内閣府、総務省、厚生労働省、気象庁にきこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望を提出



 2024年12月12日、聴覚障害者災害救援中央本部より内閣府、厚生労働省、気象庁を訪問し、要望書を提出しました。
 全日本ろうあ連盟石橋大吾理事長、全国手話通訳問題研究会渡辺正夫会長が面談し、意見交換を行いました。

・聴覚障害者災害救援中央本部
 ・運営委員長  石橋大吾(一般財団法人全日本ろうあ連盟 理事長)
 ・副運営委員長 渡辺正夫(一般社団法人全国手話通訳問題研究会 会長)
 ・事務局長   山根昭治(一般財団法人全日本ろうあ連盟 本部事務所長)

内閣府
内閣府に要望書を提出

内閣府
内閣府との意見交換

厚生労働省
厚生労働省に要望書を提出

厚生労働省
厚生労働省との意見交換

気象庁
気象庁に要望書を提出

気象庁
気象庁との意見交換

聴本第240001号
2024年12月12日

 内閣府特命担当大臣(防災)
  坂井 学  様

聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石橋 大吾

きこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望

 日頃より、私たちきこえない、きこえにくい人(以下、きこえない人)へのご支援を賜り感謝申し上げます。
 昨今の異常気象による自然災害などが多発しています。緊急事態が発生すると、きこえない人は最新の情報が入りにくいため、多くの困難に直面します。今後も起こりうる緊急事態に備え、早急に対策を進めていかなければ、安心して暮らすことはできません。
 これまでの状況をふまえ、きこえない人に係る施策について下記のとおり要望いたします。

1 要援護者名簿作成及び個別避難計画策定についての要望

(1) 平成25年に義務化された「避難行動要支援者名簿の作成」及び令和3年に努力義務化された「個別避難計画の作成」において、支援者が訪問や窓口応対の際に対象者(きこえない人)にあったコミュニケーション手段による対話を行えるよう、十分な情報保障体制を整える必要があることを指針・手引き・ガイドラインに明示してくださいと昨年度の要望に対して、取り組み指針に応じての市町村の事例の紹介や分かりやすい周知啓発に取り組んでいきたいと回答をいただきました。その後の取り組み状況をお聞かせください。

(2) 個別避難計画の対象は「要介護度3~5の高齢者や身体障害者手帳1級・2級等を所持している者などの自ら避難することが困難な者のうち、ハザードマップで危険な区域に住む者や、独居または夫婦二人暮らしの者など、計画作成の優先度が高いと地方公共団体が判断する者」となっていますが、これまでの被災状況をふまえて、きこえない人はすべからく個別避難計画の対象になるようにしてください。また、計画作成にあたって要支援方法が事前にわかるような設問(それぞれのきこえない・きこえにくい人に合った、手話言語、指文字、筆談、指点字、拡大文字などの配慮方法)の内容を工夫して、市町村へ周知を図ってください。

(3) 平成25年に改訂された「災害対策基本法」において、避難行動要支援者名簿を活用するために、福祉専門職やかかりつけ医などの医療職のほか、地域の鍵となる人や団体との連携が挙げられていますが、実際に当事者団体が連携するには個人情報の取り扱いネックになっていると言われます。
 昨年3月防災分野における個人情報の取り扱い指針が制定され、市町村、都道府県においても避難行動要支援者名簿や個別避難計画の提供が適切かつ円滑にできるよう取り組み、周知啓発したいと示されました。その後の取り組み状況をはじめ、個人情報の取り扱い指針の内容をお聞かせください。

2 避難行動要支援者が外出中に災害等緊急事態が発生した場合の支援方法について、対応指針やマニュアルなどを整備してください。これまでの被災対策は、自宅や避難所での対応が大半で、避難行動要支援者が外出中の対応をどうするのか、帰宅困難者対策も含めて、明確な基準がありませんでした。きこえない人はきこえる人と同様に外出することも多く、外出先でどのように緊急事態を把握し、速やかに避難するかについて、対策方法を整備してください。
 例えば、情報アクセシビリティ対応機器「アイ・ドラゴン」などの視覚的情報発信を、いつでもどこでも行う仕組みなどが必要とされると考えます。また、災害時の電波の輻輳を未然に防ぐことは、避難行動要支援者の情報アクセスに関わる重要なインフラを守ることになります。
 なお、大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン(平成27年・内閣府)では、要支援者に関する記述は「特別搬送者の搬送」のみでした。
 昨年度は、他省庁との回答不可とのことでしたが、いつどこで災害発生するかわからない状況なので、自分が住む地域以外でも情報を取得できるような仕組みを省庁が連携して推し進めてください。

