ごあいさつ

ごあいさつ
理事長 石橋 大吾
自然の恵みにあふれる岩手県盛岡市において「第73回全国ろうあ者大会」を開催し、全国各地から多くの参加者を迎え、開催できる喜びを、ここに集う皆さまとともに分かち合いたいと思います。
私たちは、きこえないことできこえる人に比べ劣る存在であるという「医学モデル」に起因する社会的差別や偏見をなくすため、これまでろうあ運動を続けてきました。
その運動の成果として、2024年7月の優生保護法最高裁判所の判決では、旧優生保護法下で行われていた強制不妊手術や中絶手術は、優生思想に基づく重大な人権侵害、憲法違反であると断罪し、国に対して被害者へ賠償金の支払いを命じ、2025年1月の大阪府立生野聴覚支援学校児童の事故死訴訟裁判では、これまでの判断を覆す、被害者の逸失利益が障害のない者と同額とする画期的な判決が下されています。
これら2つの判決では「障害は個人の問題ではなく、社会の差別・偏見や環境によって生じるのだ」ということが明確に示されています。私たちのこれまでの取り組みにより、ようやく「社会モデル」という考え方が浸透し始めたと言えるでしょう。
この考え方は、さまざまなところで取り組まれ、理解も広まってきています。私たちはこれからも力を合わせて、人々の心の中に根強く残る無意識の差別や優生思想を取り除き、真の共生社会の実現をめざしていきたいと思います。
さて、いよいよ本年11月に東京2025デフリンピックが開催され、本日ここ岩手から全国を巡るキャラバン活動がスタートします。
このキャラバンを通して、デフスポーツやデフリンピックに対する認知度と気運を全国で高めていくとともに、デフスポーツを応援する方や理解する方を増やし、この機会を逃さず、デフスポーツの環境整備と地位向上にも取り組んでいきます。
最後になりましたが、本大会の開催に向けて多大なるご尽力を賜りました実行委員会の皆さま、そして公私ともにお忙しい中ご臨席いただきました岩手県及び盛岡市をはじめご来賓の皆さまに心より感謝申し上げ、私の挨拶といたします。
2025年6月15日
第73回全国ろうあ者大会 in いわて