「夢の実現」
~それは頑張る心・くじけない心・励まし合い、助け合う心~

山田光穂さん(第21回夏季デフリンピック・柔道男子90~100kg級・金メダル)

―このスポーツの始めたきっかけや当時の思い出を教えてください。
両親から聴覚障害を乗り越えてほしいと柔道を勧められたことがきっかけです。小3の時に柔道を始めてわずか数ヶ月後に出場した大会でいきなり個人3位、団体2位に入賞したことです。またレギュラーとして全国大会に出場したりインターハイでは個人戦でベスト16に入賞、大学でも全日本学生柔道大会でベスト16入賞したり副主将を任されたことですね。

―このスポーツの魅力は何ですか?
日本から生まれたスポーツであり、礼儀だけではなく精神的にも肉体的にも強くなれ
るところです。また、自分の得意技で一本勝ちするという爽快感もあります。

―普段の練習内容を教えてください。
基本的に仕事が休みの日(1週間に1回程度)に母校でコーチをするかたわら練習します。また、試合前等に警察での稽古にも参加させてもらっています。

―このスポーツを続ける上での原動力を教えてください。
柔道を始めたからには体力が続く限り最後まで諦めずに頑張ろうと心に決めています。
また、支えてくださった皆さんに何かの形で恩返しができたらという気持ちが強いです。

―デフリンピックに出場したいと思ったきっかけは何ですか?
学生時代からオリンピックの目標があり、挫折した時に『デフリンピック』に柔道が正式種目に採用されるということで、失いかけていた目標がよみがえってきたのと、同じ障害をもつ人たち(後継者)に土台を作ってあげることができたらという気持ちが強かったからです。

―デフリンピック選手に選ばれたときの心境を教えてください。
嬉しかったですね。選ばれたからにはベストを尽くそうと力がみなぎってきました。
また、障害者の世界でも日本の柔道は強いというアピールができたらいいと思いました。もし、負けたら日本へ帰れないと思いましたよ。

―デフリンピックの舞台に立っての感想はいかがでしたか。
ついにスタートラインに立ったんだという気持ちと同時に、プレッシャーと緊張感が襲ってきました。なにしろ、柔道は日本から生まれたスポーツでもあり、プライドがありましたからね。また、台北へ出発する前に周りから「金メダル金メダル」と期待されていたのでプレッシャーもすごかったです。

―デフリンピックでの裏話がありましたら教えてください。
意外と日本は外国にすごく人気があったことですね。

―デフリンピックアスリートとして心がけたこと(心がけていること)を教えてください。
夢と感動を与えることと、日本の柔道が強いんだというアピールをするとともにデフリンピックの知名度を少しでも多く上げることができるように貢献しようということです。

―デフリンピックを目指す人-のメッセージをお願いします。
デフリンピックまでの道のりは大変ですが、最後まで諦めずに頑張れば必ず結果はついてきますので、皆さんも頑張ってください。私も応援しています。

―試合前に集中力を高めるために何かしていますか?
イメージトレーニングと自分が今までやってきたことを信じることです。

―このスポーツをしていてよかったなと思うことは何ですか?
柔道を通じてたくさんの仲間と出会えたことです。またインターハイなどの全国大会で強豪に勝つなど互角に戦えたことです。インターハイでは個人戦でベスト16に入賞したり大学では副主将を任されたことです。

―聴覚障害を持つことで、辛かったことや怒りを感じたことはありますか?
コミュニケーションがうまくとれない時です。ずっと健常者の学校でしたが、障がいを持っていることでからかわれることも少なくありませんでした。

―その辛かったことをどうやって乗り越えましたか?
お互いがわかり合えるまで口話や筆談によってコミュニケーションがはかれるようになりました。嫌なことをされたままで終わるのが嫌いで、喧嘩ばかりでしたが最後には仲良くなりましたね(負けたらあかんという気持ちが強かったですね)。

―練習で一番楽しいことは何ですか?
自分が強くなるのと得意技がキレイに決まることかな。

―落ち込みそうになったときに励みにしているものは何ですか?
やっぱり家族ですね。本当に助けられているので家族には感謝しています。今までの試合のビデオ。これを見ると当時の思い出がよみがえってくると同時に燃えてきますね。

―お休みの日は何をして過ごすのが好きですか?
ドライブや買い物したりすることです。また、スポーツジムで汗を流すこともあります。

―ほかのスポーツに興味はありますか?見るとしたら何をよく見ますか?
陸上競技にも興味がありますね。見るとしたら格闘技が多いです。

―そのスポーツが好きな理由もできれば教えてください。
中学校に柔道部がなく、陸上競技部に所属していて県大会で優勝したり、近畿大会に入賞したりしていたので、柔道の次に好きなスポーツです。

―今の目標は何ですか?
デフリンピックで金メダルを獲るという目標で頭がいっぱいでしたので、現在は何も決めていないですね。でも、次に向かって前向きに考えていきたいと思います。

―今までのスポーツ歴を教えてください。 (他のスポーツも可)
陸上競技(円盤投) 【滋賀県大会優勝、近畿大会6位入賞】もやっていました。

―ろうの子どもたち-メッセージを。
さまざまな障害や壁にぶつかることもありますが、それに臆することなく最後まで諦めず目標に向かって積極的に頑張ってほしいと思います。辛いことばかりではなく、最後には必ずいいことがあると自分を信じ、また、良い結果につながらなくても努力したこと、頑張ったことが本当にいい思い出として残ります。私も心から応援しています。

2009年11月19日 滋賀県立聴覚障害者センターにて
聞き手:全日本ろうあ連盟スポーツ委員会 中澤 英明

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