「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」総会に出席



 「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」総会が2026年7月2日(木)に開催されました。連盟からは石橋理事長、倉野本部事務所長が出席しました。
 各省庁よりバリアフリー化やユニバーサルデザイン、インクルージョンの推進への取り組みと、関連予算の説明が行われた後、各障害者団体が要望についての説明を行いました。連盟の石橋理事長は、昨年の東京2025デフリンピックへ向けて様々な情報アクセシビリティの整備が進んだことを契機に、今後もさらに継続すべきだと述べました。また昨年6月には手話施策推進法が制定され、きこえない・きこえにくい人の社会参加が進んでいる一方で、これが形式的な対応にとどまり、実効性にはまだ課題があると指摘しました。特に災害時や公共施設で、きこえない・きこえにくい人がきこえる人と同じ情報を手話言語・文字でリアルタイムに得られるように、「アイ・ドラゴン4」等の情報受信装置の設置を進めてほしいと要望しました(提出した要望書は下記参照)。
 また、他の障害者団体からは、金融機関等において電話リレーサービス等を用いたきこえない・きこえにくい人への適切な対応方法について現場職員への周知・指導を強化してほしいことや、舞台芸術における字幕付与等の対応は依然として事業者の判断によるところが大きく、地域や作品によっても差が生じていることから、舞台芸術におけるアクセシビリティのガイドラインを障害のある当事者や支援者と共に作成してほしいとの要望がありました。

集合写真

集合写真
全日本ろうあ連盟 理事長 石橋大吾(写真中央)
全日本ろうあ連盟 本部事務所長 倉野直紀(写真右)

集合写真
写真左から(敬称略)
ユニバーサル社会推進議員連盟 幹事長 盛山正仁
ユニバーサル社会推進議員連盟 会長 石破茂
ユニバーサル社会推進議員連盟 事務局長 大串正樹

連本第260138号
2026年6月17日

自由民主党
ユニバーサル社会推進議員連盟 御中

東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
TEL:03-6302-1430/FAX:03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石橋 大吾

要 望 書

 日頃より私どもきこえない・きこえにくい人の社会参加促進にご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。手話施策推進法、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法、障害者差別解消法の改正、障害者総合支援法や国連・障害者権利委員会から出された総括所見等を受け、さらに社会参加に関する施策を充実させるべく、下記の通り要望します。

1.きこえない・きこえにくい子どもたちが、手話言語を獲得し手話言語で学ぶことができる環境の整備に向けた予算措置を行ってください。

<説明>
 手話言語の研究・普及・保存を保障する法律「手話施策推進法」が2025年6月に成立、施行されました。きこえない・きこえにくい子どもたちが、日本語とともに手話言語を獲得し、希望によって手話言語で学ぶことができる教育環境を整備していくための予算措置を行ってください。
 併せて、手話言語による教育ときこえない・きこえにくい子どもの教育についての専門性を持つ教職員(きこえない・きこえにくい教職員を含む)の養成および研修について、文部科学省にも働きかけをお願いします。併せて、学習指導要領への教科としての手話言語の追加に向けて調査検討を行うことの働きかけもお願いします。

2.2027年国際園芸博覧会の情報アクセシビリティ環境の整備について、国際園芸博覧会協会に働きかけてください。

<説明>
 「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)」や「手話に関する施策の推進に関する法律(手話施策推進法)」において、障害の有無にかかわらず等しく情報を取得できるようにすることや、手話言語を利用しやすい環境整備の義務が国及び地方公共団体に対して定められています。しかし、2025年に大阪で開催された大阪・関西万博では、きこえない・きこえにくい人に必要な視覚的情報保障における課題が浮き彫りになりました。
 2027年3月から横浜市で開催される国際園芸博覧会では、きこえない・きこえにくい人や多様な言語背景を持つ来場者が安心して参加し楽しめるよう、会場内の視覚的案内だけでなく、スタッフ及びボランティアへの研修の実施も含め、きこえない・きこえにくい当事者団体が参画し、情報アクセシビリティ環境の整備に努めるよう求めます。

3.きこえない・きこえにくい人等の参政権を保障するため、公職選挙法を改正してください。

(1)障害者差別解消法により、行政や民間でも合理的配慮が義務化された流れを汲み、議員立法である公職選挙法においてもすべての候補者の政見放送で手話通訳と字幕の挿入を法的に義務付けてください。

