましたが、実際の改善には至っていません。
また、手話言語対応窓口や遠隔手話サービスの導入は一部の金融機関に限られ、全国的な普及には至っていません。きこえない・きこえにくい人が等しく金融サービスを利用できるよう、電話リレーサービスの確実な運用と手話言語対応窓口の拡大を明確に指導してください。
3.手話言語通訳者を介した電話連絡も「本人による連絡」として扱うよう、金融機関に周知徹底してください。
<説明>
電話リレーサービスが周知される一方、従来のように手話言語通訳者を介した電話連絡を「本人確認できない」として拒否される事例が発生しています。スマートフォンやタブレットを持っていないために電話リレーサービスを利用できない人も多く、手話言語通訳者を介した電話連絡を本人の意思表示として認めることは不可欠です。昨年度の貴庁回答では代理人対応の事例が紹介されましたが、手話言語通訳者を介した連絡の扱いについては明確な指導が示されていません。全国の金融機関に対し、手話言語通訳者を介した電話連絡を本人による連絡として扱うよう周知してください。
4.インターネットバンキングにおける電話音声による認証に代わる方法を、すべての金融機関で導入するよう働きかけてください。
<説明>
インターネットバンキングの利用において、ワンタイムパスワードの有効化などで電話音声による認証が求められる場合があり、きこえない・きこえにくい人が利用できない状況が続いています。昨年度の貴庁回答では一部の好事例が紹介されましたが、全国的な導入には至っていません。SMSや生体認証、アプリ通知等の電話音声に依存しない認証方法をすべての金融機関が導入できるよう、貴庁として更に働きかけてください。
5.ATM利用時のトラブル対応について、電話以外の問い合わせ手段を標準装備するよう指導してください。
<説明>
ATMでトラブルが発生した際、緊急電話しか連絡手段がないため、きこえない・きこえにくい人は問い合わせができません。昨年度の貴庁回答では一部の好事例が紹介されましたが、全国的な標準化には至っていません。タッチパネルによる文字送信、非常用ボタンの設置、画面上でのチャット機能など、電話以外の連絡手段をATMの標準装備とすることや、ATM開発時には、きこえない・きこえにくい人へのヒアリングを行うよう金融機関に指導してください。
6.金融機関窓口における手話言語対応の標準化と、手話マーク・筆談マークの掲示を促進してください。
<説明>
遠隔手話サービスや手話言語対応職員の配置は一部の金融機関で進んでいますが、全国的な普及には至っていません。昨年度の貴庁回答では好事例が紹介されましたが、任意の取り組みでは改善が進まないことが明らかです。
きこえない・きこえにくい人が安心して窓口を利用できるよう、手話言語対応の標準化と、手話マーク・筆談マークの掲示を全国の金融機関に促進してください。
きこえない者の情報アクセス、コミュニケーション保障の観点から、金融機関への問い合わせ先に、電話番号だけでなくFAX番号もしくはEメールアドレス、手話リンク掲載の義務化を講じてください。
全日本ろうあ連盟で作成したマーク


手話マーク・筆談マークについて(全日本ろうあ連盟)
https://www.jfd.or.jp/2016/12/01/pid15854
【各省庁共通項目】
7.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴庁関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴庁関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
8.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
9.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴庁における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴庁においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
10.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
11.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴庁でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴庁でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260164号
2026年7月13日
消費者庁長官
堀井 奈津子 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.電話リレーサービス及び手話言語通訳を介した本人確認が確実に行われるよう、事業者・法人等への周知と指導を強化してください。
<説明>
昨年度の貴庁回答では、電話リレーサービスの周知や「対応指針」に基づく運用を促すとの回答が示されました。しかし、現場では依然として、電話リレーサービスによる本人確認が拒否される事例や、手話言語通訳を介した確認が「電話リレーサービスではない」という理由で認められない事例が続いています。 電話リレーサービスは公的インフラであり、手話言語通訳を介した本人確認も合理的配慮として認められるべきものです。
つきましては、事業者・法人等に対し、電話リレーサービス及び手話言語通訳を介した本人確認を確実に実施するよう、明確な指導と周知徹底してください。
2.消費者庁及び所管事業者における相談窓口のアクセシビリティ向上のため、FAX・メール・チャット・手話言語対応(手話リンク)など多様な手段を標準化してください。