3 官邸や各省が実施する緊急会見においては、必ず手話言語通訳者を配置するとともに、テレビ放送の際にテレビ放送局の判断で手話言語通訳者がカット(フレームアウト)されないよう、手話言語通訳者の立ち位置を発表者のすぐ前にするなどの工夫をしてください。
 きこえない人にとっては、解説者と手話言語通訳者を同一画面で見る方法で安心感があります。また、きこえる人は聞く権利があるように、きこえない人も見る権利と知る権利があります。

4 緊急災害時の個人情報保護の観点において、個別訪問に当事者団体にも締結できるよう配慮してください。
 令和6年能登半島地震では、きこえない・きこえにくい人の安否確認ができていない状況でした。該当する県と市町は、日本相談支援専門員協会等に戸別訪問を実施しました。しかし、当事者でないと分からないことも多く、加盟団体や聴覚障害者情報提供施設さえ、動向が掴めないでおりました。平成23年度東北地区太平洋地震では、陸前高田市はJDFに対して締結して戸別訪問をしましたので、戸別訪問には当事者団体に締結して派遣できるよう取り計らってください。

5 役所などの公的機関や災害時の一般避難所における備品のガイドラインに、手話・字幕付き放送「目で聴くテレビ」が視聴できる情報アクセシビリティ対応機器「アイ・ドラゴン」を入れてください。
 また、災害時に福祉避難所となる施設全てに情報アクセシビリティ対応機器「アイ・ドラゴン」を設置し、それに係る受信料などの補助の予算化を図ってください。
 福祉避難所は市町村で指定を受けていますが、特別支援学校にはきこえない子どもだけでなく、様々な障害児にも馴染みやすい場所であり、文部科学省へ働きかけて、学校管理者と市町村の避難所の連携がスムーズに行えるよう進めてください。

※「アイ・ドラゴン」について
IPTV受信機「アイ・ドラゴン」は、きこえない・きこえにくい人、高齢者等のために手話・字幕を挿入したテレビ放送の補完放送を行うだけでなく、緊急災害時にいち早く情報を伝える役割を担っています。全国の一般避難所及び福祉避難所に「アイ・ドラゴン」を設置することで、きこえない人に災害情報も的確に情報を伝えることができます。

リアルタイム字幕・手話放送

●聴覚障害者災害救援中央本部
(構成団体)
一般財団法人全日本ろうあ連盟
一般社団法人全国手話通訳問題研究会
一般社団法人日本手話通訳士協会
【連絡先】
 一般財団法人全日本ろうあ連盟
 〒162-0053
 東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
 電 話 03-6302-1430
 FAX 03-6302-1449

聴本第240002号
2024年11月19日

 総務大臣
  村上 誠一郎  様

聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石橋 大吾

きこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望

 日頃より、私たちきこえない、きこえにくい人(以下、きこえない人)へのご支援を賜り感謝申し上げます。
 昨今の異常気象による自然災害等が多発しています。緊急事態が発生すると、きこえない人は最新の情報が入りにくいため、多くの困難に直面します。今後も起こりうる緊急事態に備え、早急に対策を進めていかなければ、安心して暮らすことはできません。
 これまでの状況をふまえ、きこえない人に係る施策について下記のとおり要望いたします。

1 ローカル局が製作したものを含めた全ての災害関連テレビ番組に「手話通訳」と「字幕」をつけるため、助成をおこなうとともに、激甚災害時は特別措置として「手話通訳」と「字幕」をつけるための費用を補償してください。被災地の水や食料の配給、罹災証明の受付など、きこえない人は必要な地域の災害情報を入手できない状況にあります。キー局とローカル局の手話通訳付与、字幕対応に「地域格差」が出ないよう施策・助成を講じてください。
 貴省では、放送分野における情報アクセシビリティの向上を図るために、字幕放送、解説放送及び手話放送の普及目標を定める行政指針を策定し、字幕放送などの普及に向けた取り組みを促しています。その一環として、令和6年度もそれらの製作費や字幕付与設備の整備費に対する助成を行っていると伺っています。定めた普及目標数及び具体的な行政指針をお聞かせください。

