第24回夏季デフリンピック 日本選手団編成にかかる指針
(全日本ろうあ連盟デフリンピック派遣委員会 2020年4月2日策定)
はじめに
第24回デフリンピック夏季大会(ブラジル、カシアス・ド・スル2021)に、
(1)高水準の競技に対応する準備ができている競技者のみを派遣し、
(2)競技者が持てる能力を最大限に引き出す環境を整えるために、
一般財団法人全日本ろうあ連盟デフリンピック派遣委員会(以下、派遣委員会)は日本選手団編成にかかる指針をここに策定し、一般財団法人全日本ろうあ連盟2019年度第4回理事会承認をもって発表する。各競技団体はこの指針をもとにブラジル・カシアス・ド・スル2021でメダルを競えるための選手強化及びチーム編成準備を行う。
1.日本選手団編成基本方針
(1)日本代表選手団は、デフリンピック及びデフスポーツの発展に寄与するとともに、社会規範を遵守し、公平性・誠実性・協調性に基づき行動できる選手・役員をもって編成する。
(2)選手は、競技団体から推薦された者で国民の期待に応え得る競技力を有する者とし、役員は、競技団体から推薦された者で、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるようにサポートできる者とする。
2.日本代表選手・役員選考・決定
選手・役員(スタッフ)は、所属する各競技団体が定める第24回デフリンピック競技大会における日本代表選手・役員選考規程に基づき選考され、派遣委員会に推薦された候補者の中から以下の基準により選考し、決定するものとする。
なお、各競技団体が定める第24回デフリンピック競技大会における日本代表選手・役員選考基準は派遣委員会との協議により定めるものとする。各競技団体はその選考基準及び選手からの不服申し立ては公益財団法人日本スポーツ仲裁機構の「スポーツ仲裁規則」に従ってなされるスポーツ仲裁により解決されるものとすること(自動応諾)を公表しなければならない。
3.日本選考基準について
国民の期待に応え得る競技力をもつとして競技団体から推薦された候補者で、次の(1)~(4)に掲げる全ての条件を満たす者を選考する。
(1)第24回夏季デフリンピック競技大会の参加資格を満たしている者
(2)当該競技においてメダル獲得または入賞の可能性のある者
(3)わが国を代表する選手として推薦できる者(健康状態に問題がないこと、代表選手として不適切な行動がないこと、反社会的勢力との関わりがないこと
(4)上記の条件に加え、2025年デフリンピック競技大会でのメダル獲得・入賞等、将来的な活躍が期待できる次世代の者
各競技団体は推薦する選手・スタッフがデフリンピックの精神を認識し、かつデフリンピック大会規則及び該当競技規則と世界アンチ・ドーピング規定について理解しており、日本選手団団員として責任ある行動をとることを保証しなければならない。
国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)規約により、デフリンピックに参加するろう者の選手団員はICSD加盟団体の会員でなければならない。新しく参加する選手は2020・2021年度において一般財団法人全日本ろうあ連盟会員でなければならない。前大会(サムスン2017)出場選手は、2018・2019・2020・2021年度において一般財団法人全日本ろうあ連盟会員でなければならない。
4.競技チームの役員(スタッフについて)
(1)デフリンピックで定める各競技につき最低2名のスタッフを保証する。
(2)原則として選手4名ごとに1名のスタッフを保証する。
(3)スタッフにどの役割を振るかは各競技団体が決定する。ただし、監督、チームドクター及びトレーナーを必ず置くこと。なお、監督、チームドクター及びトレーナーは下記を備えていることを条件とする。
※ただし、チームドクターについては、競技団体スタッフの実状を加味し、適切な人材を推薦できない場合は、派遣委員会と協議して調整を行う。
