「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」総会に出席
「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」総会が2023年5月24日(水)に自由民主党本部1階101号室で開催されました。連盟からは石橋副理事長、久松事務局長、堀米理事が出席しました。
石破茂会長のご挨拶の後、各省庁からバリアフリー・ユニバーサルデザイン政策の予算状況の報告があり、内閣府からは障害者基本方針改定・障害者基本計画について説明がありました。その後、各障害者団体からの要望説明がされ、連盟は石橋副理事長より「デフリンピックが2025年に日本で開催されることから『手話言語法の早期制定』『アクセビリティ指針と保障』『情報格差の解消』を積極的に推進することで諸外国に誇れる日本にして頂きたい」と力強く要望しました。(提出した要望書は下記参照)
また、他の障害者団体や国会議員からは、障害者基本方針の改正と障害者基本計画などに具体的な目標数値を示すべきといった意見や、障害者のための設備をいつでも利用できるようにする環境整備が必要であるといった要望が出されました。
連本第230067号
2023年5月24日
自由民主党
ユニバーサル社会推進議員連盟
会 長 石破 茂 様
東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎
要 望 書
日頃より、私どもきこえない・きこえにくい人の福祉向上に、ご理解ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
昨年の「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立、障害者差別解消法改正、障害者総合支援法の見直し、障害者権利委員会から出された総括所見等を受け、さらに福祉施策を充実させるべく、下記の通り要望いたします。
記
1.「手話言語法」の制定を早急に進めてください。
<説明>
障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の附帯決議や障害者権利委員会からの総括所見でも言及いただいているとおり、ろう者が手話言語を用いて、きこえる人と対等に社会参加をしていくためにも、「手話」を言語として規定し、手話言語を獲得し手話言語で学べるようにするための環境整備と手話言語を研究・普及・保存していくことを保障するための法律「手話言語法」の制定を早急に進めてください。
2.ろう者の参政権の保障を進めてください。
(1)政見放送への手話言語通訳、字幕の挿入を義務づけてください。
<説明>
現在、国政選挙・都道府県知事選挙の政見放送では、すべてに手話言語通訳・字幕の付与が実現されておらず、義務付けも行われていません。経歴放送には字幕もなく、音声放送のみでは候補者の経歴を知ることができません。ろう者等がきこえる人と同等に選挙に関する情報を得て、その選挙権を行使できるよう、政見放送への手話言語通訳、字幕付与の義務付けができるよう、公職選挙法の改正を求めます。
(2)候補者が行う街頭演説に手話言語通訳や要約筆記等をつけることについて、制限を撤廃してください。
<説明>
現在の公職選挙法では、「専ら手話通訳を行う者に報酬を支払うことができる」規定がありますが、手話言語通訳を行う者は「運動員」とみなされています。手話言語通訳者は自らの意見を述べたり、候補者の応援をする「運動員」ではなく、公平に情報保障を担う者です。「運動員」の規定を外し、報酬が支払えるようにしてください。
また、文字による情報保障として、字幕や要約筆記等をスクリーン等に投影する方法は認められていますが、屋外では投影することが禁止されています。情報アクセシビリティの観点から必要な法改正をしてください。
3.放送・通信分野を広くカバーするアクセシビリティ指針を制定してください
(1)放送におけるアクセシビリティ指針の見直しにおいて、手話言語放送のパーセンテージによる目標値を制定してください。また、地方局における字幕放送・手話言語放送を拡大するために必要な予算措置・人材育成を進めてください。
(2)放送以外のオンデマンド視聴やNetflixなどの配信プラットフォーム等においてもアクセシビリティ指針を制定し、字幕・手話言語付与の目標値を定めてください。
<説明>
放送におけるアクセシビリティ指針は一定の効果を得られていますが、手話言語放送の普及の低さや地方での広がり等の課題があります。加えて、放送コンテンツのオンデマンド視聴やNetflix等の配信プラットフォーム等では、字幕などのアクセシビリティ指針が適用されておらず、事業者の判断に左右される現状があります。放送だけではなく放送・通信分野を広くカバーするアクセシビリティ指針の制定を強く求めます。
4.駅や金融機関のATM、公園等の駐車場などで進む無人化について、必要なアクセシビリティ保障を進めてください。(具体的要望項目は別紙参照)
<説明>
