公明党「障がい者福祉委員会」に出席



 2022年5月25日(水)「公明党 障がい者福祉委員会」衆議院第1議員会館で開催され、連盟とあわせて9団体が出席しました。連盟からは久松事務局長と教育・文化委員会の堀米副委員長が出席しました。(久松事務局長は日本障害フォーラムの立場もかねて出席しています)

 参加者全員による記念撮影後、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」について期待することを各団体から述べた際、連盟からは法成立へのお礼を申し上げるとともに、この法律の精神をより多くの方々へ広めていくための取り組み等について要望書を提出しました。

連本第220091号
2022年5月24日

公明党 障がい者福祉委員会
 委員長 三浦 信祐 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

要 望 書

 日頃より、私どもきこえない・きこえにくい人の福祉向上に、ご理解ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 今般「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が成立し、この法をより実効性のあるものとすべく、下記の通り要望いたします。

1.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法について
2022年5月19日(木)、衆議院本会議において成立した「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」について、改めてお礼を申し上げるとともに、この法の精神を社会に広めていくためにも、以下の事項について検討ください。

(1)新たに設けられた第10条「法制上・財政上の措置等」を確実に進めていくためにはその実施を監視・必要に応じて勧告が行える機関が必要です。これまで障害者基本計画の策定の際に調査審議や意見具申を行うとともに、計画の実施状況について監視や勧告を行ってきた「障害者政策委員会」に対し、本法律の実施状況も監視や勧告が行えるよう運用の検討してください。

(2)第11条「障害者による情報取得等に資する機器等」では、①機器・サービスの開発提供への助成、規格の標準化、障害者・介助者への情報提供・入手支援、②利用方法習得のための取組(居宅支援・講習会・相談対応等)、当該取組を行う者への支援、③関係者による「協議の場」の設置などが明記されています。きこえない・きこえにくい人への情報アクセシビリティと支援のため、聴覚障害者情報提供施設や意思疎通支援事業等の障害福祉分野に対しても、ICTの活用や環境整備を推進してください。

(3)第12条「防災及び防犯並びに緊急の通報」では、防災及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得することができるようにするための体制の整備が明記されています。災害時のテレビ放送のおける字幕や手話言語の付与、避難所等での視覚的な情報の発信、音声による防災無線からの情報に代わる手段の開発等、きこえない・きこえにくい人が情報を取得できるよう整備を進めてください。

(4)新型コロナウイルス感染症に関する様々な給付や補助制度は、その多くが音声もしくは書面のみの通達や広報となっており、手話言語による情報伝達については充分に対応いただいているとは言い難い状況です。音声や文字だけでの対応では情報入手が困難な障害者がいることを踏まえ、情報や支援が届くよう、そのシステム構築の際、手話言語によるアクセシビリティの保障を国として必須とするようにしてください。
 また、各省庁では動画サイトチャンネル(YouTube等)を開設されて、福祉・教育・文化・日常生活などさまざまな分野に関わる広報がされています。字幕が挿入されている動画もありますが、中にはYouTubeの機能で音声認識で自動的に字幕表示をする場合もあり、誤変換により正確な内容を知ることができない場合もあります。省庁が掲載する動画には必ず字幕を入れるように進めてください。

(5)障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の附帯決議でも言及いただいておりますが、ニュージーランドやフィリピン等の諸外国では手話を「言語」として規定し、ろう者が手話言語を獲得することをはじめ、手話言語による情報獲得や教育、ろう児を持つ親への支援等が進んでいます。ろう者が手話言語を用いて、きこえる人と対等に社会参加をしていくためにも、手話を「言語」として規定し、手話言語を獲得し手話で学べるようにするための環境整備と手話言語を研究・普及・保存していくことを保障するための法律「手話言語法」の制定を早急に進めてください。

2.「国歌」の手話言語訳について
 現在、我が国の「国歌」は手話言語訳が定められていません。
 そのため、毎年開催される国民体育大会や全国障害者スポーツ大会等の式典にかかる国歌手話言語訳は開催毎に手話表現が異なるため、混乱や戸惑いを生んでいます。
 オリンピック・パラリンピック等の国を挙げての行事や大会、式典等で、きこえる人たちが日本語で国歌を斉唱するのと同様に、きこえない・きこえにくい人が手話言語で国歌を斉唱するには、全国統一の『国歌の手話言語訳』の策定や普及推進が必要です。
 当連盟では2019年度にスポーツ庁から受託した「スポーツに精通した手話通訳者の育成助成事業」の中で、専門家や手話言語関係団体も加わった「デフスポーツにおける手話言語通訳者の育成等に係る検討委員会・国歌部会」を立ち上げ、『国歌の手話言語訳(試行版)』を作成しました。私どもの『国歌の手話言語訳』を踏まえ我が国の国歌手話言語訳の制定と共に啓発・普及の促進に取り組んでください。

以 上

委員会の様子 委員会の様子