障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)成立に寄せて



障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律
(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)
成立に寄せて

2022年5月19日

一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

 本日、衆議院本会議において、「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)」が全会一致で可決、成立しました。
 この法律は、当連盟ならびに、国内の当事者団体・支援団体が、12年もの長きにわたって制定を求めてきたものです。2010年~2011年の「We Love コミュニケーション」パンフレット普及・署名運動では、全国から116万筆もの賛同の署名をいただき、中には、東日本大震災で被害を受けた地域からのご署名もありました。
 たくさんの人の想いが実を結び、形となってスタートしたことの喜びを、皆さんと分かち合うとともに、改めて法律の制定に向けてご協力くださった多くの関係者の皆様にお礼を申し上げたいと思います。

 社会は情報であふれています。駅の音声アナウンス、大学の講義、病院での診察、テレビ番組の出演者の声など、当たり前に情報を得られる人たちにとっては些細なことかもしれません。しかし、私たちにとって、これらの情報はどれ一つとして取りこぼしたくはない大切な情報です。「情報アクセシビリティ」の重要性を謳い、その施策の推進を求める法律ができたことは画期的なことです。
 また、附帯決議には、手話言語法の立法を含め、手話に関する施策の一層の充実の検討を進めることも盛り込まれました。
 これまで手話通訳の派遣を制限されていた場面においても、この法律の存在を示すことで、情報保障環境の整備を求める運動につなげることができます。
 一方、さらなる対象の拡大に伴う手話通訳者等の担い手の確保、幅広いニーズに対応する手話通訳派遣の体制づくりの課題は残っています。きこえない・きこえにくい人の完全な社会参加を実現し、未来を担うきこえない・きこえにくい子どもたちの明るい未来を作るため、引き続き関連団体とともに、課題解決に向けて取り組んでいきます。

 情報・コミュニケーションは、私たちが社会参加をするための欠かせない権利です。
 全日本ろうあ連盟は、この法律の制定をきっかけに、きこえない・きこえにくい人、そしてすべての障害者に対する情報アクセス権の保障が前進するように、この法が各種政策やあらゆる場面での合理的配慮に結びつくよう、引き続き運動を続けてまいります。
 また、この法律を後押しとし、手話言語法の制定に向けて邁進していきます。