2 総務省ホームページの記者会見の動画に字幕と手話通訳をつけてください。
 貴省が実施する緊急会見においては、障害者差別解消法の理念に則り、合理的配慮を図るために必ず手話言語通訳者を配置するとともに、テレビ放送の際に放送局の判断 で手話言語通訳者がカット(フレームアウト)されないよう、手話言語通訳者の立ち位置を発表者のすぐ前にするなどの工夫をしてください。
 テレビ放送の際、きこえない人にとっては、解説者と手話言語通訳者を同一画面で見る方法で安心感があります。また、きこえる人は聞く権利があるように、きこえない人も見る権利と知る権利があります。テレビ放送局の判断で手話言語通訳者をカット(フレームアウト)されないよう周知徹底を図ってください。

3 緊急災害時の個人情報保護の観点において、個別訪問に当事者団体にも締結できるよう配慮してください。
 令和6年能登半島地震では、きこえない・きこえにくい人の安否確認ができていない状況でした。該当する県と市町は、日本相談支援専門員協会等に戸別訪問を実施しました。しかし、当事者でないと分からないことも多く、加盟団体や聴覚障害者情報提供施設さえ、動向が掴めないでおりました。平成23年度東北地区太平洋地震では、陸前高田市はJDFに対して締結して戸別訪問をしましたので、戸別訪問には当事者団体に締結して派遣できるよう取り計らってください。

4 役所などの公的機関や災害時の一般避難所における備品のガイドラインに、手話・字幕付き放送「目で聴くテレビ」が視聴できる情報アクセシビリティ対応機器「アイ・ドラゴン」を入れてください。
 また、災害時に福祉避難所となる施設全てに情報アクセシビリティ対応機器「アイ・ドラゴン」を設置し、それに係る受信料などの補助の予算化を図ってください。
 また、福祉避難所は市町村で指定を受けていますが、特別支援学校にはきこえない子どもだけでなく、様々な障害児にも馴染みやすい場所であり、文部科学省へ働きかけて、学校管理者と市町村の避難所の連携がスムーズに行えるよう進めてください。

※「アイ・ドラゴン」について
IPTV受信機「アイ・ドラゴン」は、きこえない・きこえにくい人、高齢者等のために手話・字幕を挿入したテレビ放送の補完放送を行うだけでなく、緊急災害時にいち早く情報を伝える役割を担っています。全国の一般避難所及び福祉避難所に「アイ・ドラゴン」を設置することで、きこえない人に災害情報も的確に情報を伝えることができます。

リアルタイム字幕・手話放送

●聴覚障害者災害救援中央本部
(構成団体)
一般財団法人全日本ろうあ連盟
一般社団法人全国手話通訳問題研究会
一般社団法人日本手話通訳士協会
【連絡先】
 一般財団法人全日本ろうあ連盟
 〒162-0053
 東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
 電 話 03-6302-1430
 FAX 03-6302-1449

聴本第240003号
2024年12月12日

 厚生労働大臣
  福岡 資麿  様

聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石橋 大吾

きこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望

 日頃より、私たちきこえない、きこえにくい人(以下、きこえない人)へのご支援を賜り感謝申し上げます。
 昨今の異常気象による自然災害などが多発しています。緊急事態が発生すると、きこえない人は最新の情報が入りにくいため、多くの困難に直面します。今後も起こりうる緊急事態に備え、早急に対策を進めていかなければ、安心して暮らすことはできません。
 これまでの状況をふまえ、きこえない人に係る施策について下記のとおり要望いたします。

1 災害期・復興期を通した、被災したきこえない人の心のケアや生活再建の相談支援を担うろうあ相談員並びに相談や日常生活の様々な場面での情報保障を担う手話言語通訳者及び要約筆記者を公的機関への設置を図り、被災したきこえない人たちが安心して生活し、自身の生活の復興ができるよう支援してください。

2 緊急災害時の個人情報保護の観点において、個別訪問に当事者団体にも締結できるよう配慮してください。
 令和6年能登半島地震では、きこえない・きこえにくい人の安否確認ができていない状況でした。該当する県と市町は、日本相談支援専門員協会等に戸別訪問を実施しました。しかし、当事者でないと分からないことも多く、加盟団体や聴覚障害者情報提供施設さえ、動向が掴めないでおりました。平成23年度東北地区太平洋地震では、陸前高田市はJDFに対して締結して戸別訪問をしましたので、戸別訪問には当事者団体に締結して派遣できるよう取り計らってください。

3 役所などの公的機関や災害時の一般避難所における備品のガイドラインに、手話・字幕付き放送「目で聴くテレビ」が視聴できる情報アクセシビリティ対応機器「アイ・ドラゴン」を入れてください。
 また、災害時に福祉避難所となる施設全てに情報アクセシビリティ対応機器「アイ・ドラゴン」を設置し、それに係る受信料等の補助の予算化を図ってください。

