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アンチ・ドーピング規則

目 次

 序論
 第1条 ドーピングの定義
 第2条 アンチ・ドーピング規則違反
 第3条 ドーピングの証拠
 第4条 禁止リスト
 第5条 治療目的使用(TUE)
 第6条 ドーピング・コントロール
 第7条 検体の分析
 第8条 アンチ・ドーピング規則違反の結果管理
 第9条 個人結果の自動的失効
 第10条 個人に対する制裁措置
 第11条 チームに対する処置
 第12条 国のスポーツ団体に対する制裁措置
 第13条 上訴
 第14条 資格回復
 第15条 守秘義務及び報告
 第16条 相互認定
 第17条 時効
 第18条 アンチ・ドーピング規則の修正及び解釈
 付録1 定義
 付録2 検査に関する国際基準

序論

国際ろう者スポーツ員会(ICSD)は、世界のろう者のすべてのスポーツの国際連盟である。

ICSDは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が推進する世界アンチ・ドーピング・プログラムを支援し、世界アンチ・ドーピング規程の受け入れを承諾する予定である。

ICSDは、ろう社会におけるドーピング撲滅の戦いに寄与することを期待し、WADAの規程をもとに、ICSDアンチ・ドーピング規則を作成した。本規則に記されるICSD規則及び規程の国際基準は、本規則を補完するものである。

各国の全国ろう者スポーツ協会(NDSF=National Deaf Sports Federations)は、ろう者スポーツ・ムーブメントにおいてICSD認定を受けるならば、ICSDはその条件として、アンチ・ドーピング機関とアンチ・ドーピング規程に従うこと、及びその規程に則って独自のアンチ・ドーピング規則を作成することを要求する。

本規則は、デフリンピック大会(以後競技大会=Gamesと呼ぶ)、世界及び地域選手権大会(ドーピング・コントロールが行われるICSD世界及び地域選手権大会も競技大会=Gamesと呼ぶ)の期間中、及び競技の準備期間にも適用される。

アンチ・ドーピング規則は、競技規則と同様に、スポーツ競技が実施される条件を司るものである。すべての参加者(競技者及び競技者の支援者)は、参加の条件としてこれらの規則を受け入れ、それに従わなければならない。

ICSDの執行委員会は、ドーピングと闘い、アンチ・ドーピング規則の違反の管理、国際的に認められている規則とアンチ・ドーピング規程に従うための政策、方針、プロセスなどを策定する責任を負う。

ICSDはWADA及びその他の薬物検査専門機関の薬物検査プログラム及び教育的取り組みを支持する。

ICSC執行委員会は、アンチ・ドーピング委員会を任命する。この委員会は、ICSD執行委員会の指示に従い、本規則の実施に関する責任を負う。

WADAのアンチ・ドーピング規程に具体的な指示がある場合を除き、本規則の実施責任は、ICSD理事長が負うものとする。ICSD理事長は、自らの判断において、特定の任務を他の者に委任することができる。

下線によって記される用語は、付録1において解説されている。

本規則の英語版は、すべて男性形で書かれているが、特にそれ以外の記述がない限り、すべての条項は女性にも適用される。

第1条 ドーピングの定義

ドーピングとは、本規程の第2.1 項から第2.8 項に定められた一つあるいは複数のアンチ・ドーピング規則違反が発生することをいう。
第2条 アンチ・ドーピング規則違反

以下の状態又は行為がアンチ・ドーピング規則違反を構成する。
2.1 競技者の生体からの検体に、禁止物質、あるいはその代謝物又はマーカーが存在すること。
2.1.1 禁止物質が体内に入らないようにすることは、各競技者が自ら取り組まなければならない責務である。自己の生体からの検体に禁止物質、その代謝物又はマーカーの存在が確認された場合、その競技者が責任を負う。従って、第2.1 項にいうアンチ・ドーピング規則違反を立証する場合、競技者側の意図、過失、不注意又は故意の使用の存在を示す必要はない。
2.1.2 禁止リストに量的上限値が明記されている物質を除き、競技者の検体から禁止物質、あるいは代謝物又はマーカーが検出された場合、その量の多少にかかわらず、アンチ・ドーピング規則違反が成立する。
2.1.3 第2.1項に示された一般原則の例外として、禁止リストには、内因性の禁止物質の評価に関して特別の基準を定めることができる。
2.2 禁止物質・禁止方法を使用すること、又は使用を企てること
2.2.1 禁止物質又は禁止方法の使用の成否は、重要ではない。アンチ・ドーピング規則違反は、禁止物質又は禁止方法を使用したこと、又は使用の企てたことにより成立する。
2.3 関連のアンチ・ドーピング規則で定められた形で通知を受けた後に、検体採取を受けない、もしくは正当な理由なく検体採取を拒否すること、又はその他の手段で検体採取を回避すること。
2.4 競技者が競技外検査を受ける場合に関連する義務に違反すること。具体的には、第6.5項(登録された検査所)が要求する所定の居所情報を提出しないこと、合理的な規則に基づいて伝達された検査に現れないこと、などが挙げられる。
2.5 ドーピング・コントロールの一部を改ざんする、又は改ざんを企てること。
2.6 禁止物質及び禁止方法を所持すること。
2.6.1 時期又は場所を問わず、競技外検査において禁止された物質又は禁止方法を競技者が所持すること。ただし、第5条(治療目的の使用=TUE)などの正当な理由に基づいて治療目的の適用措置が付与されており、所持の態様が当該適用措置に基づいている旨を競技者が立証した場合は、この限りではない。
2.6.2 競技者、競技又はトレーニングに関係する競技支援要員が禁止物質を所持していること。ただし、第4.4 項(治療目的の使用=TUE)などの正当な理由に基づいて治療目的の適用措置が競技者に対して付与されており、所持の態様が当該適用措置に基づいている旨を競技支援要員が立証した場合は、この限りではない。
2.7 禁止物質・禁止方法の不法取引を実行すること。
2.8 競技者に対して禁止物質又は禁止方法を投与・使用すること、又は投与・使用を企てること、アンチ・ドーピング規則違反を伴う形で支援、助長、援助、教唆、隠蔽などの共犯関係があること、又はこれらを企てる行為があること。
第3条 ドーピングの証拠
 
3.1 挙証責任及び証拠基準
アンチ・ドーピング規則違反を立証する責任は、ICSDが負うものとする。証拠基準は、ICSDが聴聞機関に対して主張の重大性を納得できる程度にアンチ・ドーピング規則違反を立証できたか否かを基準とする。この証拠基準の内容は、単に可能性を推量する程度では不十分であるが、「合理的疑い」の範囲を超える程度に証明される必要はない。一方、本規程では、アンチ・ドーピング規則違反に反論し、あるいはそのために関連する事実や状況証拠を確定する時、その挙証責任は違反の疑われた競技者あるいは競技者側が負うものとする。この場合可能性の比較衡量を証拠基準とする。
3.2 事実関係及び推定事項の立証方法
アンチ・ドーピング規則違反に関する事実関係は、自認をはじめとする、確かな証拠に基づき立証されなければならない。ドーピング事例においては、下記の証拠原則が適用される。
3.2.1 WADA認定の分析機関では、分析に関する「国際基準」に基づいて検体の分析及び管理を実施しているものと推定される。競技者側は、「国際基準」に反することを立証することにより、上記の推定に反論できる。

