中野洋昌国土交通大臣と面談



 2025年2月5日(水)、中野洋昌国土交通大臣に全日本ろうあ連盟の河原副理事長、久松事務局長が面談し、公共施設や公共交通機関等への情報・コミュニケーションバリアフリー環境整備にかかる要望および意見交換を行いました。
 面談の場に、公明党の斉藤鉄夫代表、公明党2025年東京デフリンピック大会推進本部の岡本三成本部長、浮島智子顧問、山本博司顧問、塩田博昭事務局長にご同席いただきました。

連本第240573号
2025年2月5日

国土交通大臣
中野 洋昌 様

〒162-0053 東京都新宿区原町3‐61桂ビル2階
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石橋 大吾

公共施設や公共交通機関等への
情報・コミュニケーションバリアフリー環境整備にかかる要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、きこえない・きこえにくい人の情報・コミュニケーションバリアフリーの推進にご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 2021年に障害者差別解消法が改正され、2024年4月から行政機関に加え事業者等にも障害のある人への合理的配慮の提供が義務化され、公共施設や公共交通機関、事業者等に合理的配慮や環境整備の取り組みが広まりつつあります
 当連盟が主体となり、本年開催する東京2025デフリンピックでは、「デフリンピックを通してめざすもの」に、きこえない・きこえにくい人や手話言語に対する理解の促進などに取り組むとともに、デジタル技術を活用した、国籍や障害の有無が異なる様々な人の間のスムーズなコミュニケーションを実現することを掲げています。
 大会を契機に、国籍や言語の違いに関わらず、誰もが安心、安全に生活ができるように、更なる情報・コミュニケーションバリアフリーの環境整備を講じていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

1. 公共施設や公共交通機関等へ、手話言語を含む多言語対応通訳システムの導入を推し進めてください。

(説明)
 2020年に国土交通省は、「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」での議論を踏まえ、2021年度以降のバリアフリー目標の整備に向けた最終とりまとめを公表されました。
 その最終とりまとめでは、次期目標の設定に向けた見直しの視点のひとつに、ハード・ソフト両面でのバリアフリー化をより一層推進していく観点から、「聴覚障害及び知的・精神・発達障害に係るバリアフリーの進捗状況の見える化」を打ち出しております。
 しかし、「旅客施設のバリアフリー指標として、案内設備(文字等及び音声による運行情報提供設備、案内用図記号による標識等)を明確に位置付けることとする」という範囲にとどまっており、手話言語を含む多言語対応通訳システムは対象となっていません。
 公共施設や公共交通機関等への手話言語を含む多言語対応通訳システムの導入を推し進めるため、必要な措置を講じてください。

2. 全国各地の公共施設や公共交通機関等の音声アナウンスを多言語化・文字化する取り組みを推し進めてください。

(説明)
 全国各地の公共施設や公共交通機関等では、音声アナウンス等の様々な音声情報に満ち溢れています。しかし、国籍や言語の違う人やきこえない人は公共交通機関等の音声アナウンスがわからずに、音声情報から取り残されてしまいます。
 2024年11月に、東京地下鉄株式会社(東京メトロ)とヤマハ株式会社は、東京都の「鉄道駅におけるユニバーサルコミュニケーションシステム整備事業費補助金」を活用し、「東京 2025 デフリンピックの開催を見据え、駅構内アナウンスの多言語化・文字化を推進」すると発表されました。
 国土交通省におかれましても、情報・コミュニケーションバリアフリーにかかる整備事業の補助金制度を構築し、全国各地の公共施設や公共交通機関等の音声アナウンスを多言語化・文字化する取り組みを推し進めてください。

3. 東京2025デフリンピックの開催年となる2025年に、国土交通省が所管する重要インフラ施設(航空、空港、船舶、鉄道分野等)における大会周知に取り組んでください。

(説明)
 大会1年前となる今年11月に羽田空港や東京メトロ等で施設が有するデジタルサイネージ等で大会周知動画や素材物の掲出等、大会周知にご協力いただきました。しかし、あくまでも企業の厚意として、社会貢献活動の一環によるものです。
 開催年となる2025年は、国民や訪日観光客の多数が利用するインフラ施設(航空、空港、船舶、鉄道分野等)における大会周知を行うことで、私どもだけでなく、政府も大会を盛り上げるために共に取り組んでいることを、国内外に知らしめてください。

4. 交通・観光分野におけるきこえない・きこえにくい人への接遇の向上と職員研修を推進してください。

(説明)
 大会開催基本計画では、大会を通じてデフスポーツやろう者の文化への理解を促進させ、障害のあるなしや年齢などに関わらず、誰もが互いの違いを認め、尊重しあう社会への歩みを進めていくことを、大会後のレガシーの一つとして考えています。
 当連盟デフリンピック運営委員会では、子どもたちや国民に大会への関心を高めていただくと共に、きこえない・きこえにくいことや手話言語等についても知っていただくため、「未来へつながるプログラム」を策定しました。
 本プログラムは、学校向けの「教育ワークショップ型プログラム」や自治体等向けの「イベントワークショップ型プログラム」等で構成しています。
 東京2020オリンピック・パラリンピックでは、学校や企業等に「心のバリアフリー教育」が展開されたように、本大会では交通・観光分野におけるきこえない・きこえにくい人への接遇の向上と職員研修の推進に取り組んでください。

5. 大会を契機に日本を訪れるデフアスリートや応援客(訪日観光客)に向けて、日本の文化や日本のろう者の芸術文化を発信する取り組みを助成してください。

(説明)
 大会期間中は、国立オリンピック記念青少年センターに「デフリンピックスクエア」を設置することになっています。
 デフリンピックスクエアは、世界各国のデフアスリート同士の交流や、子どもたちや国民が大会を体感できる拠点となるものであり、文化体験、交流コーナー等を設置する予定です。
 特に、世界各国のデフアスリートや応援客(訪日観光客)に、日本の文化や日本のろう者の芸術文化を体験したり、知ってもらうため、様々なコンテンツの製作や展示等が必要となります。
 大会を契機に日本を訪れるデフアスリートや応援客(訪日観光客)に向けて、日本の文化や日本のろう者の芸術文化を発信する取り組みを助成してください。

以上

集合写真

写真左から
塩田博昭議員(2025年東京デフリンピック大会推進本部 事務局長)
浮島智子議員(2025年東京デフリンピック大会推進本部 顧問)
久松三二(全日本ろうあ連盟 常任理事・事務局長/デフリンピック運営委員会委員長)
河原雅浩(全日本ろうあ連盟 副理事長)
国土交通大臣 中野洋昌様
公明党 代表 斉藤鉄夫様
山本博司議員(2025年東京デフリンピック大会推進本部 顧問)
岡本三成議員(2025年東京デフリンピック大会推進本部 本部長)

面談の様子

面談の様子

【参考】
2025年デフリンピック大会ポータルサイトへ
現在までのデフリンピック2025日本開催に向けた取り組み
デフリンピックについてはこちらへ