NHKへ学校放送番組等における、きこえない・きこえにくい学生への情報保障について緊急要望を提出



 今年4月7日に政府より発令された緊急事態宣言により、全国各地の小・中学校及び高等学校そして、きこえない・きこえにくい子どもたちが通う特別支援学校も臨時休校となり、自宅学習を余儀なくされています。NHK教育テレビジョンが放送する特別編成番組「学校放送番組、高校講座」やNHK高校講座ライブラリーへの字幕及び手話言語の付与を求める緊急要望を、NHKへ提出しました。

※5月15日追記:NHKより回答を頂きました。

連本第200062号
2020年4月30日

日本放送協会
会長 前田晃伸 様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

NHK教育テレビジョン特別編成番組「学校放送番組、高校講座」における
きこえない・きこえにくい学生への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報提供等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、令和2年4月7日に政府から国内7都府県に対して緊急事態宣言が発出されました。
 それにより、全国各地の小・中学校及び高等学校そして、きこえない・きこえにくい子どもたちが通う特別支援学校も臨時休校となり、自宅学習を余儀なくされています。
 その状況を鑑み、NHK教育テレビジョン特別編成番組「学校放送番組、高校講座」を休校期間中も放送し、自宅学習のサポートされているのは、称賛されるべき取り組みです。
 しかし、きこえない・きこえにくい子どもたちやその保護者からは「せっかくの取り組みなのに、字幕の付与がない学校放送番組や高校講座があるため、そのときは番組の内容がわからない」「手話言語のついた学校放送番組や高校講座がほしい」という声が寄せられています。
 また、放送の際に字幕が付与されていても、「NHK高校講座ライブラリー」に掲載されるときは字幕が付与されていません。
 きこえない・きこえにくい子どもたちの学習の機会を拡大また保障を求めて、私たちは下記の通り要望いたします。

1.きこえない・きこえなくい学生への学習の機会拡大及び情報保障のため、NHK教育テレビジョン特別編成番組「学校放送番組、高校講座」の全て及びNHK高校講座ライブラリーに掲載するにあたり、字幕及び手話言語通訳を付与してください。
<説明>
 障害者基本法及び障害差差別解消法ではいずれとも、基本方針の一つに「障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等」を掲げています。
 しかし、きこえない・きこえにくい高校生がNHK高校講座ライブラリーの番組を視聴するにあたり、「文字と映像を別々で見る」という方法しかないのは、円滑な情報の取得・利用とは言いがたく、さらに、同じ番組でも視聴する手段によって得られる情報が大きく損なわれることは、きこえない・きこえにくい学生の情報取得の機会を著しく制限するとともに、障害者基本法第3条にある「情報の取得または利用のための手段の選択」が保障されていないことになります。
 きこえない・きこえにくい学生の学習の機会拡大及び情報保障のため、NHK教育テレビジョン特別編成番組「学校放送番組、高校講座」の全て及びNHK高校講座ライブラリーに、字幕及び手話言語通訳を付与していただけますよう、ご手配の程お願いいたします。

以上