競技者が「国際基準」からの乖離を立証し、上記の推定に反論した場合、アンチ・ドーピング機関は、違反が疑われる分析結果の原因がその乖離ではないことを立証する責任を負う。
3.2.2 ドーピング検査に関する「国際基準」からの乖離があっても、違反が疑われる分析結果、あるいはその他のアンチ・ドーピング規則違反の原因となっていない場合、当該結果は無効にならない。「国際基準」からの乖離が検査期間中に発生した旨を競技者が立証した場合、アンチ・ドーピング機関は、違反が疑われる分析結果又はアンチ・ドーピング規則違反の根拠となった事実関係が当該乖離に起因していない旨を立証する責任を負う。
第4条 禁止リスト
 
4.1 禁止リストの公表及び改訂
WADAは、少なくとも年1回の頻度で禁止リストを国際基準として適宜公表する。この禁止リストを、競技者を含むすべての会員に周知徹底する責任は、各国ろうスポーツ協会(NDSF)が負う。禁止リスト又は改訂版において特別の定めがある場合を除き、アンチ・ドーピング機関による特別の行為を要さずに、当該禁止リスト及び改訂版の効力は、WADA による禁止リストの公表から3 ヶ月後に当該アンチ・ドーピング機関の規則に基づいて発生することを各アンチ・ドーピング機関の規則に明記するものとする。
4.2 禁止リストで確認された禁止物質及び禁止方法
禁止リストに盛り込まれる禁止物質及び禁止方法に関する判断は最終的なものであり、競
技者及びその他の者が異議を唱えることはできない。
第5条 治療目的の使用(TUE)

ICSDは、選手および担当医師が、それぞれが所属する国際競技連盟もしくは国内アンチ・ドーピング機関(NADO)に対して、治療目的使用の適用措置(TUE)を申請することを許可する。(これは、本来その競技規定で禁止されている薬物等を、治療目的に使用する許可を求めるものである。)
5.1 禁止物質・禁止方法の使用を要する医学的状態にある旨の文書を所持している競技者は、治療目的使用の適用措置(TUE)もしくは治療目的使用の適用措置の略式申請(ATUE)を要請できるようにする。この要請の評価は、治療目的使用に関する国際基準に基づいて行われるものとする。
5.2 大会に参加する競技者で、TUEを必要とする者は、事前に、当該国際競技連盟からTUEを受けるべきである。競技者が、国際レベルに達していない場合は、自国のアンチ・ドーピング機関(NADO)にTUE申請を行うことができる。治療目的使用の適用措置を受けた競技者は、速やかにその旨をすべての関係アンチ・ドーピング機関に報告しなければならない。また、遅くても大会の選手村の開会日までには、ICSDのアンチ・ドーピング委員会にも報告しなければならない。
5.3 慢性疾患(例えば気管支喘息、糖尿病、高血圧症、その他心臓病など)のためのTUEは、各国のアンチ・ドーピング機関によって決定されなければならない。また、この許可の決定は大会の開会より4週間前までにICSDに送らなければならない。
5.4 ICSDの登録検査対象リストに含まれた競技者で、事前に承認されたTUEを持たない者は、ICSDのアンチ・ドーピング委員会からTUEの許可を受けることができる。ICSD は、これらの新たな申請を、国際治療目的使用の適用基準に従い、ただちに評価し、決定を下す。この決定はICSD の最終決定とする。ICSD のアンチ・ドーピング委員会はただちに選手、選手の国内ろうスポーツ協会、WADA及び当該国際競技連盟に結果を報告する。この結果は、当該大会期間中のみ有効とする。
5.5 WADA は、競技者からの申し入れ、若しくは独自の判断において、登録検査対象リストに含まれた競技者に対して、治療目的使用の適用措置が付与された場合、その職権により当該付与の内容を審査できる。上記の治療目的使用の適用措置の付与又は却下が治療目的使用の適用措置に関する国際基準に合致しないとWADA が判断した場合、WADA は当該決定を覆すことができる。TUEに関する判断は、第13条に従い、上告できる。
第6条 ドーピング・コントロール
 
6.1 検査を行う権限
ICSDは、競技大会の期間中、「競技会」及び「競技外」検査を実施し、この期間中に起きるすべてのドーピング・コントロールに関する問題に対処する権限を有する。
ICSDは(競技大会中に)、採取した検体を、競技大会の閉会式の後に再検査する権限を有する。その結果、アンチ・ドーピング違反が確認された場合は、本規則に従って処する。
ICSDが実施するドーピング・コントロールは、競技大会に参加するすべての競技者を対象とし、大会期間中、いかなる時、場所、また抜き打ちでも実施できる。
ICSDは、ICSD以外のWADAアンチ・ドーピング規定署名機関が実施するアンチ・トーピング検査、とりわけ競技外検査の結果を支持する。また、必要に応じて、このような機関に、競技大会出場予定者の氏名を提供する。
6.2 ICSDドーピング・コントロールの責任
6.2.1 競技大会のドーピング・コントロールの計画及び実施の責任を、大会組織委員会(OC)に一任する。
ICSDアンチ・ドーピング委員会は、OCが実施するドーピング・コントロール及び、ICSDの監督下に於いてサービスを提供するその他のアンチ・ドーピング機関のドーピング・コントロールの一切を管理する。
ICSDアンチ・ドーピング委員会のメンバーおよび、ICSDが任命した有資格者は、ドーピング・コントロールの実施を監視することができる。
6.2.2 OCは、OCに代わってドーピング・コントロールの実施を委任するに相応しいアンチ・ドーピング機関を任命する権限を有する。任命されたアンチ・ドーピング期間は、国際検査基準及びその他すべての適用すべきルールに従う。
6.3 ドーピング・コントロールの基準
ICSD及びOCが行うドーピング・コントロールは、当該ドーピング・コントロールが行われる際に適用されている検査の国際基準に基づいて行われる。
ICSDは、検査の国際基準に従い、いくつかの基準を明確にしなければならない。これら基準及びその他ドーピング・コントロールに必要な要件は、付録2に記す。
OCは、競技大会ごとにドーピング・コントロール・ガイドを作成しなければならない。このガイドには、当該競技大会において使用される技術的な手順及び具体的な器具が説明され、当該競技大会で禁止する薬物のリストが提示されていなければならない。このガイドは、競技大会開催日より、遅くとも3か月前までにNDSF(各国ろうスポーツ連盟)に配布されなければならない。各NDSFは、自国の選手を含むすべての代表団関係者にこのドーピング・コントロール・ガイドのことを知らせなければならない。
6.4 競技のドーピング・コントロールの統制
アンチ・ドーピングの統制に協力するために、ICSDはドーピング・コントロールを実施するすべての行事について、WADAに連絡する。また、終了した検査、その結果等に関する情報も、WADAに報告する。
6.5 登録検査対象リスト(Registered Testing Pool)
6.5.1 競技大会で競うすべての競技者はICSDの登録検査対象リストの一部とみなす。
6.5.2 登録検査対象リストの競技者に関する情報は、WADA及びその他競技者に対するアンチ・ドーピング検査権限を持つアンチ・ドーピング機関に報告することができる。ただし、この情報は極秘扱いとし、ドーピング・コントロールの目的にだけ使用する。
6.6 検査対象となる競技者の選定
6.6.1 競技大会において、ICSD執行委員会は、ICSDのテクニカル・ディレクター(技術委員)及び大会組織委員会(OC)との協議の上、検査の実効的回数を決定する。
6.6.2 当該競技大会中に世界記録、若しくはデフリンピック記録の達成を狙うすべての競技者には、ドーピング検査が義務付けられる。
6.6.3 ICSDは焦点を絞った検査を実施できる。ただし、このような焦点を絞った検査は、公正なドーピング・コントロール以外の目的で行ってはならない。
6.7 独立監査人(Independent Observer)
ICSD及びOCは、その競技大会において、WADAが任命した独立監査人が、独立監査プログラムを実施できるように協力する。
第7条 検体の分析

