厚生労働省加藤勝信大臣と面談しました
2023年5月25日、厚生労働省加藤勝信大臣と、当連盟石橋副理事長及び山根教育・文化委員長、堀米教育・文化副委員長、薬師寺道代デフリンピック運営委員会副委員長が面談し、きこえない・きこえにくい乳幼児支援の法制化と2025東京デフリンピック支援について要望を提出し、意見交換を行いました。
写真左から 石橋大吾連盟副理事長
厚生労働大臣 加藤勝信氏
山根昭治連盟教育・文化委員長
堀米泰晴連盟教育・文化副委員長
デフリンピック運営委員会副委員長 薬師寺道代 氏
連本第230087号
2023年5月25日
厚生労働大臣
加藤 勝信 様
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎
きこえない・きこえにくい乳幼児支援の法制化と
デフリンピック支援に関わる要望書
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、きこえない人・きこえにくい人の福祉向上については、深いご理解とご配慮をいただき、厚くお礼申し上げます。
「障害者差別解消法」および「バリアフリー法」、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」等により、合理的配慮やさまざまな支援の取り組みが広まりつつあります。しかしながら、きこえない・きこえにくい子どもたちへの支援においてはまだまだ改善すべき課題が残っております。
また、2025年東京デフリンピック競技大会開催を機に、きこえない人ときこえる人が共にくらせる社会の実現につなげたく、下記の通り要望を提出いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
記
1.『きこえない・きこえにくいお子さんを持つママ・パパへ』パンフレットを、新生児聴覚スクリーニングの現場などのきこえない・きこえにくい子どもと保護者に関わる医療従事者に知っていただくために、公益社団法人日本医師会をはじめ全国保健師長会、公益社団法人日本社会福祉士などの医療従事者関係団体にパンフレットの普及を働きかけてください。
<説明>
当連盟は、2021年に日本財団の助成を受けて『きこえない・きこえにくいお子さんを持つママ・パパへ』パンフレットを15万部発行いたしました。
https://www.jfd.or.jp/2021/08/25/pid22491
このパンフレットは、一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会、一般社団法人日本言語聴覚士協会の専門団体をはじめ、全国のろう学校や自治体等に配布しております。このパンフレットは、きこえない・きこえにくい保護者や医療従事者等の関係者からは、必要な情報が掲載されて分かりやすいとの好評をいただいています。
2022年2月に貴省が「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針」によって、都道府県で難聴児支援体制の取組が展開されました。しかし、この難聴児支援対策は、都道府県の判断によるところが大きく、「手話言語」を排除した情報のみを提供する自治体が見受けられる等課題があります。このパンフレットをすべての医療従事者に普及していただき、きこえない・きこえにくい保護者に対して全国どこにいても地域格差が生じることがない公平な情報が提供できるよう働きかけてください。
2.「難聴児支援中核機能モデル事業」を法制化し、全ての自治体を対象とした難聴児支援事業の恒久的な予算化を求めます。
<説明>
令和5年度は子ども家庭庁の事業として「聴覚障害児支援のための中核機能の強化」に1.7億円の予算が計上されました。この事業は申請した自治体に対し一定の期間で補助するものと聞いています。しかし、申請できる自治体の数が限られていること、そして自治体によっては、補助打ち切り後の事業が継続できるかどうかに懸念を抱いています。
全ての自治体が恒久的に難聴児支援事業を実施できるよう、下記を含む難聴児支援対策の法制定を要望します。
・すべての自治体を対象とした難聴児支援対策の予算化
・難聴児の「手話言語」獲得のための、「手話言語獲得支援事業」の予算化
・保護者の「手話言語」習得に必要な支援の予算化
3. 2025年東京デフリンピック競技大会における文化プログラムに向けて、きこえない人や子どもたち、手話言語に関する芸術文化活動を支援してください。
<説明>
デフリンピック競技大会では、開閉会式セレモニーや選手や観客が自由に視聴、参加できるブースが設けられ、そこで、開催国のきこえる人や子どもたちや手話言語に関する芸術文化を享受できるような取り組みがなされています。
当連盟は、2025東京デフリンピック競技大会に向け、手話言語やきこえない人の芸術文化に関する文化プログラムを、全国各地で展開したく考えております。
文化プログラムにより、国内外の人々を魅了すると共に、きこえないことや手話言語に対する理解を広め、きこえない人もきこえる人も共に暮らせる共生社会の実現のため、当連盟が取り組む、文化プログラムの開発、きこえない人や子どもの芸術文化活動の環境整備、文化プログラムの発信等について、ご支援をお願いいたします。
以上