<説明>
昨年度の回答では、「対応要領」「対応指針」に基づき多様な手段を用意することが望ましいとされましたが、現場では電話番号のみの窓口が依然として存在し、きこえない・きこえにくい人が相談できない状況が続いています。 相談窓口のアクセシビリティは「望ましい」ではなく「必須」であり、FAX・メール・チャット・手話言語対応(手話リンク)など、多様な手段を標準化する必要があります。 貴庁におかれましては、所管事業者に対し、相談窓口のアクセシビリティ向上を明確に指導してください。
【各省共通項目】
3.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴省関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴省関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
4.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
5.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴省における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴省においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
6.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
7.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴省でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴省でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260165号
2026年7月13日
こども家庭庁長官
渡辺 由美子 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.難聴児支援中核機能強化事業における当事者団体を含めた福祉と教育の横断的な連携体制を推進してください。
<説明>
難聴児支援は「早期発見→早期支援→教育→社会参加」までを見据えた切れ目のない支援体制が不可欠であり、福祉・医療・教育の分野を横断した連携が求められます。しかし現状では、情報共有や支援の継続性が十分に確保されていない地域もあります。
特に、難聴児支援中核機能強化事業は福祉・医療分野を中心に進められることが多く、教育行政は協力機関としての関与にとどまっている例もあります。乳幼児期の支援から学校教育への移行において、子どもの言語発達や学習支援に必要な情報が引き継がれず、支援の継続性が懸念されます。
貴庁及び文部科学省は「切れ目のない支援体制の構築」を政策目標として掲げています。つきましては、難聴児支援中核機能強化事業における教育行政の主体的な参画の推進とともに、当事者団体を含めた福祉・医療・教育の分野を横断した連携体制を構築し、きこえない・きこえにくい子どもとその家族が、地域において切れ目のない支援を受けることができる環境の整備をしてください。
2.全国的な聴覚障害児支援ネットワークを構築し、難聴児支援中核機能強化事業の実態把握と情報共有を推進してください。
<説明>
現在、各自治体で実施された難聴児支援中核機能強化事業に関する報告書等が公表されていますが、これだけでは支援に関するノウハウや課題が自治体間で十分に共有されているとはいえません。
「難聴児支援に係る中核機能の質の向上に関する調査研究」(厚労省令和5年度障害者総合福祉推進事業)においても、地域ごとに中核機能の運営体制や専門人材配置、関係機関との連携状況等に差があり、全国的な情報共有や支援のノウハウの展開が課題であることが示されています。
全国的な聴覚障害児ネットワークを構築し、各自治体における難聴児支援中核機能強化事業の実態把握や情報共有を推進するとともに、自治体からの相談対応、支援に関するノウハウの蓄積と展開、人材育成等を行うための体制を整備してください。併せて、全国どこでも偏りなく必要な支援や情報が得られる環境づくりを推進してください。
3.旧優生保護法補償金等支給法に基づくすべての被害者に対する補償と優生思想の根絶に向けた恒久対策を進めてください。
<説明>
「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律(以下、「補償法」という)」制定後の1年間の補償金申請相談は、2026年3月末時点で7,475件となっており、優生手術被害者数約2万5千件、優生上の理由による人工妊娠中絶被害者数約5万9千件(厚労省)と比較しても、非常に少ない数字であることがわかります。高齢の被害者も多いため、一日も早く謝罪を届けるとともに補償を実現すべく、以下の各施策を検討及び実施してください。
①広報・周知等の徹底
被害者を含むすべての障害者に国の謝罪と補償法の情報が行き届くよう、障害者手帳・自立支援医療受給者証の保有者に対する周知文書送付等、合理的配慮と情報保障を尽くした形での広報・周知、特にきこえない人には視覚的でわかりやすい内容で、あらゆる手段かつ継続的に実施してください。
②相談窓口、相談体制の整備
国及び各都道府県における相談窓口を整備し、相談または申請に際しての合理的配慮並びに情報保障(手話言語を含む)を徹底するとともに、より被害者に身近な場所に相談体制の構築とその充実を図り、都道府県ひいては市町村に働きかけてください。また、情報保障等にかかる費用は、全国共通の基準により対応するようにしてください。
≪連盟提案:1人2時間まで13,500円、以降30分ごとに2,500円加算≫