ドーピング・コントロール用検体の分析は、下記の原則に基づいて行われるものとする。
7.1 認定分析機関の使用
ドーピング・コントロール用検体の分析は、WADA認定分析機関、又はWADAが他の方法で認定したものにおいてのみ実施される。検体分析に用 いるWADA認定分析機関(又はWADAが他の方法で認定した方法)の選定は組織委員会(OC)が決定し、ICSDの承認を受ける。
7.2 検出の対象となる物質
ドーピング・コントロール用検体を分析することにより、禁止リストに記載された物質・方法を検出するとともに、第4.5 項(監視プログラム)に基づいてWADAが指示した物質も検出する。
血液(またはその他の尿以外の検体)は、禁止リストに掲載された物質・方法を検出するため、若しくはスクリーニングのためのみ用いることができる。スクリーニングのために採取された血液は、本アンチ・ドーピング規則における尿検査の必要性を確認する目的のみに使用され、競技者にはこれ以外一切の結果をもたらしてはならない。この場合、検体のスクリーニングにおいて検査する血液成分と、これらの成分がどのレベルの場合に尿検査の対象とするかについて、ICSDはWADAの方針に従う。
7.3 検体の研究
競技者から書面にて同意を得ていない場合、禁止リストに記載された物質・方法の検出、又は第4.5 項(監視プログラム)に基づいてWADA が指定した目的を除き、検体を使用することはできない。
7.4 検体分析・報告基準
分析機関は、分析機関の分析内容に関する国際基準に基づいてドーピング・コントロール用検体を分析するとともに、その結果を報告する。
第8条  アンチ・ドーピング規則違反の管理

結果管理を実施するアンチ・ドーピング機関は、下記の原則を尊重する形で、競技大会中のアンチ・ドーピング規則違反(及びアンチ・ドーピング違反が疑われる分析結果)に対処する。

本条項に従い、8.1が記す、結果管理手順を完了した後、ただちに聴聞会を行う。
8.1 手順
8.1.1 違反が疑われる分析結果の確認、およびICSDアンチ・ドーピング委員会の委員長への通知
違反が疑われる分析結果が出た場合(例えばA検体について)、結果管理を所轄するアンチ・ドーピング機関、又はアンチ・ドーピング違反が行われたと思う人は、ただちにICSDのアンチ・ドーピング委員会の委員長に通知する。これは極秘文書として、違反が疑われる分析結果の詳細報告、行われた検査に関する説明、若しくは明らかにアンチ・ドーピング違反があったことを示す情報などを書き示す。
8.1.2 アンチ・ドーピング規則違反の正当性の初期確認
ICSDアンチ・ドーピング委員会の委員長は、競技者、もしくはその他アンチ・ドーピング規則違反の検査結果を受けた者を審査し、違反が疑われる分析結果の正当性を確認する(例えば、治療目的使用の適用措置が付与されているか否かなど)。また、他のアンチ・ドーピング規則違反が行われていないことも確認する。さらに、ICSDアンチ・ドーピング委員会の委員長は、検査及び分析機関の分析が国際基準から明らかに乖離していることが原因となり、違反が疑われる分析結果の妥当性が害されているようなことがないことも確認する。
8.1.3 ICSD理事長への通知
第8.1.2にいう初期確認を行った結果、関連の治療目的使用(TUE)の適用措置が確認されず、違反が疑われる分析結果の妥当性を害する乖離も確認されなかった場合、ICSDアンチ・ドーピング委員会委員長は、違反が疑われる分析結果、もしくは、その他明らかなアンチ・ドーピング規則違反が確認された事実及び入手できている重要な詳細をただちにICSD理事長に通知する。
8.1.4 競技者本人もしくはその他の関係者に規則違反を通知する:
ICSD理事長、もしくは理事長が任命した人は、競技者またはその他違反が疑われる人本人、競技者が所属するNDSFの団長、関係する国際競技連盟(IF)、及びWADAに対して下記の事項を内密に通知する:
(a) 違反が歌が合われる分析結果
(b) 違反が問われたアンチ・ドーピング規則の内容、又はアンチ・ドーピング規則違反の有無に関する追加調査の説明
(c) B検体の分析を速やかに要求できるという競技者の権利、又は要求しない場合には、B検体の分析が放棄されたとみなされる可能性があること
(d) B検体の開梱及び分析に競技者本人または代理人が同席できるという権利、ただし、上記の分析が要求された場合に限られる
(e) 分析機関の分析に関する国際基準に定められた情報を盛り込んだA検体及びB検体の分析関連書類一式の複写を競技者が請求できる権利とする。
競技者が所属するNDSFへの内密の通知は代表団の団長の責任とする。
8.1.5 B検体の分析
競技者が要求する場合は、速やかにB検体の分析を行う準備をする。競技者は、A検体の分析結果を受け入れ、B検体の分析を要求する権利を放棄することもできる。その場合でも、ICSDの判断において、B検体の分析を行うこともできる。
競技者本人及び/若しくはその代理人はB検体分析に同席できる。競技者が所属するNDSF、ICSDの代表者、及び関係するIF(国際競技団体)の代表者も検査に  立ち会うことができる。
B検体の検査が陰性であった場合は、すべての検査が陰性であったとみなされ、競技者本人、競技者が所属するNSDF及びIFにこの結果が通知される。ICSDはB検体分析内容がA検体の分析結果に一致しなかった理由の調査を開始する。
禁止リストに記載された物質・方法が確認された場合、違反が疑われる検査結果は、競技者本人、競技者が所属するNDSFとIF、及びWADAに通知する。
8.1.6 聴聞会への出席
上記第8.1.4項の通知には、ICSD理事長、もしくは理事長が任命した人から競技者本人またはその他違反が疑われる人に対して、ICSD執行委員会が設ける聴聞会への呼び出しも含まれる。競技者またはその他違反が疑われる人は、最大3名まで同行人、もしくは代理人を選任できる(例えば弁護士、医師、等)。
この聴聞会に関する連絡は、関係する国際競技連盟(IF)の会長もしくはその代理人にも通知される。
競技者及びその他違反が疑われる人は、聴聞会において通訳を付ける権利を有する。
競技者及びその他違反が疑われる人、関係者、代表団などが、すでに競技大会の開催都市を去ってしまった場合、執行委員会の委員長は常識的な範囲で、できる限り競技者及びその他の関係者の権利が尊重されるように計らいながら、通常の手順を取る努力をし、できるだけ速やかに決定をくだすようにする。
8.1.7 暫定資格停止
競技者のA検体またはAとB検体から違反が疑われる検査結果が出て、第8.1.2項に従い審査が行われた場合、その選手及びその他違反が疑われる人に対して、理事長は、執行委員会の審査会において、最終決定が下されるまでの期間、その選手の資格を暫定的に停止することができる。
8.1.8 違反の性質と状況:証拠の提示
執行委員会は、すべてのアンチ・ドーピング規則違反について、その性質と行われた状況について判断する。執行委員会は、競技者本人およびその他の関係者に、検査結
果及びその他アンチ・ドーピング規則違反に関する弁護に役立つ証拠の提示の機会を与える。ただし、これは執行委員会が不釣り合いと判断する方法であってはならない。また、この証拠は執行委員会の前で提示しても、書面で提出してもかまわない。
8.1.9 専門家の意見:証拠の提示
執行委員会は専門家の意見を求めたり、自ら他の証拠を提示することができる。ICSD法務委員会は執行委員会を補佐することができる。
8.1.10 執行委員会の審議
すべての関係者の言い分を聞き、提出されたすべての証拠を審査した後、執行委員会は規則違反の案件を審議し、審判をくだす。
8.1.11 アンチ・ドーピング検査・審査を他の者にも拡大
いかなる段階においても(例えば、審査会の前でも後でも)、執行委員会が状況判断の上必要と考えた場合、検査・審査対象を、ICSDの監督下にあり、アンチ・ドーピング違反に何らかの関わりを持った可能性のある他の人たち(特に違反が疑われる競技者周辺の人たち)に拡大することができる。この様に対象が拡大される場合、別個の調査として扱うか、現在審査が行われている調査の一部として扱うか、ICSD 理事長の判断によって決められる。いかなる場合も、手順に関する規則や全般の規則は必要な変更を加えて、これらの人々にも適用される。
8.1.12 決定について競技者本人及びその他関係者への通知
執行委員会が決定を下したら、ただちにICSD理事長、もしくは理事長が任命した人が、競技者本人およびその他関係者、並びに第8.1.4に従って通知したすべての人々に、その決定を知らせる。
8.1.13 速やかな手順
すべての手順は、次の時点から24時間以内に行わなければならない:(i) 違反が疑われる検査結果の場合は、検体の分析が終わった時点(つまり、A検体の分析と、要請があった場合はB検体の分析) (ii) その他のアンチ・ドーピング規程違反の場合は、競技者若しくはその他の関係者が、このアンチ・ドーピング違反の通知を受けた時点。
ただし、競技大会の最後の二日間に明らかになったアンチ・ドーピングいはについては、ICSD理事長は、この時間に関するルールを適用しないと判断することもできる。
8.2 全般に関わる条項
8.2.1 守秘義務
ファイルを閲覧することができる者、アンチ・ドーピング検査のどの過程に関わるものも、第三者の守秘義務を厳守しなければならない。
8.2.2 利害の対立
次の人々は、アンチ・ドーピング規則違反の管理・監督に携わることはできない:(i)違反が疑われる競技者、競技者の所属するNDSFもしくはIF、その他本件に関わ  
る人と、明らかな、もしくは本人の申請によって明らかにされる利害の対立が判明
した人。(ii) その他、本件について自分が自由で独立ではないと感じる人。
8.2.3 手順からのわずかな変更
執行委員会の決定に影響を及ぼす可能性のない、上記手順からのわずかな変更は、執行委員会の決定の妥当性を損なうものではない。
第9条 個人結果の自動的失効(Automatic Disqualification of Individual Results)

