大阪府立生野聴覚支援学校児童事故裁判大阪高裁判決について【声明】(手話言語動画)



大阪府立生野聴覚支援学校児童事故裁判大阪高裁判決について【声明】(手話言語動画)

大阪府立生野聴覚支援学校児童事故裁判大阪高裁判決について【声明】

 2025年1月20日、大阪高等裁判所(以下、大阪高裁)より、大阪府立生野聴覚支援学校前で2018年2月1日に重機にはねられ亡くなった井出安優香さん(当時小学5年生)のご両親が、加害者と建設会社を相手取り、たたかっている民事裁判の判決が出ました。判決は、逸失利益(生涯の収入見込み額)の減額はなく、全労働者の平均賃金の100%を基準とするという内容となり、一審(大阪地裁)判決からの逆転勝訴となりました。

 (一財)全日本ろうあ連盟(以下、連盟)は、(公社)大阪聴力障害者協会(以下、大阪協会)と共に、この民事裁判を支援してきました。

 この裁判において、被告側は井出安優香さんの聴覚障害を理由に、逸失利益の基礎収入をきこえる女性労働者の平均賃金の40%を基準にすべきと主張していました。
 2023年2月27日の大阪地裁判決では、「聴覚障害者が社会で働くには、明らかにきこえる人との差がある」とされ、逸失利益は全労働者の平均賃金の85%にされ、これを不服としたご両親が大阪高裁に控訴したものです。

 「将来、健常者と同じ職場で同じ条件で働くことができると考えられ、労働能力に制限があるとはいえない」とした大阪高等裁判所の判決は、社会的障壁は社会全体で解消していくという社会モデルの視点にたったものであり、この判断を、連盟は心から歓迎し、強く支持します。

 連盟は、今日までのご両親のたたかいと大阪協会等の強力なバックアップ、また全国の仲間からの支援に心から敬意を表し、今後もあらゆる差別や優生思想をなくし、きこえない・きこえにくい人だけでなく、重複障害者、盲ろう者、女性などのあらゆる社会的弱者が不当な差別や偏見を受けずに、安心して生活できる真の共生社会を実現するべく、多くの仲間たちとともに積極的に取り組んでまいります。

2025年1月21日
一般財団法人 全日本ろうあ連盟
理事長 石橋 大吾