きこえない・きこえにくい高齢者を含む被害者の支援には、相談支援者の協力が欠かせません。支援に関わった相談支援者についても、情報保障支援者(手話言語通訳者等)と同様に、謝金を全国共通の基準で対応するようにしてください。
③その他、すべての被害者に確実に謝罪と補償を届けるための施策
(1)個別通知(個別対応・アプローチ)の実施
所在が把握できた被害者に対する個別通知(個別対応・アプローチ)を全都道府県が積極的に実施するよう、国が適切な通知等を発出するとともに、必要十分な予算措置を講じてください。
(2)被害者の徹底的な調査の実施
国及び都道府県が保有する資料の調査のみならず、当連盟等の当事者団体、医療機関、福祉施設等が保有する資料についても徹底的な調査を実施し、被害者を把握すべく、国が適切な通知等を発出するとともに、必要十分な予算措置を講じてください。
(3)その他、あらゆる施策の実施
その他、全被害者に確実に補償を届けるため、あらゆる施策を検討し、実施してください。
また、二度と同じ過ちを繰り返さないよう、優生思想及び障害者に対する偏見と差別の根絶をめざすとともに、障害の有無にかかわらず、子どもを産み育てるか否かについて、また、自分の身体について自ら意思決定できる社会、さらには障害者権利条約が掲げる、すべての個人が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、尊厳が尊重される社会を実現してください。
【各省庁共通項目】
4.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴庁関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴庁関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
5.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
6.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴庁における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴庁においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
7.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
8.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴庁でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴庁でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260166号
2026年7月13日
消防庁長官
大沢 博 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.緊急自動車の状態が視覚的に分かる警光灯の導入を、全国の消防本部及び地方公共団体に対して促進するとともに、きこえない者にも発信をしてください。
<説明>
昨年度の貴庁回答では、新型の発光パターンを変更できる警光灯について周知を行ったとのことでしたが、導入は各地方公共団体の判断に委ねられており、全国的な普及には至っていません。
きこえない・きこえにくい人にとって、緊急自動車の状態を視覚的に把握できることは、交通安全の確保に不可欠です。つきましては、新型警光灯の導入を全国的に促進するとともに、導入拡大のための予算措置を行ってください。
また、緊急自動車の警光灯の運用に関する情報を、きこえない・きこえにくい人向けに分かりやすく発信してください。
2.聴覚障害者標識を付した車両に対する緊急自動車の接近時の安全確保について、消防本部に対し、改めて周知徹底を行ってください。
<説明>
昨年度の回答では、聴覚障害者標識についての通知を発出しているとの説明がありましたが、現場では依然として、きこえない・きこえにくい人が緊急自動車の接近に気づけず危険な状況に陥る事例が報告されています。 聴覚障害者標識の意味や、緊急走行時における配慮事項について、消防本部および消防職員に対し、改めて周知徹底してください。
【各省共通項目】
3.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴省関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴省関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
4.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
5.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴省における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴省においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
6.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
7.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴省でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴省でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260167号
2026年7月13日