競技会検査に関連してアンチ・ドーピング規則違反があった場合、当該競技において得られた個人の結果は、メダル、得点及び賞の没収を含むすべての競技結果とともに自動的に失効する。
第10条 個人に対する制裁措置 (Sanctions on Individuals)
 
10.1 競技結果の失効
競技大会期間中または競技大会に関連してアンチ・ドーピング規則違反が発生した場合当該競技大会において得られた競技者本人のすべての結果は、すべての競技結果とともに自動的に失効する。ただし、第10.1.1項に定められた場合は、この限りではない。
10.1.1 違反に関して自己に過失がない旨を競技者本人が立証した場合、アンチ・ドーピング規則違反が発生した競技以外の競技結果は失効しないものとする。ただし、アンチ・ドーピング規則違反が発生した競技以外における当該競技者の競技結果が上記アンチ・ドーピング規則違反による影響を受けている場合は、この限りではない。
10.2 禁止物質及び禁止方法に関する資格剥奪措置の賦課
第10.3 項に定められた指定物質を除いて、第2.1 項(禁止物質、その代謝物又はマーカーの存在)、第2.2 項(禁止物質・禁止方法の使用、又は使用の企て)、及び第2.6 項(禁止物質又は禁止方法の所持)の違反に対して課される資格剥奪の期間は、下記のとおりとする。
1 回目の違反 - 2 年間の資格剥奪
2 回目の違反 - 一生涯にわたる資格剥奪
ただし、競技者等の者は、各事案において、第10.5 項に従って制裁措置の免除又は軽減の根拠を立証する機会を制裁措置が課される前に与えられるものとする。
10.3 指定物質
物質の中には医薬品として広く市販されている性質上、又はドーピング物質として乱用しにくい性質上、不注意によりアンチ・ドーピング規則違反を特に誘発しやすいものがある。禁止リストにおいて、この種の指定物質を指定できる。指定物質の使用が治療目的であって競技能力の強化でないことを競技者が立証できる場合、第10.2項の資格剥奪期間に代わって下記の措置を適用する。
1 回目の違反 - 警告、戒告処分とし、将来の競技大会における資格剥奪期間の期間をゼロとする処置を最低限とし、資格剥奪期間は最長1 年間までとする。
2 回目の違反 - 2 年間の資格剥奪。
3 回目の違反 - 一生涯にわたる資格剥奪。
ただし、競技者、あるいは他の者は、第10.5項に従って(2 回目及び3 回目の違反の場合には)上記制裁措置の免除又は軽減の根拠を立証する機会を制裁措置が課される前に与えられるものとする。
10.4 その他のアンチ・ドーピング規則違反に関する資格剥奪
その他のアンチ・ドーピング規則違反に関する資格剥奪期間は、下記のとおりとする。
10.4.1 第2.3項(検体採取の拒否・不出頭)又は第2.5項(ドーピング・コントロールの改ざん)に違反した場合、第10.2項の資格剥奪期間を準用する。
10.4.2 第2.7項(不法取引)又は第2.8項(禁止物質・禁止方法の投与・使用)に違反した場合、資格剥奪期間は、最低4年間から最長で一生涯とする。未成年を巻き込んだドーピングについては、特に重大な違反であると見なされ、さらに競技支援要員による違反が第10.3項の指定物質以外のものである場合、当該競技支援要員に対して、一生涯にわたる資格剥奪が課されるものとする。さらに上記条項の違反がスポーツ以外の関連法令にも違反する場合、管轄の行政機関、専門機関又は司法機関に対して報告が行われる場合がある。
10.4.3 第2.4項(居所情報についての違反、検査に現れないこと)の違反の場合、資格
剥奪期間は、次の通りとする:
1回目の違反 - 3か月から1年の資格剥奪
2回目以降の違反 - 2年間の資格剥奪
10.5 例外的状況を理由とした資格剥奪期間の免除又は軽減
10.5.1 無過失あるいは不注意
第2.1 項のアンチ・ドーピング規則違反(禁止物質、その代謝物もしくはマーカーの存在)が関係する事案、又は第2.2 項にいう禁止物質・禁止方法の使用に関する事案において、自己の違反に関する過失あるいは不注意が無かった旨を競技者が立証した場合、該当する資格剥奪期間を免除する。第2.1項(禁止物質の存在)に違反する形で競技者の生体からの検体に禁止物質、そのマーカー又は代謝物が検出された場合、自己の体内に禁止物質が入ってきた過程を競技者が立証しなければ、資格剥奪期間は免除されない。この条項が適用され、資格剥奪期間が免除された場合、第10.2項、第10.3項及び第10.6項にいう複数回の違反の資格剥奪期間を算定する場合に限り、アンチ・ドーピング規則違反が発生したとは見なされない。
10.5.2 重い過失あるいは不注意がない場合
この第10.5.2 項が適用されるのは、第2.1 項に関するアンチ・ドーピング規則違反(禁止物質、その代謝物もしくはマーカーの存在)、第2.2項にいう禁止物質・禁止方法の使用に関する違反、第2.3 項にいう検体採取に現れないことに関する違反、又は第2.8 項にいう禁止物質・禁止方法の投与・使用に関する違反のみに限られる。上記の違反が関係する個別案件において、完全に無過失であったことは競技者によって立証されていないものの、当該違反の実質的原因が自己の過失ではない旨が競技者によって立証された場合、該当する資格剥奪期間を短縮できる。ただし、短縮後の資格剥奪期間は、所定の最低資格剥奪期間の半分未満になってはならない。所定の資格剥奪期間が一生涯である場合、この条項に基づく短縮後の期間は8 年間を下回らないものとする。第2.1 項(禁止物質の存在)に違反する形で競技者の生体からの検体に禁止物質、そのマーカー又は代謝物が検出された場合、自己の体内に禁止物質が入ってきた過程を競技者が立証しなければ、資格剥奪期間は短縮されない。
