旧優生保護法 国家賠償請求訴訟における 緊急声明



旧優生保護法 国家賠償請求訴訟における 緊急声明

2021年4月8日
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

 これまでに仙台、東京、大阪、札幌と旧優生保護法の国家賠償訴訟は「手術から提訴までに20年が経過したことにより(除斥期間の適用)」その請求が棄却され続けています。次の訴訟は、兵庫です。3月25日に結審し、来る8月3日に判決が予定されています。
 これまでにも、当連盟では「聴覚障害者の強制不妊手術等対策チーム」を中心に、支援活動を行ってきましたが、「除斥期間の適用により請求が却下される」という仙台の判決から続く負の連鎖を止めるべく、ろう者を含む被害者の権利・尊厳の回復に、より一層の力を注いでいきます。

 優生思想と優生政策は、過去の問題ではありません。今もなお雇用、医療、教育、言語などあらゆる生活の場に、その根は広がっています。兵庫では、勝利の判決を導き、ろう者の原告はもちろんのこと、全国の被害者やその家族に、人としての誇りと希望を取り戻してほしいと願っています。

 現在、公益社団法人兵庫県聴覚障害者協会も加入している「優生保護法による被害者とともに歩む兵庫の会」では、兵庫訴訟の公正な判決を求める署名運動の取り組みと冊子『国から子どもを作ってはいけないと言われた人たち』の普及活動をすすめています。署名運動は、目標の5万筆のうち14,475筆(紙署名13,376筆、電子署名1,099筆)を3月22日に神戸地方裁判所に提出しました。これは結審日に合わせた第一次分です。また、第二次提出を5月中旬に予定しており、目標突破へ向け大運動を展開しています。

 2019年3月5日に当連盟が表明した「旧優生保護法裁判に対する連盟の立場」で述べているように旧優生保護法の思想の横行、また被害者がいたにも関わらず優生思想をなくすための運動や被害者への取り組みが今になったことを我々は反省しなければなりません。
 その反省を踏まえ、当連盟は、仙台での提訴以降、ろう者の被害調査、各地の裁判所で行われているろう者の原告への支援活動、優生思想を払拭するための出前講座など精力的に取り組んできました。

 今後の裁判に大きな影響を与える兵庫訴訟において、当連盟の加盟団体が結束し、現在、行われている署名運動、冊子の普及について、積極的に支援していくことは、ろう運動の重要性を再認識し、優生思想をなくすことにつながるものだと確信しています。
 当連盟として、「優生保護法による被害者とともに歩む兵庫の会」の署名活動の協力をここに呼びかけ、兵庫訴訟に向け全国の加盟団体とともに全力を挙げる決意です。

「聴覚障害者の強制不妊手術等の実態調査及び連盟意見について」ページへ