出入国在留管理庁長官
丸山 秀治 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.きこえない・きこえにくい在留外国人の実態とニーズの調査・把握に基づいた支援をしてください。
<説明>
日本の在留外国人数は年々増加をしており、きこえない・きこえにくい在留外国人も同様に増加傾向にあると予想されます。中には、きこえない・きこえにくいことと外国人であることの交差性(インターセクショナリティ)から、きこえる在留外国人とは違う困難を抱えている人もおり、日本手話言語の習得支援など、適切な支援が必要と考えます。
適切な支援を届けるためには、きこえない・きこえにくい在留外国人がどのくらい日本で生活をしているのか、またその実態とニーズの調査・把握が必要です。在留外国人の管理を担当している貴庁において、実態とニーズの調査をしてください。
【各省庁共通項目】
2.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴庁関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴庁関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
3.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
4.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴庁における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴庁においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
5.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
6.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴庁でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴庁でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260168号
2026年7月13日
国税庁長官
江島 一彦 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1. 「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)」及び「改正障害者差別解消法」施行後の手話言語通訳者等の派遣に係る経費の予算措置を明文化してください。
<説明>
上記2法によると、国及び地方公共団体は障害者による情報の取得・利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施することとされており、民間事業者においても合理的配慮の提供が義務化されています。これはあらゆる公的機関が、その責任において情報アクセシビリティに関する環境整備や合理的配慮を提供することを意味しています。
しかし、行政機関の中には予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する、または障害当事者に手話通訳等を用意させる事例が後を絶ちません。公的機関は民間のモデルとなるべき存在であり、障害福祉以外の部局においても、必要に応じて手話通訳等の情報保障予算を別建てで確保する仕組みを構築することが不可欠です。
つきましては、各公的機関が利用者からの手話通訳等の希望に対応できるよう、貴省から関係出先機関を含め地方自治体の各部局へ周知徹底くださいますようお願いいたします。
あわせて、きこえない・きこえにくい国民に対して、行政を含む公的機関が障害福祉以外の部局においても必要に応じて別建てで予算化することにより、幅広く合理的配慮を提供できる仕組みを構築することが、民間事業者へのモデルにもなるものと考えます。
2.きこえない・きこえにくい人への環境整備や合理的配慮として手話通訳者等の配置・派遣が増えていますが、配置・派遣される情報保障者の質を担保してください。
<説明>
きこえない・きこえにくい人への情報アクセシビリティを保障するために手話通訳等の配置がありますが、手話通訳者等の社会的資源は限られており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。また、行政機関による派遣事業者の選定において相見積もり・競争入札が広まる中、選定条件に手話通訳者の技術・知識といった質に関する要件が盛り込まれないまま、応札額の低さのみで事業者が決定されているのが現状です。その結果、派遣された手話通訳者の技術が担保されず、情報提供や合理的配慮が不十分となる事例が生じており、情報アクセシビリティの全面的な保障にはつながりません。
情報アクセシビリティは、提供される配慮がきこえない・きこえにくい人の希望に沿い、目的を十分に達成できるものであることが求められます。派遣費用だけでなく、手話通訳者等の質を確保するための条件整備を選定要件に組み込むことが不可欠であり、きこえない・きこえにくい人との意見交換を通じた事業者選定が望ましいと考えます。条件整備の具体的な検討については、まず当連盟と協議してください。