10.5.3 競技支援要員等によるアンチ・ドーピング規則違反を発見・立証する際に競技者から実体的な支援があった場合、競技者がICSDに対して実体的な支援を提供したことにより、第2.6.2 項にいう所持(競技支援要員による所持)、第2.7項(不法取引)又は第2.8 項(競技者に対する投与)を伴う形で競技者以外の者によるアンチ・ドーピング規則違反があった旨をICSDが発見・立証できた場合においても、ICSDは資格剥奪期間を短縮できる。ただし、短縮後の資格剥奪期間は、所定の最低資格剥奪期間の半分未満になってはならない。所定の資格剥奪期間が一生涯である場合、この条項に基づく短縮後の期間は8 年間を下回らないものとする。
10.6 潜在的な複数違反の規則
10.6.1 第10.2項、第10.3項及び第10.4項に基づいて制裁措置を課す場合、制裁措置の賦課を目的として2 回目のアンチ・ドーピング規則違反と見なされるのは、競技者等が1 回目のアンチ・ドーピング規則違反の通知を受けた後、又はICSDが第1 回目のアンチ・ドーピング規則違反の通知を行うよう相当の努力を行った後に、当該競技者等が2回目のアンチ・ドーピング規則違反を犯した旨をICSDが立証できる場合に限られる。ICSDが上記の事実を立証できない場合、当該違反の回数は全体で1 回であると見なされるものとし、双方の違反を比較して重い方の制裁措置が課されるものとする。
10.6.2 同一のドーピング・コントロールに基づいて、第10.3 項にいう指定物質とそれ以外の禁止物質・方法を伴う形で競技者がアンチ・ドーピング規則違反を犯したことが判明した場合、当該競技者が犯したアンチ・ドーピング規則違反の回数は1 回であるとみなされる。ただし、課される制裁は、禁止物質・禁止方法の性質に応じて、最も厳しいものが課されるものとする。
10.6.3 競技者のアンチ・ドーピング規則違反が2 回に及ぶことが判明し、そのうち1 回が第10.3 項(指定物質)にいう指定物質を伴うものであり、かつもう1回について第10.2項の制裁措置の適用対象となる禁止物質・禁止方法、又は第10.4.1 項の制裁措置の適用対象となる違反を伴う場合、第2 回目の違反に課される制裁措置は、最低2 年間の資格剥奪とし、最高で3年間の資格剥奪とする。また、第10.3項の指定物質と第10.2項又は第10.4.1 項にいうその他のアンチ・ドーピング規則違反が組み合わされた形で競技者のアンチ・ドーピング規則違反が3 回目になることが判明した場合、当該競技者が受ける制裁措置は、一生涯にわたる資格剥奪とする。
10.7 検体採取後の競技結果の失効
第9 条(個人結果の自動的失効)にいう陽性検体が発生した競技における結果の自動的失効に加えて、陽性検体が採取された日(競技会検査であるか競技外検査であるかは問わない。) あるいは他のドーピング違反の発生から暫定的資格停止期間又は資格剥奪期間の開始までに得られた競技結果は、公平性の観点から別の措置を要する場合を除き、メダル、得点及び賞を含む全ての競技結果が失効する。
10.8 資格剥奪期間の開始
資格剥奪期間は、資格剥奪を決定した聴聞会の決定が下された日、又は聴聞会が放棄された場合には、受諾などの方法で資格剥奪措置が課された日から始まる。暫定的資格停止処分(課されたものであるのか、自発的に受け入れたものであるのかは問わない。) の期間は、資格剥奪期間の合計期間に算入するものとする。聴聞会過程などのドーピング・コントロールの各種側面において競技者の責任に属さない事由により遅延が発生するなど、公平性の観点から必要と判断される場合、ICSD及びその他の制裁措置を下す機関は、検体採取の日付まで、資格剥奪期間の始期を遡及させることができる。
10.9 資格剥奪期間中の地位
資格剥奪処分を受けた者は、当該資格剥奪処分の期間中、ICSD、競技者が所属するNSDF、及びその他のアンチ・ドーピング機関が認定、又は主催する競技その他の活動、(ただし、アンチ・ドーピング関連の教育プログラム又はリハビリテーション・プログラムは除く。) に参加できない。さらに、第10.3 項にいう指定物質を伴わないアンチ・ドーピング規則違反の場合、ICSD及び競技者が所属するNDSF は、その実行者を対象とするスポーツ関連財政支援等のスポーツ関連給付の全部又は一部について給付を停止するものとする。資格剥奪期間が4 年間より長い場合、4年間の資格剥奪期間を経過すると、アンチ・ドーピング規則違反を犯した種目以外の地方競技大会に参加できる。ただし、参加できる範囲は、違反者に対して国内競技大会もしくは国際競技大会への出場資格を直接的・間接的に認めるもの(又は、国内競技大会もしくは国際競技大会に向けて得点を累積できるもの。) であってはならない。
10.10 当該NSDFは、ICSDが決定したいかなる措置も、その実施の責任を負う。
第11条 チームに対する処置

団体競技種目のチーム構成員が競技大会に関連して第7条のアンチ・ドーピング規則違反の通知を受けた場合、当該チームは、その競技大会に関して焦点を絞った検査の対象となる。団体競技種目のチーム構成員の中に、当該競技大会開催期間中にアンチ・ドーピング規則違反を犯した者の存在が明らかになった場合、当該チームに対しては、失効処分等の懲戒措置を発動することができる。
第12条 各国ろう者スポーツ団体(NDSF)に対する制裁措置
 
12.1 ICSDは、本規則に従わない各国ろう者スポーツ団体(NDSF)に対して、資金提供の一部もしくは全額を差し控えたり、その他非金銭的措置を発動する権限を有する。
12.2 ICSDは、このような団体に対して、役員、選手などの参加資格の取り消しなど、さらなる懲戒措置を発動することもできる。
第13条 上訴
 
