内閣府、総務省、厚生労働省、気象庁にきこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望を提出
聴覚障害者災害救援中央本部より内閣府、総務省、厚生労働省、気象庁に2022年10月20日付で要望書を提出しました。うち、内閣府については、2022年11月17日(木)に内閣府大臣官房審議官(防災担当)の五味裕一氏と全日本ろうあ連盟石野富志三郎理事長、倉野直紀本部事務所長、全国手話通訳問題研究会渡辺正夫会長、 日本手話通訳士協会高井洋副会長が面談し、意見交換を行いました。
<写真左から>高井洋副会長(日本手話通訳士協会)、渡辺正夫会長(全国手話通訳問題研究会)、石野富志三郎理事長(全日本ろうあ連盟)、内閣府大臣官房五味裕一審議官、倉野直紀本部事務所長(全日本ろうあ連盟)
聴本第220006号
2022年10月20日
内閣府特命担当大臣(防災)
谷 公一 様
聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石野 富志三郎
きこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望
日頃より、私たちきこえない、きこえにくい人(以下、きこえない人)へのご支援を賜り感謝申し上げます。
昨今の異常気象による自然災害等が多発しています。緊急事態が発生すると、きこえない人は最新の情報が入りにくいため、多くの困難に直面します。今後も起こりうる緊急事態に備え、早急に対策を進めていかなければ、安心して暮らすことはできません。
これまでの状況をふまえ、きこえない人に係る施策について下記のとおり要望いたします。
記
1 要援護者名簿作成及び個別避難計画策定についての要望
(1)平成25年に義務化された「避難行動要支援者名簿の作成」及び令和3年に努力義務化された「個別避難計画の作成」において、支援者が訪問や窓口応対の際に対象者(きこえない人)にあったコミュニケーション手段による対話を行えるよう、十分な情報保障体制を整える必要があることを指針・手引き・ガイドラインに明示してください。
(2)個別避難計画の対象は「要介護度3~5の高齢者や身体障害者手帳1級・2級等を所持している者等の自ら避難することが困難な者のうち、ハザードマップで危険な区域に住む者や、独居または夫婦二人暮らしの者など、計画作成の優先度が高いと地方公共団体が判断する者」となっていますが、これまでの被災状況をふまえて、きこえない人はすべからく個別避難計画の対象になるようにしてください。
(3)平成25年に改訂された「災害対策基本法」において、避難行動要支援者名簿を活用するために、福祉専門職やかかりつけ医などの医療職のほか、地域の鍵となる人や団体との連携が挙げられていますが、実際に当事者団体が連携するには個人情報の取り扱いネックになっていると言われます。
例えば、当事者団体が個人情報を適切に管理出来る体制及び規程等を整備していることを条件にするなどし、当事者団体との連携を促進するような仕組みを整備してください。
2 官邸や各省が実施する緊急会見においては、必ず手話通訳者を配置するとともに、テレビ放送の際に放送局の判断で手話通訳者がカット(フレームアウト)されないよう、手話通訳者の立ち位置を発表者のすぐ前にするなどの工夫をしてください。
(アメリカのフロリダ州リック・スコット知事による台風の緊急会見の例です)
3 役所等の公的機関や災害時の一般避難所における備品のガイドラインに、手話・字幕付き放送「目で聴くテレビ」が視聴できる聴覚障害者専用情報受信装置(アイ・ドラゴン)を入れてください。
また、災害時に福祉避難所となる施設全てに聴覚障害者専用情報受信装置(アイ・ドラゴン)を設置し、それに係る受信料等の補助の予算化を図ってください。
※「アイ・ドラゴン」について
IPTV受信機「アイ・ドラゴン」は、聴覚障害者等のために手話・字幕を挿入したテレビ放送の補完放送を行うだけでなく、緊急災害時にいち早く情報を伝える役割を担っています。全国の一般避難所及び福祉避難所に「アイドラゴン」を設置することで、きこえない人に災害情報も的確に情報を伝えることができます。
聴覚障害者災害救援中央本部
(構成団体)
一般財団法人全日本ろうあ連盟
一般社団法人全国手話通訳問題研究会
一般社団法人日本手話通訳士協会
【連絡先】
一般財団法人全日本ろうあ連盟
〒162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
TEL 03-3268-8847 FAX 03-3267-3445
聴本第220003号
2022年10月20日
総務大臣
寺田 稔 様
聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石野 富志三郎
きこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望
日頃より、私たちきこえない、きこえにくい人(以下、きこえない人)へのご支援を賜り感謝申し上げます。
昨今の異常気象による自然災害等が多発しています。緊急事態が発生すると、きこえない人は最新の情報が入りにくいため、多くの困難に直面します。今後も起こりうる緊急事態に備え、早急に対策を進めていかなければ、安心して暮らすことはできません。
これまでの状況をふまえ、きこえない人に係る施策について下記のとおり要望いたします。
記
1 ローカル局が製作したものを含めた全ての災害関連テレビ番組に「手話通訳」と「字幕」をつけるため、助成をおこなうとともに、激甚災害時は特別措置として「手話通訳」と「字幕」をつけるための費用を補償してください。被災地の水や食料の配給、罹災証明の受付等、きこえない人は必要な地域の災害情報を入手できない状況にあります。キー局とローカル局の手話通訳付与、字幕対応に「地域格差」が出ないよう施策・助成を講じてください。
2 総務省ホームページの記者会見の動画に字幕と手話通訳をつけてください。
貴省が実施する緊急会見においては、必ず手話通訳者を配置するとともに、テレビ放送の際に放送局の判断で手話通訳者がカット(フレームアウト)されないよう、手話通訳者の立ち位置を発表者のすぐ前にする等の工夫をしてください。
(アメリカのフロリダ州リック・スコット知事による台風の緊急会見の例です)
3 災害関連情報を災害無線等、音声で住民に知らせる内容は、きこえない人にも伝わるよう、そのシステムを市町村で整備するように働きかけてください。