※「アイ・ドラゴン」について
IPTV受信機「アイ・ドラゴン」は、きこえない・きこえにくい人、高齢者等のために手話・字幕を挿入したテレビ放送の補完放送を行うだけでなく、緊急災害時にいち早く情報を伝える役割を担っています。全国の一般避難所及び福祉避難所に「アイ・ドラゴン」を設置することで、きこえない人に災害情報も的確に情報を伝えることができます。

リアルタイム字幕・手話放送

4 貴省が実施する緊急会見においては、きこえない人にとっては、解説者と手話言語通訳者を同一画面で見る方法で安心感があります。また、きこえる人は聞く権利があるように、きこえない人も見る権利と知る権利があります。必ず手話言語通訳者を配置するとともに、テレビ放送の際に放送局の判断で手話言語通訳者がカット(フレームアウト)されないよう、手話言語通訳者の立ち位置を発表者のすぐ前にする等の工夫をしてください。

5 災害時にきこえない人の支援拠点となる「聴覚障害者情報提供施設」を全ての都道府 県・政令指定都市に設置し、福祉避難所の指定などを含めて災害時に即時に対応できる体制づくりを進めてください。
 市町村で取り組む地域生活支援事業のメニュー事業での対応は、災害時に必要な専門知識を有する人材の確保が難しい場合も多く、有効に活用できない状況です。そのため、県レベルの防災・災害対策及び支援事業が必要です。そこで、「聴覚障害者情報提供施設」の役割の一つとして、防災への啓発や訓練、災害時の情報発信、避難所などへの支援員派遣などを担えるように、必要な法整備と予算化を図ってください。
 また、福祉避難所は市町村の指定を受けていますが、特別支援学校にはきこえない子どもだけでなく、様々な障害児にも馴染みやすい場所でもあるため、文部科学省へ働きかけて、学校管理者と市町村の避難所の連携がスムーズに行えるよう進めてください。

●聴覚障害者災害救援中央本部
(構成団体)
一般財団法人全日本ろうあ連盟
一般社団法人全国手話通訳問題研究会
一般社団法人日本手話通訳士協会
【連絡先】
 一般財団法人全日本ろうあ連盟
 〒162-0053
 東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
 電 話 03-6302-1430
 FAX 03-6302-1449

聴本第240004号
2024年12月12日

 気象庁長官
  森 隆志  様

聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石橋 大吾

きこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望

 日頃より、私たちきこえない、きこえにくい人(以下、きこえない人)へのご支援を賜り感謝申し上げます。とりわけ、貴庁が実施する緊急会見においては、手話言語通訳の設置などの配慮を頂いており、心からお礼を申し上げます。
 昨今の異常気象による自然災害などが多発しています。緊急事態が発生すると、きこえない人は最新の情報が入りにくいため、多くの困難に直面します。今後も起こりうる緊急事態に備え、早急に対策を進めていかなければ、安心して暮らすことはできません。
 きこえない人への情報保障について下記のとおり要望いたします。

1.会見における手話言語通訳者の位置の工夫
 貴庁会見室の手話言語通訳者の視線をカメラに向け、解説者の隣に立ち、手話言語通訳をしていただけるような工夫をお願いします。きこえない人にとっては、解説者と手話言語通訳者を同一画面で見る方法で安心感があります。また、きこえる人は聞く権利があるよう様に、きこえない人も見る権利と知る権利があります。

2.手話言語による情報保障の拡大
 長官会見や防災解説ビデオ等、貴庁から発信される様々な防災情報にも、手話言語通訳、字幕、要約筆記などを付与し、きこえない人にも情報が届くようにしてください。

3.昨今の新たなステージに対応した防災・減災のあり方について、きこえない人や避難行動要支援者はどのような避難行動を行うとよいのか意見交換をさせてください。「2030年の科学技術を⾒据えた気象業務のあり⽅」という有識者の提言に沿って、予測精度の向上と、気象情報の利活用促進に取り組んでいるところとのことで、下記資料を軸に意見交換をお願いします。
 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kishou00_sg_000077.html

●聴覚障害者災害救援中央本部
(構成団体)
一般財団法人全日本ろうあ連盟
一般社団法人全国手話通訳問題研究会
一般社団法人日本手話通訳士協会
【連絡先】
 一般財団法人全日本ろうあ連盟
 〒162-0053
 東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
 電 話 03-6302-1430
 FAX 03-6302-1449

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