13.1 上訴の対象となる決定
本規則に基づいて下された決定は、下記の第13.2 項から第13.4項までの定めに従い上訴できる。上訴機関が特別の命令を下した場合を除き、上訴期間中においても、上記の決定は引き続き効力を有するものとする。
13.2 アンチ・ドーピング規則違反、処置及び暫定的資格停止に関する決定の上訴
アンチ・ドーピング規則違反が実行された旨の決定、アンチ・ドーピング規則違反に関して処置を課す決定、アンチ・ドーピング規則違反が実行されなかった旨の決定、アンチ・ドーピング規則違反の容疑又はその処置に関して裁定を下す管轄権がアンチ・ドーピング機関に帰属しない旨の決定、暫定聴聞会の結果として暫定的資格停止処分を課す決定、又は第7.5項に違反する形で暫定的資格停止処分を課す決定は、本第13.2 項の定めに基づいた場合に限り上訴することができる。
13.2.1 国際的レベルの競技者が関与する上訴
国際競技大会の競技から発生した事案に関する決定、又は国際的レベルの競技者が関与する事案に関する決定は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の関連規定に基づいて同裁判所のみに対して上訴できる。
13.2.2 国内的レベルの競技者が関与する上訴
第13.2.1項に基づいてCASへの上訴権を有する者は次の者とする:(a) 上訴の対象である選手本人、若しくはその他の人、(b)決定に関わる他方の当事者、(c)措置を発動したICSD、IF、その他のアンチ・ドーピンング機関(d)WADA。
13.3 治療目的使用の適用を付与・却下する決定の上訴
治療目的使用の適用措置の付与・却下がWADAの決定により覆されたっばい、CASのみに対して上訴できるが、この上訴を提起できるのは、競技者本人、ICSD、IF、国内レベルのアンチ・ドーピング機関もしくはTUEの付与・却下を決定したNDSFとする。競技者は、WADAの決定により覆されていないTUEの却下についてCASに上訴を提起することもできる。
13.4 第12条の決定に関する上訴
第12条に則ってICSDが下した決定について、当該NDSFのみがCADに上訴を提起できる。
13.5 上訴の時期
CASに対して上告を提出する時期は、上告する当事者が決定を受けた日から21日間とする。しかし、上訴の権利を有するが、上訴の対象となっている決定への手順にかかわらなかった人からの上告については、以下が適用される:
13.5.1 決定の通知から10日間以内に限り、この人[団体]は決定を通達した機関からこの機関が決定の根拠とするファイルのコピーを請求できる。
13.5.2 このような請求を10日間以内に行った場合、この人[団体]はファイルを受け取ってから21日以内にCASに上告することができる。
第14条 資格回復
 
14.1 規則に従い処分を受けた競技者が、資格剥奪期間を終えた場合、競技参加資格の回復を書面で申請することができる。
14.2 資格回復のための検査
資格剥奪期間の終了時に資格を回復する条件として、競技者は、暫定的資格停止期間中又は資格剥奪期間中において、ICSDまたは検査権限を有するアンチ・ドーピング機関の競技外検査を受けなければならず、ICSDからの求めを受けた場合には正確な最新の居所情報も提出しなければならない。資格剥奪期間中に引退し、競技外検査対象リストから除外された後に資格回復を希望する場合、ICSD及び所属するNDSF対して通知を行い、かつ6ヶ月間の間競技外検査を受けなければ、その競技者の資格回復は認められないものとする。引退した日付時点で残存していた資格剥奪期間と等しい期間内に最低1回の競技外検査を受けなければならない。
第15条 守秘義務及び報告
 
15.1 一般情報開示
ICSD及び関係NDSFは、ドーピング・コントロールのすべての結果及び規則にのっとって行われる手続に係るすべての者に関して守秘義務を守る最大の努力をする。ただし、第8 条に基づく聴聞会においてアンチ・ドーピング規則違反が発生した旨の判断が下された時、当該聴聞会が放棄された時、又はアンチ・ドーピング規則違反の主張に対して期限内に異議が唱えられなかった時は、決定から起算して20 日以内に、アンチ・ドーピング問題の処分内容を公表する。
第16条 決定の相互認定
 
16.1 ICSDの決定に対する他の機関の認定
本規則の違反行為についてICSDが下した最終的審判は、すべてのIF、NDSD、及びその他WADAのアンチ・ドーピング規程に則って活動するその他の署名団体によって認定・尊重されなければならない。これらの団体・機関は、最終審判が執行されるために必要な措置を取るべきである。
16.2 その他の署名当事者の決定に対するICSDの認定
ICSDは、第13条の上訴の権利に従い、他のWADAアンチ・ドーピング規程署名機関がその権限において、検査、TUE、審査結果などについて下した審判は、WADA規程に則っている限り、認定し、尊重する。またICSDは、WADA規程を受け入れていない機関の場合も、その規則がWADAの規程と調和するのもであれば、同様にその審判を認定し、尊重する。
第17条 時効

違反の発生から8年以内である場合を除き、本条にいうアンチ・ドーピング規則違反を理由として、競技者等に対する措置に着手することはできない。
第18条 アンチ・ドーピング規則の修正及び解釈
 
18.1 ICSD執行委員会は、定期的に本規則を修正することができる。
18.2 第19.5項が記す場合を除き、本規程は自主・独立した文書として解釈を行うものとし、署名当事者又は各国政府の既存法令を基準として解釈しないものとする。
18.3 本規則の各部及び各条項の見出しは、便宜上のものであって、本規則の実体規定の一部とは見なされず、当該見出しが言及する規定の文言に対して影響を及ぼすものとも見なされない。
18.4 「序論」および「付録」は本規程の不可分の一部であるとみなされる。
18.5 本規則はWADAのアンチ・ドーピング規程に則って、策定されており、その解釈も、WADAのアンチ・ドーピング規程と整合性を保つべきである。WADAのアンチ・ドーピング規程を挙げて説明される部分は、本アンチ・ドーピング規則を正しく理解し、解釈するうえで役立つものと思われる。
18.6 競技者、その他NDSFの会員、NDSFから大会に参加している代表団の人に対する通知は、NDSFもしくは大会に参加しているNDSF代表団の団長に託すことができる。

付録1(Appendix 1) ―「定義」(Definitions)

「違反が疑われる分析結果」(Adverse Analytical Finding)とは、分析機関等の認定検査機関から寄せられた報告のうち、禁止物質、その代謝物もしくはマーカーの存在(内因性物質の量的増大も含む。) の存在が検体において確認されたもの、又は禁止方法の使用が検体において確認されたものをいう。

「アンチ・ドーピング機関」(Anti-Doping Organization)とは、ドーピング・コントロール・プロセスに関する規則の採択、及びドーピング・コントロール・プロセスの実施、執行を所轄する署名当事者をいう。具体例として、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会、その他の主要競技大会機関であって自己の競技大会において検査を実施する団体、世界アンチ・ドーピング機構、国際競技連盟、国内アンチ・ドーピング機関等が挙げられる。

「競技者」(Athlete)とは、ドーピング・コントロールとの関係においては、競技およびその他のICSD国際イベントに参加する、若しくは参加する可能性のある、全ての者が含まれる。
また、アンチ・ドーピング情報・教育との関連においては、ICSDの管轄下においてスポーツに参加する者をいう。

「競技支援要員」(Athlete support Personnel)とは、コーチ、トレーナー、監督、代理人、チーム・スタッフ、職員、医師又は医療関係者のうち、競技会に参加する競技者、又は競技会に向けて準備を行っている競技者と一緒に行動する者、又はこの種の競技者に処置を施す者をいう。

