自民党へ「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案」について要望書を提出



 2018年1月29日(月)、自由民主党 ユニバーサル社会推進議員連盟の会合が開かれ、全日本ろうあ連盟から大竹理事が出席し、「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案」についての要望を行いました。

 計12の障害者団体の出席がありました。

出席:
  ・全日本ろうあ連盟/大竹理事
  ・自由民主党 ユニバーサル社会推進議員連盟
   会長 石破 茂 様
   事務局長 盛山正仁 様

参考リンク:
電話リレーサービスについて
手話マーク・筆談マークについて

石破 茂 様
石破 茂 様
盛山正仁 様
盛山正仁 様
大竹 理事
大竹理事

連本第170639号
2018年1月29日

自由民主党 ユニバーサル社会推進議員連盟
会長 石破 茂 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案」に関する要望

 平素より聴覚障害者福祉の向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 先般、ご提示いただきました「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案」及び、情報アクセシビリティの推進に向け、下記の通り要望いたします。

1.新法の実効性をより確かなものとするためにも、障害者を取り巻く社会経済情勢等の変化や市民ニーズ等を踏まえ、「意思疎通(「情報アクセス」と「コミュニケーションの保障」)」のための手段の確保だけでなく「言語の選択権の保障」を法文に明記してください。

<説明>
 「障害者権利条約(以下、権利条約)」では「手話」が言語のひとつとして規定されると同時に、第9条では「施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ)」、第21条では「表現及び意見の自由、情報の利用の機会」が明記されています。また「障害者基本法(以下、基本法)」では、基本原則の一つとして「言語(手話を含む。)その他の意思疎通の手段を選択する機会の確保」と「情報を取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大」(第3条の3)が規定されています。
 これらに基づき、ろう者が手話を獲得するための機会保障とろう者の「情報アクセス」及び「コミュニケーションの権利」が保障されるよう、「意思疎通のための手段の確保と言語の選択権の保障」について、法文に明記してください。

2.電話リレーサービス等、ITCを利用した通信サービスの拡充について
 聴覚障害者の情報アクセスの一助として電話リレーサービス等がありますが、現在わが国ではこの制度が十分に整っておりません。電話による情報アクセスが聞こえるものにとって必要不可欠であるように、聴覚障害者にとっても電話の音声情報を視覚情報で得ることができるシステムは、聴覚障害者の社会参加を飛躍的に向上させます。この通信サービスシステムの整備・拡充を早急に行ってください。

3.「手話言語法」の制定を早急に進めてください。

1)「手話言語法」の早期制定について
 手話が「言語」の一つとして規定されていることについては、前述1の通りです。しかし、手話を「言語」として明記するだけにとどまらず、ろう者が手話を獲得することをはじめ、手話による情報獲得や手話によるコミュニケーションを保障する法律、「手話言語法」はまだありません。
 我々はこの「手話言語法」の制定に向けて、2010(平成22)年より取り組んでおり、その結果、1,788ある全ての自治体の議会において「手話言語法制定を求める意見書」が採択され、2018年1月17日現在、全国125の自治体で手話言語に関する条例が成立・施行しています。また、条例制定を機に、首長間のネットワーク化が進められ、「全国手話言語市区長会」(現在389の区市町が入会)や「手話を広める知事の会」(現在すべての都道府県知事が会員)が設立されています。
 ろう者が手話を用いて、聞こえる人と対等に社会参加をしていくためにも、手話を「言語」として規定し、手話を獲得し手話で学べるようにするための環境整備と手話言語を研究・普及・保存していくことを保障するための法律「手話言語法」の制定を「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案」と合わせ、早急に進めてください。

2)「情報・コミュニケーション法」の早期制定について
 聴覚障害、盲ろうをはじめ、話すこと、聞くこと、見ること、書くこと、読むこと、認知することに困難がある人達は、情報アクセスとコミュニケーションに制限を受けています。そのため、憲法で保障された権利を行使とするときに必要な情報アクセスとコミュニケーションを保障する制度も、縦割り行政のなかで部分的に保障されている状況が続いており、依然として「制度の谷間」が存在します。
 障害者が自由に情報にアクセスでき、自らのコミュニケーション手段を選択できることは、国民として等しく社会参加ができることであり、社会全体にとってプラスになるはずです。あらゆる場面における「情報アクセスとコミュニケーション手段の選択」を保障するための法律「情報・コミュニケーション法」の制定を、「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案」と合わせ、早急に進めてください。

以 上