- ①屋内:防災無線や緊急放送を文字で受信できる機器(文字表示装置付き個別受信機)の設置やタブレット型端末での受信システムの整備
例:http://www.teleme.co.jp/service/multicast/inspire.html - ②公共施設等:聴覚障害者への文字や視覚による対応周知
- ③外出先:光や文字で緊急時を知らせるシステムの整備
上記①~③の整備事例は下記をごらん下さい。
災害情報伝達手段の奏功事例集 令和2年3月 消防庁防災情報室
https://www.fdma.go.jp/mission/prepare/transmission/items/0306_sankou3.pdf
聴覚障害者災害救援中央本部
(構成団体)
一般財団法者全日本ろうあ連盟
一般社団法者全国手話通訳問題研究会
一般社団法者日本手話通訳士協会
【連絡先】
一般財団法者全日本ろうあ連盟
〒162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
TEL 03-3268-8847 FAX 03-3267-3445
聴本第220004号
2022年10月20日
厚生労働大臣
加藤 勝信 様
聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石野 富志三郎
きこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望
日頃より、私たちきこえない、きこえにくい人(以下、きこえない人)へのご支援を賜り感謝申し上げます。
昨今の異常気象による自然災害等が多発しています。緊急事態が発生すると、きこえない人は最新の情報が入りにくいため、多くの困難に直面します。今後も起こりうる緊急事態に備え、早急に対策を進めていかなければ、安心して暮らすことはできません。
これまでの状況をふまえ、きこえない人に係る施策について下記のとおり要望いたします。
記
1 災害期・復興期を通した、被災したきこえない人の心のケアや生活再建のため日常の支援や情報保障を担う手話通訳者及び要約筆記者並びにろうあ相談員を、緊急時は公的機関への設置を図るとともに、安心して生活できるよう支援してください。
2 災害関連情報を災害無線等、音声で住民に知らせる内容は、きこえない人にも伝わるよう、そのシステムを市町村で整備するように働きかけてください。
- ①屋内:防災無線や緊急放送を文字で受信できる機器(文字表示装置付き個別受信機)の設置やタブレット型端末での受信システムの整備
例:http://www.teleme.co.jp/service/multicast/inspire.html - ②公共施設等:聴覚障害者への文字や視覚による対応周知
- ③外出先:光や文字で緊急時を知らせるシステムの整備
上記①~③の整備事例は下記をごらん下さい。
災害情報伝達手段の奏功事例集 令和2年3月 消防庁防災情報室
https://www.fdma.go.jp/mission/prepare/transmission/items/0306_sankou3.pdf
3 貴省が実施する緊急会見においては、必ず手話通訳者を配置するとともに、テレビ放送の際に放送局の判断で手話通訳者がカット(フレームアウト)されないよう、手話通訳者の立ち位置を発表者のすぐ前にする等の工夫をしてください。
(アメリカのフロリダ州リック・スコット知事による台風の緊急会見の例です)
4 災害時にきこえない人の支援拠点となる「聴覚障害者情報提供施設」を全ての都道府 県・政令指定都市に設置し、福祉避難所の指定などを含めて災害時に即時に対応できる体制づくりを進めてください。
市町村で取り組む地域生活支援事業のメニュー事業での対応は、災害時に必要な専門知識を有する人材の確保が難しい場合も多く、有効に活用出来ない状況です。そのため、県レベルの防災・災害対策及び支援事業が必要です。
そこで、「聴覚障害者情報提供施設」の役割の一つとして、防災への啓発や訓練、災害時の情報発信、避難所等への支援員派遣等を担えるように、必要な法整備と予算化を図ってください。
聴覚障害者災害救援中央本部
(構成団体)
一般財団法者全日本ろうあ連盟
一般社団法者全国手話通訳問題研究会
一般社団法者日本手話通訳士協会
【連絡先】
一般財団法者全日本ろうあ連盟
〒162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
TEL 03-3268-8847 FAX 03-3267-3445
聴本第220005号
2022年10月20日
気象庁長官
長谷川 直之様
聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石野 富志三郎
きこえない・きこえにくい人への災害対応に関する施策要望
日頃より、私たちきこえない、きこえにくい人(以下、きこえない人)へのご支援を賜り感謝申し上げます。とりわけ、貴庁が実施する緊急会見においては、手話通訳の設置、透明マスクの着用等の配慮を頂いており、心からお礼を申し上げます。
昨今の異常気象による自然災害等が多発しています。緊急事態が発生すると、きこえない人は最新の情報が入りにくいため、多くの困難に直面します。今後も起こりうる緊急事態に備え、早急に対策を進めていかなければ、安心して暮らすことはできません。
きこえない人への情報保障について下記のとおり要望いたします。
記
1 会見における手話通訳位置の工夫
貴庁会見室の手話通訳者用のカメラは天井に設置されており、会見のときに手話通訳の頭上部が写り、手話通訳の表情や手が見にくいときがあります。手話通訳の視線をカメラに向け通訳をしていただけるような工夫をお願いします。
2.手話言語による情報保障の拡大
長官会見や防災解説ビデオなど、貴庁から発信される様々な防災情報にも手話通訳等をつけ、きこえない人にも情報が届くようにしてください。
聴覚障害者災害救援中央本部
(構成団体)
一般財団法者全日本ろうあ連盟
一般社団法者全国手話通訳問題研究会
一般社団法者日本手話通訳士協会
【連絡先】
一般財団法者全日本ろうあ連盟
〒162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
TEL 03-3268-8847 FAX 03-3267-3445