「企て」(Attempt)とは、アンチ・ドーピング規則違反の遂行につながる行為の過程において、実質的な行為に故意に携わることをいう。ただし、企てに関与していない第三者によって察知される前に企てが放棄された場合、その企てのみを根拠としてアンチ・ドーピング規則違反が発生したとは見なされない。

「本規程」(Code)とは、世界アンチ・ドーピング規程をいう。

「ICSDテクニカル・ディレクター」(ICSD Technical Directors)とは、ICSD執行委員会が任命し、デフリンピック大会期間中、特定の競技の管理責任を負うろう者をいう。

「競技」(Competition)とは、単独のレース、対戦、試合又は単一の競技会(singular athletic contest)をいう。具体例としては、オリンピックの100 メートル走の決勝戦が挙げられる。

「アンチ・ドーピング規則違反の処置」(Consequences of Anti-Doping Rules Violations)。競技者等がアンチ・ドーピング規則違反を犯した場合は、以下の効果が生じることになる。(a)「失効」(Disqualification)とは、特定競技又は競技大会における競技者の結果とそのメダル、得点及び賞の失効を含む全ての競技結果が無効になることをいう。(b)「資格剥奪」(Ineligibility)とは、一定期間にわたって、競技者に対して、競技その他の活動への参加が禁止されること、又は第10.9 項に従って資金拠出が禁止されることをいう。(c)「暫定的資格停止」(ProvisionalSuspension)とは、第8 条(公正な聴聞会を受ける権利)にいう聴聞会において最終的な判断が下されるまで、競技への参加が暫定的に禁止されている状態をいう。

「失効」(Disqualification)については、上記の「アンチ・ドーピング規則違反の処置」を参照。

「ドーピング・コントロール」(Doping Control)とは、検査対象の選定・立案、検体の採取・取扱、分析機関の分析、結果管理、聴聞会及び上訴を包括的に含んだプロセスをいう。

「競技大会」(Event)とは、単一の管轄団体の下で同時に実施される一連の個別競技を包括した概念を指す(例、オリンピック競技大会、FINA世界選手権大会、汎アメリカ大会)。

「大会」(Games)とはデフリンピック大会をいう。

「競技会」(In-competition)とは、競技会検査と競技外検査とを区別するための概念であり、国
際競技連盟などの関連アンチ・ドーピング機関の規則に特別の定めがある場合を除き、競技会検査とは、特定の競技会に関連して競技者が検査対象として抽出される検査をいう。

「独立オブザーバー・プログラム」(Independent Observer Program)とは、世界アンチ・ドーピング機構の監督下で、特定の競技大会においてドーピング・コントロール及び結果管理プロセスを観察するとともに、観察事項に関して報告を行うオブザーバーの一団をいう。世界アンチ・ドーピング機構自体が競技大会の競技会検査を実施する場合、独立オブザーバーは第三者機関の監督下に置かれることになる。

「資格剥奪」(Ineligibility)については、上記の「アンチ・ドーピング規則違反の処置」を参照。

「国際競技大会」(International Event)とは、ICSDが主管している競技大会もしくは、当該競技大会に関して技術要員を任命しているものをいう。

「国際競技連盟もしくはIF」(International Federation or IF)とは、ICSDが認める国際NGOで、世界レベルにおいて一つ、または複数のスポーツ競技を管理・運営し、各国内レベルにおける当該競技の団体を包括する団体をいう。

「国際基準」(International Standard)とは、本規程を側面から支援する目的で世界アンチ・ドーピング機構によって導入された基準をいう。国際基準を遵守している場合(他の選択的基準、慣行、実施要領を遵守していない場合でも)、国際基準に盛り込まれた実施要領を適切に実施しているものと見なされる。現在の国際基準は、WADAのホームページで見ることができる:www.wada-ama.org.

「国際検査機関基準」(International Standard for Laboratories)とは、検体の分析方法について、本規定を支援する目的で世界アンチ・ドーピング機構によって導入された基準をいう。

「国際検査基準」(International Standard for Testing)とは、検査方法について、本規定を支援する目的で世界アンチ・ドーピング機構によって導入された基準をいう。

「治療目的使用に関する国際基準」(International Standard for Therapeutic Use Exemptions)とは、治療目的使用の原則及び適用方法について、本規定を支援する目的で世界アンチ・ドーピング機構によって導入された基準をいう。

「主要競技大会機関」(Major Event Organizations)とは、複数競技を管轄する国際的団体のうち、地域内競技大会等の国際競技大会に関して意思決定機関として機能するものをいう。ICSDは主要競技大会機関である。

「マーカー」(Marker)とは、化合物、化合物の集合体又は生物学的パラメーターであって、禁止物質又は禁止方法の使用を示すものをいう。

「代謝物」(Metabolite)とは、生体内変化の過程により生成された物質をいう。

「未成年」(Minor)とは、在住国の関連国内法に定められた成年年齢に達していないヒトをいう。

「国内アンチ・ドーピング機関」(National Anti-Doping Organization)とは、国内レベルにおいて、アンチ・ドーピング規則の採択・実施、検体採取の監督、検査結果の管理、聴聞会の実施に関して、主管の権限・責務を有するものとして国の指定を受けた団体をいう。関連当局によって上記指定が行われていない場合、その国の国内オリンピック委員会又はその指定を受けた者が国内アンチ・ドーピング機関となる。

「全国ろうスポーツ協会もしくはNDSF」(National Deaf Sport Federation or NDSF)とはICSDが認めるろう者スポーツの全国組織。

「抜き打ち(予告なし)」(No Advance Notice)とは、ドーピング・コントロール活動のうち、競技者に対して予告を行わずに実施されるものであって、通知の瞬間から検体提供までの間、競技者に対して継続的に付添人が付くものをいう。

「無過失あるいは不注意」(No Fault or Negligence)とは、競技者が禁止物質もしくは禁止方法を使用したこと、又は禁止物質もしくは禁止方法の処方を受けたことについて、自分自身が知悉せず疑いも抱いておらず、かつ細心の注意をもってしても合理的な観点から知り得なかった旨を競技者本人が立証している状態をいう。

「重い過失あるいは不注意がない状態」(No Significant Fault or Negligence)とは、事情を総合的に勘案し「無過失」基準を考慮したときに、アンチ・ドーピング規則違反との関連において、競技者本人の過失の度合が重大なものではない旨を競技者が立証している状態をいう。

「OC」とは競技大会(もしくはその他の国際イベント)の組織委員会をいう。

「競技外」(Out-of-Competition)とは、「競技会」以外のドーピング・コントロール活動をいう。

「参加者」(Participant)とは、競技者又は競技支援要員をいう。

「人」(Person)とは、ヒト、又は組織その他の団体をいう。

「所持」(Possession)とは、実際に物理的に所持している状態、又は所持していると推定される状態をいう。(この概念が認定されるのは、禁止物質・禁止方法を専ら自分の判断で自由に使用できる状態、又は禁止物質・禁止方法が存在するという前提がある場合に限られる。) ただし、禁止物質・禁止方法を専ら自己の判断で自由に使用できない場合や、禁止物質・禁止方法が存在するという前提がない場合、禁止物質・禁止方法の存在を承知しており実際に使用する意図があった時に限り、所持が推定される。ただし、アンチ・ドーピング規則違反を犯した旨の通知(種類は問わない)を受ける前に、所持の意思がなくなり以前の所持状態の放棄を立証できるような具体的行為をとった場合、所持のみを根拠としてアンチ・ドーピング規則違反は成立しないものとする。

「禁止リスト」(Prohibited List)とは、禁止物質及び禁止方法で構成されるリストをいう。現在のリストはWADAのホームページで見ることができる: www.wada-ama.org.

