ごあいさつ



理事長 石野富志三郎

大会宣言

一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

 70回目の節目となる全国ろうあ者大会が、コロナ禍でも感染拡大防止対策を講じ、ここ広島の地で開催される喜びを、3年ぶりに集った仲間とともに分かち合いたいと思います。

 連盟が長年求めてきた「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が、2022年5月19日、衆議院本会議で全会一致で可決、成立しました。
 パンフレット「We Loveコミュニケーション」の普及・署名運動から実に12年、長い道のりを経て今、この法が制定されたことに大きな喜びを感じます。
 また、附帯決議には、「手話言語法の立法を含め、手話に関する施策の一層の充実の検討を進めること」が盛り込まれました。これは、連盟と加盟団体、地域行政が一体となって展開した「手話言語法制定を求める意見書」の成果が着実に認められているということです。
 きこえない・きこえにくい人をはじめ、障害のある人、ひいてはすべての国民にとって、情報・コミュニケーションは社会参加の基本です。この法をもとに、私たちは、いつでもどこでも必要なときに、コミュニケーションが権利として保障されるよう取り組んでいきます。そして、私たちが求め続けている「手話言語法」制定へ向かって、さらに運動を推し進めていく決意です。

 一方で未だ、きこえない人を取り巻く差別は社会の中に根強く残っています。
 大阪府立生野聴覚支援学校児童が被害を受けた事故の裁判では、きこえない児童の逸失利益をめぐり、優生思想とのたたかいが続いています。旧優生保護法下において不妊手術を強制された被害者の裁判では、2022年2月から各地の高裁で、違憲性と国家賠償責任の両方を認める判決が出され始めましたが、国は判決を不服として上告しています。被害者の一刻も早い人権回復と、差別や偏見のない社会の実現のため、私たちはこれからも自ら学び、行動を起こしていきます。

 そして、2025年夏季デフリンピックの東京開催決定をまもなく迎えようとしています。初の自国開催は私たちの悲願です。夢を育むデフリンピックは世界平和があって初めてできます。2022年2月にロシアはウクライナの侵攻を始めました。この侵攻は現地ろう者を含む人々の生活の安全を脅かし、デフリンピックが目的とする国際親善をも侵そうとしています。障害のある人や児童なども犠牲になる戦争は、絶対に看過することはできません。
 私たちは、原爆の被害を受け、同じ悲しみを繰り返さないと誓うヒロシマの地に立ち、「地に空に平和を」求めて、ろうあ運動の歩みをさらに発展させていくことを誓います。

2022年6月12日
第70回全国ろうあ者大会