<説明>
 現在、国政選挙・都道府県知事選挙の政見放送では、そのすべてに手話言語通訳・字幕の付与が実現されておらず、義務付けもされていません。経歴放送には字幕もないため、きこえない・きこえにくい人は候補者の経歴を知ることができません。2026年2月に行われた衆議院議員選挙では、準備期間が短く、手話言語通訳がつけられないと思った候補者もいたと聞いています。
 障害者差別解消法により、行政や民間でも合理的配慮が義務化された流れを汲み、公職選挙法においてもすべての候補者の政見放送で手話通訳と字幕の挿入を法的に義務付けるべきと考えます。
 きこえない・きこえにくい人等がきこえる人と同等に選挙に関する情報を得て、選挙権を行使できるよう、政見放送への手話言語通訳、字幕付与が義務となるよう改正してください。

(2)政見放送及び街頭演説への手話言語通訳、要約筆記等の付与の支障となっている制限事項をなくしてください。

<説明>
 現在、「選挙運動に従事する者」の中の「専ら手話通訳のために使用する者」として報酬を支払うことができることになっています。しかし、手話言語通訳者は自らの意見を述べたり、候補者の応援をしたりする「選挙運動に従事する者」ではなく、公正中立な立場で情報保障を担う者です。「選挙運動に従事する者」の規定を外し、「手話言語通訳者」として報酬が支払えるようにしてください。
 また、上記と同じ理由から、公務員である手話通訳士は選挙に関する手話言語通訳を行うことができませんでした。そのため、見直しを図り、公務員であっても選挙に関する手話言語通訳を行えるようにしてください。
 併せて、字幕や要約筆記等をスクリーン等に投影する方法は認められている一方で、屋外では投影が禁止されている問題についても、情報アクセシビリティの観点から必要な法改正をしてください。

4.司法における手話言語等の情報保障を進めてください。

(1)きこえない・きこえにくい人が裁判所の傍聴を希望する場合、裁判所の責任で情報保障を行ってください。

<説明>
 日本国内においては公平性の担保等、さまざまな理由で日本国憲法によって裁判の公開が定められているものと存じますが、きこえない・きこえにくい人が一国民として裁判を傍聴するためには、手話言語通訳や要約筆記等の情報保障が不可欠です。きこえない・きこえにくい人が傍聴を希望した場合、事前抽選券交付時も含め、裁判所の責任によって手話言語通訳・要約筆記者を配置してください。
 また、2024年に最高裁判所より傍聴者向けの手話言語通訳を公費で手配することが、事務連絡にて通達されたにもかかわらず、地方裁判所や高等裁判所では傍聴者のための手話言語通訳の申請が認められない事例も発生しています。
 手話言語通訳費用の公費負担の明確化と全国統一基準の策定等を図ってください。

(2)民事訴訟における情報保障費用は裁判所(公費)負担としてください。

<説明>
 現状、民事訴訟における手話言語通訳費用について、裁判所の費用負担による情報保障は行われておらず、敗訴者負担となっています。通常かかることのない費用負担がきこえない・きこえにくい人がかかわる裁判にのみ発生していることは、平等かつ公平とはいえません。敗訴・勝訴にかかわらず、裁判所負担による情報保障を行ってください。
 また、民事訴訟手続きにおける障害のある訴訟当事者への合理的配慮にかかる費用は公費負担とする旨の規程を設ける(例:民事訴訟法第61条の訴訟費用に含めないものとする)等の対応を求めます。

(3)司法における要望及び意見交換の場を設置してください。

<説明>
 裁判所は行政と違い、要望書を提出しても、受理するのみで回答や意見交換等が行われることがありません。きこえない・きこえにくい人がアクセスしやすい司法の環境整備を行い、裁判所をはじめとする司法関連機関と要望交渉や意見交換ができるよう、窓口や機会を作ってください。

5.緊急災害時におけるテレビ放送(臨時番組を含む)における情報保障(手話言語通訳・字幕)の地域格差を解消するとともに、きこえない・きこえにくい人が情報を受け取りやすい放送・配信形態を実現するため、国を挙げた政策に取り組んでください。

<説明>
 緊急災害時には臨時の番組編成になり、手話言語通訳や字幕のない映像が断続的に流れます。きこえない・きこえにくい人が災害の現況を把握し、安全に避難等をするためには、情報をリアルタイムに取得することが非常に大切です。
 しかしながら現状では、緊急災害時におけるテレビ放送の字幕付与において、都道府県や地域によって対応できる体制にある地域とそうでない地域が存在し、地域間での情報保障に大きなバラつき(格差)が生じています。居住する地域に関わらず、すべての人が命を守る情報を平等に受け取れる環境の整備が急務です。
 また、現在の手話言語通訳付きのニュースや番組は、映像の隅に小さく通訳者がワイプ表示される形式が一般的ですが、手話言語を第一言語とする人々にとっては必ずしも十分に見やすいとはいえません。
 今後は、きこえない・きこえにくい視聴者が「手話言語通訳をメイン(画面全体)とし、実際の映像をサブ(ワイプ等)」にする逆パターンの画面構成を任意に選択できるような、多様な放送・配信形態の実現が求められます。
 緊急災害発生時に全国どの地域であっても、手話言語通訳・字幕を挿入した緊急番組を確実に放送・配信できるよう、補助金制度の創設や技術開発支援など、国を挙げた政策を強力に推進していただきますよう強く要望いたします。

