自然災害と大規模非常事態におけるろう者のコミュニケーションに関するWFDとWASLIの共同声明
自然災害と大規模非常事態におけるろう者のコミュニケーションに関するWFDとWASLIの共同声明がアナウンスされました。声明を仮訳しましたのでご覧ください。
自然災害および大規模非常事態における、
手話を使うろう者のコミュニケーションに関する
WFDとWASLIの声明
(全日本ろうあ連盟仮訳)
国際手話版 https://vimeo.com/122074853
世界ろう連盟(WFD)と世界手話通訳者協会(WASLI)は、社会・政府・その他の生活領域にろう者が対等な市民として参加する権利の促進活動を行っています。これらの権利は、仮に、ろう者が完全かつアクセシブルなコミュニケーションを自由に利用できるようにならないと、自然災害やあるいは大規模非常事態の発生時に非常な影響を受けます。自然災害および大規模非常事態は、大勢の人々に影響するものです。このような事象として
・火災
・地震
・洪水
・山津波や雪崩
・テロリストの攻撃
・化学物質流出
・暴風、熱波、その他の厳酷な天気気象
等があります。
これらの事象は、警告の有無に関係なく発生します。自然災害や大規模非常事態が発生すると、個人やコミュニティは、次のことを行うためコミュニケーションに頼ります。
・警察、消防、救急等の緊急サービスへ連絡する
・非常事態の状況、位置、重大さに関する情報を得る
・避難等、個人やコミュニティがとるべき行動に関する情報を得る
・自分と家族の居場所や無事等の情報を共有する
自然災害および大規模非常事態に備えるために、個人やコミュニティは、例えば、火災対策や避難場所の通知などの情報へアクセスすることも必要になります。
手話を使うろう者も、上記と同様のコミュニケーションを必要とします。
ビデオ、文字、携帯電話、ビデオおよび文字によるリレーサービス、スマート技術、そしてもっとも有名なインターネット等、双方向あるいは多方向のコミュニケーションを可能にするさまざまな情報通信技術(ICT)ツールの活用は、とりわけ、ろう者、難聴者、盲ろう者や他の障害者による意思疎通の機会に大きな変革をもたらしています。
製品やサービスの開発におけるユニバーサル・デザイン(あるいは「万人のためのデザイン」)は、製品の設計と製造が終了した後に特定のグループ向けのアクセシビリティ機能を後から追加するよりも、誰もが使えるように一から製品を設計する方が、よりよい対費用効果を期待できるという理解に基づいています。
今、世界中の国々で批准されている国連障害者権利条約(CRPD)は、政府や企業が自分たちのコミュニティに向けて提供するサービスのあらゆる領域にユニバーサルデザインを導入させるほど、有意義な影響をもたらしています。障害者権利条約は、障害者を自国の社会に完全にインクルードさせること、および生活のあらゆる領域で障害者が置き去りにされないようにすることを国の政府が保証することを義務付けています。これは、自然災害発生時のコミュニケーションにも適用されます。
ろう者は、情報通信技術の急速な発展を利用し、生活の質向上のために独創的に活用しています。次の技術によって、情報へのアクセスと意思疎通の平易化が可能になります。
1. 視覚コミュニケーション(例: YouTube の字幕つき動画等)
2. 手話によるオンライン供給のサービス
3. 公衆メディアで提供される専門的手話通訳サービス
4. リレーサービス
5. その他、新しく出現するアクセシブル技術
完全なアクセシビリティと真の平等という目標が、ますます実現されようとしています。
WFDとWASLIは「自然災害および大規模非常事態における手話を使うろう者のコミュニケーションに関するガイドライン」という詳細な作業文書を策定しました。この文書には、現在の研究成果や、サービス提供とアクセシビリティに関係する法制定、緊急事態におけるコミュニケーションに照らしてアクセス問題に取り組んでいる障害者権利条約の関連条項を詳しくまとめた一覧などが、盛り込まれています。
ガイドラインの詳細は、www.wfdeaf.org/databank/guidelines にありますので、ご覧ください。