「優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟」に対し、要望書を提出



 2018年10月31日付に優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟の法案作成のためのプロジェクトチームより提出された「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する立法措置について(骨子たたき台(PT試案))」について、要望書を提出いたしました。

連本第180531号
2018年12月10日

優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟
法案作成のためのプロジェクトチーム 御中

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する立法措置
について(骨子たたき台(PT試案))」への要望について

 2018年10月31日付「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する立法措置について(骨子たたき台(PT試案))」について、会合を重ね検討を続けて来られたことに敬意を表するとともに下記の通り要望いたします。
 なお、優生手術(不妊手術、中絶)の聞こえない被害者については、2018年9月28日に兵庫県在住の聞こえない夫婦2組が国に対して国家賠償請求訴訟を提起するとともに、大阪、福岡でも訴訟の準備が進行しています。

1 前文について

・主体を国として、憲法違反、人権否定の政策であったことの反省をした上で謝罪していただきたい。
・国が責任を持って再発防止のための調査と検証を行う姿勢を示していただきたい。

2 対象者について

・優生手術により、子どもを産み育てる権利を奪われた配偶者や夫婦関係、親子関係、兄弟姉妹関係等の家族関係の分断を強いられた家族等も含めるべきである。
・中絶を強いられた聞こえない被害者も多く、中絶も対象に含めるべきである。

3 一時金の支給について

・国内の他の人権侵害に対する補償も参照しながら、被害回復にふさわしい額にしていただきたい。
・一時金が収入とみなされ、障害年金などが減額されることがないようにしていただきたい。

4 権利の認定について

・認定機関は厚生労働省から独立した第三者機関であるべきである。
・認定審査会の構成員には、高齢の聞こえない被害者の身体的・精神的状態を十分に理解して対応できる者(ろうあ相談員等)がいることが必要である。
・手話通訳等の適切な情報保障、合理的配慮を求める。

5 周知について

・被害者につながる幅広い周知を行うべきであり、国だけでなく都道府県も一緒に取り組む体制が必要である。
・手話動画やイラスト等、わかりやすい内容で周知も必要である。
・当団体のような当事者団体、支援団体が調査・検証、周知を行い、相談窓口となるとともに必要に応じて家庭訪問等で対応できる体制作りが必要である。なお、当団体が調査して現段階で把握している優生手術(不妊手術、中絶含む)の聞こえない被害者数は131人、優生手術(不妊手術、中絶等)の被害件数は152件である。(2018年11月30日現在)
・各団体が把握できない被害者にも情報が届くようにプライバシーの保護を図りながら個別通知を行うことも検討すべきである。

6 その他

・当団体が実施している聞こえない被害者への実態調査、これから実施することを検討しているろう学校、PTA、親の会等への実態調査に対し国として協力することを求める。
・障害のある人やその家族、すべての人が尊厳あるくらしができるための資源の整備強化を求める。
・聞こえない人が結婚、出産、子育てするための支援、子どもへの支援、社会資源(例、公的な相談窓口、障害者自立支援センター、電話リレーサービス等)の拡充を求める。
・聞こえない子どもを育てる親、その兄弟姉妹等の家族への支援、社会資源(例、公的な相談窓口、放課後デイサービス等)の拡充を求める。
・高齢・重複障害のある聞こえない人への支援、社会資源(例、公的な相談窓口、高齢者及び重複障害者の入居施設等)の拡充を求める。
・過去の過ちから学び、未来に向かっていくために、本件に関する学習・啓発について国として協力を求める。
・記録が残っていない被害者が大半であるが、政府・行政の文書については、電子データ化等を駆使して永久に保存すべきである。

以 上

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