6.公共交通機関等における音声インターホンの代替手段の整備について

 無人駅やコインパーキング、高速道路料金所などに設置されている音声インターホンは、きこえない者にとって大きなバリアとなっています。以前より国土交通省へ改善を要望しておりますが、未だ十分な対応がされていません。
 無人化が進む中、電話や音声でのやり取りが困難なきこえない者が取り残されないよう、鉄道事業においては鉄道駅バリアフリー料金制度等を活用し、以下の点について早急に対応していただけますようお願いします。
 ・遠隔手話通訳や文字チャット機能付きのインターホンの導入
 ・モニター付き券売機の設置と筆談対応の強化
 ・トラブル時の対応体制の迅速化
 ・好事例の全国的な共有と周知
 また、機器開発にあたっては、きこえない・きこえにくい当事者の意見を積極的に取り入れてください。

7.JRにおける合理的配慮の推進について

 無人駅化や「みどりの窓口」の縮小により、きこえない者の切符購入や問い合わせが困難になっています。以下の点について、早急に対応してください。
 ・切符購入機器にはインターホンにモニター機能を付け、手話や筆談での対応を可能にすること
 ・障害者手帳提示時のプライバシー保護(目隠し・パーテーション等)の工夫
 ・障害者割引登録済みICカードの全国相互利用の実現
 ・駅職員への手話言語研修の導入

8.バリアフリーの地域間格差の解消について

 中山間・人口減少の著しい地域においては、都市部と違い交通事業者のサービス提供体制の維持が優先になり、費用負担のかかるバリアフリー対応や改善を実現することが困難です。
 地域間格差を解消するため、国土交通省によるバリアフリー整備のための財政支援策の実施をお願いいたします。

9.公共施設・商業施設等について

 平常時から音声アナウンスを文字情報として掲示することで、緊急時にも有効な情報提供が可能となります。対応指針の見直しに際しては、「文字または手話言語による表示」を明記し、確実な運用をお願いします。
 参考機器:情報アクセシビリティ支援機器『アイドラゴン4』
      https://medekiku.jp/eyedragon/
 国土交通省が示している改正「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」はありますが、ソフト面でのバリアフリーについては周知徹底されないため、計画段階から障害当事者団体の参画を得て、実地検証を行う等が可能になるような対策をお願いいたします。

10.公共交通機関や公共施設等へのユニバーサルコミュニケーション技術の導入促進

 東京2025デフリンピックを機に、関東圏の公共交通機関(6社172駅)において、窓口でのやり取りや音声アナウンスを文字化する「ユニバーサルコミュニケーション(UC)技術」の導入が進みました。
 今後、このUC技術が全国の公共交通機関や公共施設へ普及することが期待されます。しかし、改正バリアフリー法にはきこえない人のためのバリアフリー設備が明示されていないことや、導入費用への助成がないことが大きな障壁となっています。
 街の物理的なバリアフリー化が進む一方で、情報アクセシビリティは依然として立ち遅れているのが現状です。東京都が「ユニバーサルコミュニケーション技術導入に係る区市町村補助」を設けて自治体の取り組みを後押ししているように、国土交通省においてもUC技術導入のための助成制度を創設し、全国各地の公共交通機関や公共施設等での情報バリアフリーをさらに推進してください。

11.交通事業者と障害者団体との意見交換の場の設置について

 駅の無人化や新たな設備導入に際し、当事者による実地検証と意見交換の場を設けることが重要です。昨年度も国土交通省へ要望いたしましたが、意見交換の実現例はごくわずかにとどまっています。
 国土交通省より交通事業者に対し、当事者参加型の意見交換会の開催を働きかけていただくとともに、実施状況についてご教示いただけますようお願いいたします。

12.情報保障者の質の担保について

 手話言語通訳者等の配置が進む中、その質の確保が課題となっています。各省庁の会議等で競争入札により派遣事業者が選定される際には、通訳者の技術や経験を評価基準に含めるなど、質の担保に配慮してください。
 情報アクセシビリティは、単に提供されるだけでなく、当事者のニーズに即した内容であることが不可欠です。今後の施策においても、質の高い情報保障が提供されるよう、十分なご配慮をお願いいたします。