優生保護法裁判の東京高裁判決 国の上告に対する声明



優生保護法裁判の東京高裁判決 国の上告に対する声明

2022年4月5日
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

 旧優生保護法を巡る東京高等裁判所は2022年3月11日、大阪高等裁判所の逆転判決に続き、国に1500万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

 判決では「旧優生保護法は差別的思想に基づくもので、極めて非人道的で憲法に違反する」とし、さらに「手術を強制され子どもをもうけることができない体にされたが、決して人としての価値が低くなったものでも、幸福になる権利を失ったわけでもない。差別のない社会を作っていくのは、国、社会全体の責任である。国の責任がなかったことにはできない」という趣旨の裁判長の所感が話されました。
 この判決および裁判長所感は、被害者と私たちに大きな希望と感銘を与えてくれ、司法の正義を見ることができました。
 しかし、3月24日に国は大阪高裁判決への上告に続き、東京高裁判決をも不服として最高裁に上告し、私たちの期待がまたしても崩されたことに深く失望しています。

 国は、「真摯に反省し心から深くお詫び申し上げると」しながらも、これまでに一時金を支給することでその責任を果たしたと考えています。しかし、わずかばかりの一時金を受け取ることで被害者の苦痛が癒えることはありません。
 私たちは国に対し、この問題に真摯に向き合い早急に上告を取り下げること、憲法違反である旧優生保護法のもと強制的に手術を進めてきた事実を認め、いまでも声をあげられずにいる多くの被害者も含め謝罪と補償をすることを強く求めます。

「旧優生保護法関連(実態調査、一時金支給手続き、声明他)」ページへ