鈴木馨祐法務大臣と面談しました



 2025年3月28日(金)鈴木 馨祐(けんすけ)法務大臣と面談し、デフリンピック気運醸成の支援や裁判所や刑務所等における情報保障について要望をしました。

面談

面談
写真:向かって左から
神奈川県 市川議員、神奈川県 敷田議員、鈴木法務大臣、理事長 石橋、
副理事長 河原、理事 吉野、理事 小林、理事 嶋本

連本第240801号
2025年3月28日

法務大臣
鈴木 馨祐 様

東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話03-6302-1430・Fax 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石橋 大吾

きこえない・きこえにくい者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私どもきこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解ご支援を賜り心より感謝申し上げます。
 さて当連盟は、2024年6月9日和歌山県において開催された第72回全国ろうあ者大会において、きこえない・きこえにくい者の様々な施策等に関する大会決議を行ないました。
 近年、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立や、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、情報へのアクセスとコミュニケーションが改善されることが期待されています。しかしながら、地域によって対応に差があるなど、まだ解決すべき課題が残っています。
 つきましては、下記の通り要望いたしますので、すべての国民が安心、安全に生活ができるよう、早期実現をお願い申し上げます。

1.2024年2月16日の「第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025に係る閣議了解」を踏まえ、デフリンピックの認知度向上やきこえないことやデフスポーツの普及啓発及び東京2025デフリンピック気運醸成のための全国的な取り組みにご協力をください。

<説明>
 2025年11月、東京で、きこえない・きこえにくい者のオリンピック「デフリンピック」が開催されます。しかし、「オリンピック」や「パラリンピック」と比べると、デフリンピックの認知度はまだ低いのが現状です。大会を成功させるだけでなく、デフリンピックを広く知ってもらうことで、きこえない・きこえにくい者を含むすべての人々が共に生きる社会の実現をめざし、大会開催に向けた盛り上がりを高めることが不可欠です。
 昨年の人権週間では、東京法務局のイベントでデフリンピックが取り上げられました。同様に、全国各地の貴省のイベント等でも、デフリンピックやデフアスリートを紹介してください。
 https://www.moj.go.jp/content/001427965.pdf
 また、デフリンピックの前後には、多くのきこえない・きこえにくい選手や関係者が国内外から訪れます。省内の関係機関にもこのことを周知し、きこえない・きこえにくい者への対応がスムーズにできるよう、手話言語等の学習機会を設けてください。

2.裁判所等の司法への手話言語によるアクセスを保障してください。

<説明>
 現在、民事裁判での手話通訳派遣費用は「訴訟費用」として扱われ、基本的に敗訴した側が負担することになっています。そのため、手話通訳を必要とする者が訴訟を行うことを躊躇する状況が生じています。さらに、裁判の傍聴においても手話通訳の手配環境が整っておらず、傍聴しづらいのが現状です。
 2024年(令和6)7月3日の優生保護法に関する国家賠償請求訴訟の最高裁大法廷判決では、傍聴者向けの手話通訳が裁判所の負担で手配され、判決文もモニターに投影されました。これは評価すべき対応です。
 しかし、最高裁はその後「訴訟事件における聴覚障害のある傍聴人に対する手話通訳者の手配等について(事務連絡)」を各地の地裁・高裁に通達しましたが、この通達後に手話通訳の申請をしても認められない事例が発生しています。
 日本国憲法第32条が保障する「裁判を受ける権利」を実現するためには、法廷内外を問わず、手話通訳者の派遣が不可欠です。きこえない・きこえにくい者の権利救済と人権擁護の観点からも、司法へのアクセスの確保を目的とする手話通訳を含めた情報アクセシビリティに関する費用を予算化してください。

3.国内の刑務所、少年刑務所及び拘置所並びに少年院、少年鑑別所、婦人補導院等でのきこえない・きこえにくい人への情報・コミュニケーション保障の実態を教えてください。あわせて各刑務所へ「法務省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」に沿った合理的配慮の提供について周知してください。

<説明>
 現在、日本国内においてきこえない・きこえにくい人が刑務所に入った場合、刑務官等からの合図や発言等に対して、きこえないことに伴う配慮がなされているか、お教えください。これまで、他の囚人の動きをみて自分の行動を決めた、何を言っているのかわからないまま時間を過ごしたという話も聞いています。情報保障がなければ、更正教育の意味をなさないまま、服役していたことになります。
 1995年(平成7年)に刑法40条「瘖唖者ノ行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ減軽ス」が削除されてから約20年です。現在の刑務所、少年刑務所及び拘置所並びに少年院、少年鑑別所、婦人補導院等において、きこえない・きこえにくい人への対応実績をご教示ください。
 前回(9月3日)の説明では、書面によるやり取りや周知がほとんどで、手話言語が必要な受刑者は、情報から取り残されていないか懸念しています。手話言語による情報発信や刑務官等が簡単な手話言語を覚え対応できるよう環境の構築をお願いします。
 あわせて、法務省の「法務省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」では、対象者が望むコミュニケーション手段での合理的配慮が求められることについて、刑務所、少年刑務所及び拘置所並びに少年院、少年鑑別所、婦人補導院等に周知をしてください。

以上