3.2025年6月25日に施行された「手話に関する施策の推進に関する法律」に基づき、貴省における具体的な手話に関する施策の実施のための、必要な財政上の措置及び法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法律は、第2条のうち「手話を必要とする者及び手話を使用する者の意思が尊重されるとともに、手話の習得及び使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるために必要な環境の整備が図られるようにすること」を基本理念とし、第3条において「国及び地方公共団体は、前条の基本理念に則り、手話に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」と国の責務を規定しています。
きこえない・きこえにくい人を含む国民の暮らしと税に関して、貴庁が推進する税務行政における施策や広報活動があるかと存じますが、上記法律と結びつけた貴庁の2026年度の取り組みについてお示しください。
【各省共通項目】
4.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
5.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴省における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴省においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
6.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
7.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴省でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴省でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上
連本第260169号
2026年7月13日
文化庁長官
伊藤 学司 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話 03-6302-1430/FAX 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石 橋 大 吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、当連盟は2026年6月7日に富山県で開催された「第74回全国ろうあ者大会」におきまして、きこえない・きこえにくい人のさまざまな施策等に関する大会決議を行いました。
近年、「手話施策推進法」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、きこえない・きこえにくい人の情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されます。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、未だ解決すべき課題が残っています。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心安全に生活できるよう、早期実現に向けた取り組みを進めていただけますようお願い申し上げます。
記
1.全国の文化芸術施設(博物館・美術館等)に対し、展示解説や案内設備における視覚的情報アクセシビリティの向上を働きかけてください。
<説明>
きこえない・きこえにくい人は、音声による展示解説や案内を十分に利用することができず、文化芸術施設での鑑賞や学習において、きこえる人との差が生じています。
近年では、手話言語動画の導入やUDトーク等を活用したギャラリートークなど、視覚的情報アクセシビリティ向上の取り組みが進められています。しかし、こうした取り組みは一部の施設に限られており、全国的に十分普及している状況とはいえません。
令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」においても、展示解説の文字情報不足や字幕・手話言語対応の不十分さ等、視覚的情報保障の課題が明確に示されています。
文化芸術の享受機会の平等を実現するためには、貴庁より全国の文化施設に対し、視覚的情報アクセシビリティの整備を促すことが不可欠です。「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(第2期)(以下、「第2期基本計画」という)」において、文化施設のアクセシビリティ向上は重点施策として位置づけられています。
「改正障害者差別解消法」により、文化芸術施設における合理的配慮の提供が義務化され、手話言語・字幕・文字情報等を含む視覚的情報アクセシビリティの整備は今後ますます不可欠となります。
つきましては、全国の文化芸術施設に対し、
・展示解説の文字情報の標準化
・手話言語動画・字幕付き解説の導入
・デジタルサイネージ等を活用した視覚的案内の整備
・職員研修やガイドライン策定によるアクセシビリティの底上げ
・視覚的情報の整備を図るため、全国的な普及と底上げに向けた環境整備への予算化
など、視覚的情報アクセシビリティの拡充を積極的に促進するよう働きかけるとともに、文化施設の改修・新築時には、地域の障害当事者団体の意見を事前に聴取し、情報アクセシビリティを含むバリアフリー整備に反映するよう働きかけてください。
2.配給会社や映画館を含む関係機関に対し、字幕焼き付け版上映の機会拡大を促進してください。
<説明>
映画は重要な文化芸術の1つですが、字幕付き上映の鑑賞機会が限られています。特に地方では上映回数が少なく、時間帯も限定されるなど、きこえる人との鑑賞機会の格差が生じています。
近年では、スマートフォン等を活用した鑑賞支援も進められていますが、機器操作や通信環境への依存、端末利用の負担等の課題もあります。その点、字幕焼き付け版は、機材に依存せず確実に字幕が表示され、誰でも同じ条件で気軽に鑑賞できるという大きな利点があります。