◎監督
・国際競技大会に出場および監督経験を持ち、国際大会戦略に熟達していること。かつマネジメント及びコーチングについても一定の経験を有していること。
・デフリンピック大会規則及び該当競技規則に熟知していること。
・代表選手団本部と連携できること。
◎チームドクター、トレーナー
・デフアスリートの特性を熟知し、選手の体調管理の支援、必要に応じ医療処置を施せること。
・国際競技大会への帯同経験を持ち、選手のコンディショニングに熟達していること。
・日本手話言語ができることが望ましい。
(4)保証人数を超えるスタッフの配置を認めることもあるが、各競技団体が経費を負担することとする。
5.本部役員(スタッフ)について
競技上の様々な対応を迅速に行う指示系統の観点から、選手団編成は、団長、副団長、総務とし、それぞれの任務は下記の通りにする。
団長の任務は派遣委員会によって委託された職務に加えて、ICSD事務局、デフリンピック組織委員会(DOOC)事務局との連絡調整を行う。そのため、任務を全うできる立場である一般財団法人全日本ろうあ連盟理事会から理事を配置する。
団長 | 選手団を統括し、選手団を代表する。 | 一般財団法人全日本ろうあ連盟理事(スポーツ委員会委員長) |
副団長 (競技・広報担当) | 団長の指示を受けて競技チームを統括し、選手団の広報活動の統括を行う。 | 一般財団法人全日本ろうあ連盟スポーツ委員会委員 |
副団長 (総務担当) | 団長の指示を受けて本部を統括する。 | 一般財団法人全日本ろうあ連盟スポーツ委員会委員 |
●競技・広報担当管轄 | ||
広報 | 大会の派遣に関わる写真・動画撮影を担当する。 | |
(各競技団体の監督…各競技チームを統括する。各競技の規則に熟知し、各競技のTDとコミュニケーションがはかれていることが求められる。) | ||
●総務担当管轄 | ||
医師 | メディカルチームとして連携して、選手の体調管理を支援し、必要に応じて医療処置を施す。 | |
看護師 | メディカルチームとして連携して、看護活動を行う。 | |
アスレチックトレーナー | メディカルチームとして連携して、競技チームのコンディショニング活動を支援する。 | |
手話言語通訳 | 本部での手話言語−日本語通訳を行う。 | |
国際手話通訳 | 本部での国際手話-日本手話言語の通訳を行う。 | |
事務局 | 総務の指示を受けて、必要な業務を担当する。 | |
輸送 | 組織委員会との連絡、渡航・滞在の業務を担う。 | |
人数:16名程度 |
※なお、選手団人数、派遣先の現状に応じて役割・人数は調整することがある。
6.選考・決定手順
(1)競技団体より 推薦された選手・役員候補者リストを受理する。
(2)選考基準により派遣委員会および全日本ろうあ連盟スポーツ委員会医学委員会により選考する。
(3)派遣委員会により決定する。
(4)一般財団法人全日本ろうあ連盟理事会にその決定を報告する。
(5)推薦のあった競技団体へ通知するとともに公表する。
(6)選考結果に対する不服申し立ては、公益財団法人日本スポーツ仲裁機構の「スポーツ仲裁規則」に従ってなされるスポーツ仲裁により解決するものとする。
7.提出文書
(1)派遣委員会が定める書式で次の文書を提出すること。
①推薦選手・役員 一覧表
②推薦選手・役員 調査書
③健康調査書及び健康診断書
④服用薬物およびサプリメントについての調査書
⑤その他 派遣委員会が求める資料(緊急時の対応・責任範囲について等)
(2)選手の推薦にあたっては、競技団体内に選考委員会を設置し、推薦選手一覧表と併せて次の資料を提出すること。
①競技団体で定める代表選手選考規程(基準)
②推薦の根拠とした資料(国際ろう者スポーツ委員会が定めた参加制限〈出場枠など〉・ 公式ランキング・公式記録、全国ろうあ体育大会参加記録など)
③選手選考にあたって問題が生じた場合、その内容についての説明資料
④その他 派遣委員会が求めるもの