無人化の代替え手段として機器開発・活用が推進されていますが、ろう者にとって機器の活用は「困りごとの解消」の手段の1つに過ぎず、対面・対人支援の完全な代替え手段にはなりえません。連盟では、「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会(第1回)」に別紙の意見を出しています。それらについて検討を改めて求めます。
5.障害者差別解消法に基づく対応指針等に、以下の具体的な記述を含めてください。
(1)すべての事業者や各省庁の出先機関等にろう者が容易にアクセスできるよう、情報アクセシビリティ保障を進めてください。
<説明>
現在、消費者や利用者が問い合わせをする「相談窓口」「販売申し込み先」、各省庁の出先機関等の受付窓口は、電話番号のみの対応が多く存在しています。2021年7月からは公共インフラとして電話リレーサービスが利用できるようになりましたが、ろう者がアクセスしやすい方法(メール・FAX等)でのアクセシビリティ保障について、見直しが予定されている対応要領・対応指針に記載してください。
(2)公共施設・商業施設等における音声情報の文字化について、具体的に記述してください。
<説明>
平時から公共施設・商業施設等における音声情報を文字情報にて掲示することで、緊急時にも有用な情報源となります。公共施設や商業施設等における音声によるアナウンス情報について、「文字または手話言語表示」をすることを、見直しが予定されている対応指針に記載してください。
以 上
別紙(全日本ろうあ連盟)
駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会(第1回)
一般財団法人全日本ろうあ連盟
1.聴覚障害者による無人駅利用時の課題について
【切符購入及び料金清算】
◎障害者割引の切符は、自動券売機ではできない。(特に特急(新幹線)等の乗継が必要な場合の購入は何らか駅員とのやり取りが生じる)その際の方法としてはインターホン(音声)のみであればコミュニケーションは困難。コミュニケーションの齟齬が生じた際に、カバーできる手段がない。深夜等で周りに協力を仰ぐ人もいなければ更に購入が困難になる。
◎説明の必要な乗り継ぎを利用した場合や乗り越し等の料金精算が困難。
【災害及び緊急時】
◎地震などの災害時の音声アナウンスによる案内が聞こえないので、何が起こっているか不明で更には振替方法や避難方法がわからない。電車が来ないままずっと待つことになり、不安が増してしまう。
事例①先日、秩父で電車事故の際、駅の外でタクシーを用意するために秩父駅にいる人数を確認する必要があるので、改札口前に集まってくださいというアナウンスがあった。幸いにその場にろう者がいなかったが、もし、ろう者がトイレに行っている間、そのようなアナウンスがあったら急に誰もいなくなり、何があったのだろうかとかえって不安が増してしまう。そうならないために視覚的な情報の環境整備が必須である。
事例②先日、姪浜駅から唐津駅までの筑肥線を利用する際、パンダグラフの不具合により、電車が動かなくなり発車するまで長時間を要した。何時に出発するのかも正確な情報が得られなくて困惑した。
【駅(及び車内)での音声案内】
◎電車がホームに入ってくる際の案内、突発的な電車のスケジュール変更の案内や途中駅からの車両の切り離しで別方向へ向かうことが音声だけは、わからない。そのため目的の電車に乗れないことがある。
◎車内アナウンスで観光名所通過時に、名所のアナウンスが流れていることがある。電車のスピードが落ち、別の乗客たちがカメラを持って撮影しているのを見て、後から絶景スポットなどの名所であることがわかり、悔やむ事例がある。
2.聴覚障害者による無人駅利用時の改善要望について
①視覚的な情報の環境整備が必須(モニターに文字によるやり取り等)
②無人駅、または電車に乗る際には、QRコードを読み込んで情報アクセス(手話・文字での情報が受け取れる)できるようなアプリ開発をし、そのQRコードで対応ができるという掲示もお願いしたい。
③無人駅には、モニター・カメラを備えた非常用電話の設置を。
④災害時や緊急時には『周囲の人に聞こえない方がいらっしゃいましたら筆談、身振りなど用いて情報提供お願いします』という車内アナウンスを流す方法。
⑤自動券売機には「障害者割引」ボタンの設置を。
筑肥線利用者が例えば天神まで乗車した場合、介護付きの場合は2人で割引できるので券売機で「小人」のボタンを押して割引を行っている。しかし1人の場合、JRは100キロ超えないと割引不可で、筑肥線の唐津駅までは100キロ以下であるため、割引対象外となる。
従って、姪浜駅までのJR切符を購入し、姪浜駅を過ぎて天神駅で下車すると、乗り越し用の精算機を使うことになる。この精算機に割引ボタンがないため、わざわざ駅員にJRの切符を見せて姪浜駅から天神駅までの乗り越しの説明および身障手帳を見せてやっと割引料を計算してもらうという非常に煩雑な手続きが必要。
また、この手続きの際に聴覚障害者はコミュニケーションが困難であるため、説明する時に時間を要する。この手続きを簡素化するために、精算機に福祉割引ボタンを設けて欲しい。 障害者割引適用の「はやかけん」を使用する際も、精算機で割引ができるよう改善していただきたい。
⑥障害者割引設定の交通ICカードを作り、またそれは複数の鉄道会社を利用する際にも使い勝手の良いものにして欲しい。