「禁止方法」(Prohibited Method)とは、禁止リストに禁止方法として記載された方法をいう。

「禁止物質」(Prohibited Substance)とは、禁止リストに禁止物質として記載された物質をいう。

「暫定的資格停止」(Provisional Suspension)については、上記の「アンチ・ドーピング規則違
反の処置」を参照。

「一般情報開示」(Publicly Disclose)「一般報告」(Publicly Report)とは、第15条に基づいて事前通知を受けられる者の範囲を超えて一般人に対して情報を提供することをいう。

「登録検査対象リスト」(Registered Testing Pool)とは、各国NDSF(全国ろう者スポーツ協会)が競技大会出場者として認めた競技者。

「検体」又は「標本」(Sample/Specimen)とは、ドーピング・コントロール用に採取された生体物質をいう。

「署名当事者」(Signatories)とは、世界アンチドーピング規程に署名し、規程を履行することに同意した団体をいう。具体的には、国際オリンピック委員会、国際競技連盟、国際パラリンピック委員会、国内オリンピック委員会、国内パラリンピック委員会、主要競技大会機関、国内アンチ・ドーピング機関、世界アンチ・ドーピング機構などを指す。

「改ざん」(Tampering)とは、不適切な目的又は不適切な方法で変更すること、不適切な影響を発生させること、結果の変更又は通常実施要領の抑止を目的として不適切な形で介入することをいう。

「焦点を絞った検査」(Target Testing)とは、競技者検査対象リストの中から特定競技者又は競技者層を一定期間にわたって検査対象として抽出する形で、検査を受ける競技者を選ぶことをいう。

「団体競技種目」(Team Sport)とは、試合を行う際、選手交代が認められる種目をいう。

「検査」(Testing)とは、ドーピング・コントロール活動のうち、検査対象の選定・立案、検体採取、検体の取扱、分析機関への検体運搬が関係する部分をいう。

「不法取引」(Trafficking)とは、直接的、あるいは第三者を通じて競技者等に対して禁止物質を販売、供与、投与、輸送、送付、配送もしくは配達することをいう。ただし、正当かつ合法的な治療目的で禁止物質を(医療関係者、又は競技支援要員以外の者により)販売又は配達した場合は、不法取引に該当しない。

「使用」(Use)とは、禁止物質又は禁止方法を塗布、摂取、注入又は摂取することであり、その手段は問わない。

「WADA」とは、世界アンチ・ドーピング機構をいう。

付録2 (Appendix 2)

「検査に関する国際基準」に関連する規範
CRITERIA RELATING TO THE INTERNATIONAL STANDARD FOR TESTING


「検査に関する国際基準」には検査の計画、競技者への通知、検体採取の準備と実施、守秘義務、検査実施後の運用、検体の移送などに関する規範が含まれる。

ICSDは、その管轄下においてOCもしくはその他のアンチ・ドーピング機関が行うすべてのドーピング・コントロールが「検査に関する国際基準」を厳守することを義務付けている。

アンチ・ドーピング期間としてICSDが策定しなければならない規範がある。以下の表は、ICSDの義務を示す。すべては「国際検査基準」に則って策定されている。

Ref. 項目 規範
5.3.4 アンチ・ドーピング機関(ADO)は、検体採取に選択された競技者の身分を証明する基準を確立すること。これにより、選択された競技者が通知を受けた競技者であることを確認する。 ICSDは、競技者に認定証(Accreditation Pass)の提示を義務付ける。

競技者が認定証を持っていない場合、本人の写真がある身分証明書の提示を求める。
5.3.6 検体採取において、ADOは検体採取に選択した競技者への通知が適正に試みられることを確実にする基準を確立すること。 最初の検査プログラムは競技会検査となる。そのため、事前通知はなく行われる。
6.2b)
6.3.3
ADOは検体採取セッション中に、検体採取にかかわる要員(及び競技者本人)以外に帯同する権限が与えられる人物の基準を確立する。 競技者、検体採取の要員以外に、次の人が検体採取セッションに帯同できる:
・ 選手の代理人
・ 通訳
・ ICSDアンチ・ドーピング委員会の代表
・ WADAの独立監視員
・ OCのマネージメント・チーム
6.2c)
6.3.2
アンチ・ドーピング機関(ADO)は、ドーピング・コントロール・ステーションが6.3.2に規定されている最低基準を満たしていることを確実にする。

DCOは、最低でも競技者のプライパシーを確保し、検体採取セッション中はドーピング・コントロール・ステーションとして単独に使用されるドーピング・コントロール・ステーションを使用すること。
異なる同意がない限り、ICSDはOCに対して、競技中のドーピング・コントロール・ステーションとして次のことを最低でも確保することを要求する:ドーピング・コントロール・ステーションには待機室、一つ以上の採取室、一つ以上のトイレ。これらすべては、鍵がかかる、ひとまとまりの空間でなければならない。

待機室の入口には受付用のデスクを設け、密封された飲み物のための冷蔵庫またはその他の保冷保管の装置、ピーク時を想定した十分な数の椅子が用意されなければならない。

検体採取の部屋の数はピーク時の競技者の人数に合わせて決める。各部屋には机、5客の椅子、鍵がかかる冷蔵庫、危険物のごみ箱がなければならない。

トイレは2名が入れる広さを確保し、監視人が尿検体の採取を直接見ることができなければならない。
7.4.5 ドーピング・コントロールの記録用紙に最低限必要な情報について ICSDは、競技者の住所、電話番号などの情報は必要としないことに注意。これらの情報は競技者の認証の際にOCが持っている。
競技大会の認証の際に、これらの情報が得られていない場合は、ドーピング・コントロール用紙に記入されなければならない。
8.3.1 ADOは密封された検体がドーピング・コントロール・ステーションからの移送前にその完全性、属性、安全保障性が保全されている方法にて保管されていることを確実にする基準を設ける。 その他の同意がない限り、ICSDは大会会場で採取された検体は、ドーピング・コントロール・ステーションから移送されるまで、低温で保管されなければならない。できれば、鍵のかかる冷蔵庫が使用されることが望ましい。
付録F

F3

F.4.1
pHまたは比重ガイドラインを満たしていない検体

ADOは、競技者の検体採取セッションにおける追加検体の回数に対する基準を策定する責任がある。採取された追加検体が関連分析機関の分析用ガイドラインを満たしていない場合、ADOは当該競技者に対して、新たな検体採取セッションを予定し、必要な場合、引き続き適切な処置を行う責任がある。
ICSDは、契約分析機関及びOCと協議し、pHと比重ガイドラインを検体収集の時に測る必要があるか決定する。
競技者の最初の検体が分析用ガイドラインを満たしていない場合、ICSDは、1回の追加検体の採取を要求する。
競技会のドーピング・コントロール・プログラムが、他の分析機関も使用すると決めた場合、同様のガイドラインが適用される。
付録G 検体採取担当者の条件

ADOは、ドーピング・コントロール・オフィサー、シャペロンおよび血液採取係員の職責に必要な権限と資格条件を定めること。ADOは、すべての検体採取要員それぞれの責任要旨の職務記述を策定すること。
ICSDは、OCがNADOとともに作業を行っている場合、主催国の既存のアンチ・ドーピング要員を使用し、また競技会のアンチ・ドーピング・プログラムを実施するに必要な追加要員を募集し、研修する計画を認める。