第2期基本計画においても、「鑑賞の機会の拡大」が重要施策として掲げられており、字幕付き上映の充実は不可欠です。上映会数や上映時間帯が各上映館等の裁量による部分があることは承知していますが、鑑賞機会充実のため、貴庁より配給会社や映画館を含む関係機関に対し、字幕焼き付け版の上映回数拡大を積極的に働きかけてください。
【各省共通項目】
3.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえ、手話言語通訳を含む情報アクセシビリティに必要な経費について、貴庁関係部局に対し、明確な予算措置を講じるよう周知してください。
<説明>
上記2法により、国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得・利用及び意思疎通に係る施策を総合的に策定・実施する責務を負っています。また、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、共生社会の実現に向けた取り組みが強化されています。
これは、すべての公的機関が自らの責任において情報アクセシビリティ環境を整備し、合理的配慮を提供する義務があることを意味します。しかし現状では、国や自治体の出先機関を含む行政機関の中に、
・手話言語通訳等に係る予算措置がないことを理由に「過重な負担」として情報保障を拒否する
・手話言語通訳等を用意できないとして、障害当事者に通訳者の手配を求める
といった事例が後を絶ちません。
きこえない・きこえにくい国民が行政サービスを等しく受けられるよう、貴庁関係部局が必要に応じて独自に予算化し、合理的配慮を提供できる仕組みを整備するよう周知してください。
4.情報アクセシビリティ実現のため、手話言語通訳者等の派遣が増加していますが、派遣される情報保障者の質が担保されるよう、必要な条件整備を行ってください。
<説明>
法整備が進む一方、手話言語通訳者等の社会的資源は依然として不足しており、十分な人数の確保が難しい状況にあります。行政機関では、相見積もりや競争入札により派遣事業者を決定する例が多いものの、手話言語通訳者の技術・知識・経験等、質の面が十分に考慮されていないため、きこえない・きこえにくい人への情報提供が不十分となる事例が生じています。このままでは、法がめざす「情報アクセシビリティの全面保障」は実現しません。
そのため、派遣費用だけでなく、通訳者の質の確保は不可欠です。きこえない・きこえにくい人との意見交換を踏まえ、適切な派遣事業者を選定する仕組みが望ましいと考えます。条件の整備については、まず当連盟との協議を要望します。
5.2025年6月25日に施行された「手話施策推進法」に基づき、貴庁における手話施策の具体的実施に向け、必要な財政上・法制上の措置を速やかに講じてください。
<説明>
上記法は、第2条において「手話を必要とする者および手話を使用する者の意思が尊重され、手話の習得および使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるための環境整備」を基本理念として掲げています。
また、第3条では、国及び地方公共団体が手話に関する施策を総合的に策定・実施する責務を有することを明記しています。
貴庁においても、国民の暮らしに直結する行政サービス・広報活動を行うにあたり、手話言語を活用した情報提供、相談体制の整備、職員研修、オンライン手続きのアクセシビリティ向上等、同法に基づく施策の具体化してください。
6.改正障害者差別解消法に基づいた対応要領・対応指針に以下を加えるよう、検討してください。
(1)事業者や省庁出先機関等から出される情報に、きこえない・きこえにくい人が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障の明記とその徹底を求めます。
<説明>
現在、利用者や消費者が問い合わせをする「相談窓口」や「販売申込先」、省庁出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が依然として多く存在しています。2021年7月より公共インフラとして「電話リレーサービス」が利用できるようになり、その後、「ヨメテル」のサービスも開始されましたが、それだけではすべてのきこえない・きこえにくい人の対応としては不十分です。そのため、メール・FAX等の複数の手段によるアクセシビリティ保障について、見直しが進められている対応要領・対応指針に明確に記載し、その通りに運用してください。また、問い合わせ手段として、「手話リンク」の利用も検討するよう明記してください。
また、各省庁及び関係機関からの情報発信の際には、きこえない・きこえにくい人の情報アクセシビリティの保障のために手話言語、文字による情報発信も行うことを徹底してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時には有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、見直しが進められている対応要領・対応指針に「文字表示または手話言語表示」をすることを記載したうえで、その通りに運用してください。
7.公共インフラである日本財団電話リレーサービスによる「電話リレーサービス」や「ヨメテル」、「手話リンク」の利用について、貴庁でもご周知ください。
<説明>
電話リレーサービスが本格的に開始されてから5年余りが経ちますが、未だに迷惑電話と間違えられて通話を拒否される、電話に出てもらえないなどの例が続いています。電話リレーサービスは、きこえない・きこえにくい人が使うだけでなく、きこえる人が電話を受け、きこえない・きこえにくい人に電話をかけることもできます。公共インフラとしての機能が果たせるよう、貴庁でも管轄の事業者へ周知してください。
以 上


