聴覚障害者の強制不妊手術等の調査結果及び今後の取り組みについて
当連盟の47加盟団体を対象に「旧優生保護法に基づく強制不妊手術等の調査」を2018年3月25日~5月25日までの間、実施しました。
法律に基づいたものかどうかは確認できてはいないものの2018年5月25日時点で被害者が70名もいることを、2018年6月9日、全国ろうあ者大会(於 大阪)で数名の被害当事者同席のもと記者会見において発表しました。
しかしながら調査期間が2ヶ月という短期であり、問題がデリケートなため触れにくく対象者を絞り切れなかったこと、また対象がわかっても本人が調査に応じる環境がなく(問題に対する理解、認知症、コミュニケーション困難や存命家族への配慮等)詳細の確認が困難であること等の理由により、回答のあった加盟団体はわずか11団体だったため8月31日まで調査期間を延長しました。更に、その回答の不明確さをなくすため再度の確認や回答催促作業をするため9月30日まで調査期間を延長しました。
その結果として、2018年9月30日時点で109名の被害者がいることが判明しましたので、ご報告いたします。
調査の概要
- 調査期間
2018年3月25日~2018年9月30日 - 加盟団体からの回答結果 →実態調査報告のダウンロード(PDF)
回答あり→ 47団体
内訳→ 被害該当者有 21団体
被害該当者無 1団体
調査困難のため未実施 11団体
10月以降も調査継続の希望あり報告まち 14団体
回答なし→ 0団体 - 被害該当者の内訳や主な状況
・男女比は男性26名、女性83名 計109名(但し複数回の手術被害者あり)
・手術件数は強制不妊手術 46件、中絶手術 39件、断種手術 26件、不明 16件該当者数(性別) 手術方法(件数) 男性 女性 断種 不妊 中絶 不明 小計 26 83 26 46 39 16 合計 109 127 ※不明は、認知症による対話困難また高齢のため明確な記憶がない等の被害者
・周りからの誤情報により本人が自己決定できず手術を受けたケース(5件)
・手術を勧める、また手術を強制した人は近親者やろう学校関係者のケース(31件)
その他
・この調査報告数には含まれていないが、障害を理由に結婚や出産を反対されたり、産んだ子供を養子に出されたケース
・受診等記録が残っている例もわずかにあるが旧優生保護法による手術なのか、都道府県審査会に残っている記録につながるものは少なく確認ができないものが多いのも特徴 - 今後に向けて
子どもを産み育てる権利が奪われたという事実は決して無視できないものであり、被害者が高齢化している上、被害当事者による提訴が相次いでおり事態は刻々と進んでいくので日本聴力障害新聞等を通じた情報の整理・発信はもとより、他の障害者団体、弁護団、優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟等と連携し運動を急ぐ必要があります。
発表数字は、継続して調査をしている団体もあるので定期的に更新していきます。具体的な取り組みにつきましては、11月中旬以降に、検討チームを立ち上げ活動を展開していく予定です。活動については日本聴力障害新聞および当連盟HP等で発信いたします。
※11月12日(月)11:00より厚生労働記者会におきまして記者会見を行う予定です。ご質問のある方は記者会見の場、もしくはメールにてお問合せいただきますようお願い申し上げます。