公明党「障害者総合支援法・児童福祉法改正法施行後3年の見直しに関する団体ヒアリング」に出席



 2022年2月8日に公明党の障がい者福祉委員会が開催され、「障害者総合支援法・児童福祉法改正法施行後3年の見直しに関する団体ヒアリング」に、連盟ほか23団体が出席しました。連盟からは久松局長と福祉・労働委員会の有山副委員長、倉野本部事務所長が出席しました。

 委員長・三浦信祐議員、宮崎勝事務局長、山本博司参議院議員からのご挨拶の後、各団体から要望の要旨説明と質疑応答が行われ、連盟からは、今期国会での成立を目指している「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案(仮称)」に期待されること、きこえない・きこえにくい子どもへの相談支援体制の充実や電話リレーサービスの利用拡充、またデフリンピック2025日本招致への支援などについて説明しました。

 ヒアリングの様子 ヒアリングの様子
 ヒアリングの様子 ヒアリングの様子

連本第210678号
2022年2月8日

公明党障がい者福祉委員会
 委員長  三浦 信祐 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8階
電話03-3268-8847・FAX03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎
(公印省略)

児童福祉法・障害者総合支援法改正施行3年の見直しに向けた意見書

1,障害者の相談支援等について(総合支援法)
 きこえない・きこえにくい方々が安心して障害福祉サービスを受けられるよう、手話言語で相談支援ができる環境を整えてください。
 相談支援事業を実施する事業所に対し、手話言語で相談できる相談支援専門員の配置に対する加算、相談支援専門員に対する手話言語通訳者の派遣に対する加算を追加してください。
 また、相談支援専門員の研修には就労支援員の研修と同様に、きこえない・きこえにくい人の障害特性を学ぶカリキュラムを盛り込むなど、研修の見直しや相談支援事業所が利用しやすいよう制度の拡充を図ってください。
 相談支援事業所と聴覚障害者情報提供施設が連携し相談支援事業を行えるよう、オンラインによる相談、遠隔手話通訳、ICTを活用した手話言語通訳養成等の予算化を図り、聴覚障害者情報提供施設の機能や役割の拡充を図ってください。

2,グループホームについて(総合支援法)
 きこえない・きこえにくい人、またろう重複障害者の場合、生育歴、教育歴、生活環境などから、発達や精神面での課題を抱える人が多くいる為、専門的な支援を必要とします。意思疎通や意思決定が困難なきこえない・きこえにくい人、またろう重複障害者の支援のために、手話言語のできる職員の配置を行い、手話言語でコミュニケーションができ、本人の望む暮らしができるよう居住選択権を保障する視点から「通過型」類型の創設は慎重に進めるべきと考えます。

3,地域生活支援事業について(総合支援法)
 障害児・障害者日常生活用具の用途及び形状には、「二 情報・意思疎通支援用具 点字器、人工喉頭その他障害者等の情報収集、情報伝達、意思疎通等を支援する用具のうち、障害者等が容易に使用することができるものであって、実用性のあるもの」とありますが、具体的な品目の指定は市町村の裁量となっています。
 ICT、デジタル社会に合った品目の可否については全国的なバラつきが生じています。地域格差が起こらないよう、国から市町村にICT・デジタル品目への配慮について周知ください。

4,意思疎通支援事業について(総合支援法)
①手話通訳者養成
 きこえない・きこえにくい人の社会参加の広がり、また、遠隔手話通訳や電話リレーサービスなど、新しいツールによる通訳方法、またそれに沿った通訳スキルが求められています。手話通訳者養成事業について、若年層の養成も含め新たな制度設計も念頭に入れた養成システムの見直しを行ってください。

②手話通訳者設置事業
 きこえない人が本人のニーズに基づいた福祉サービスを選択、決定、利用するためにも、自治体に恒常的に設置された通訳者は重要な存在であるにも関わらず、自治体の設置率は39.9%(令和元年度)となっています。きこえない・きこえにくい人が様々な社会サービスを適切に利用するためにも、自治体においては積極的な正規雇用で手話通訳設置事業の実施率アップに向けた取り組みを行ってください。

5,児童相談所虐待対応ダイヤル(189)について(児童福祉法)
 電話リレーサービスが公的インフラとしてスタートしていますが、児童相談所虐待対応ダイヤル(189)は電話リレーサービスの対象になっていません。きこえない・きこえにくい人も利用できる番号の設定、またはメールやFAXでの通報システムを追加してください。

6,障害児支援について(児童福祉法)
 放課後等デイサービス等について、ろう児向けの専門事業所が少ない中、地域の施設に通わざるを得ないろう児は、結果として十分な支援を受けられず、利用を断念する例もあります。きこえなくとも安心して通所できるような体制が整えられるよう手話言語ができるスタッフの配置や、視覚的情報にアクセスできる体制の整備についての配慮を制度化してください。
 また、ろう児が放課後等デイサービスに遠方から通う場合、移動支援事業の利用も認めるようにしてください。

7,きこえない被虐待児童への対応について(児童福祉法)
 被虐待児童がきこえない児童の場合、一時保護から児童養護施設、自立支援など全ての支援において、きこえない児童が安心して手話言語でコミュニケーションができるような環境整備が重要です。それらについて早急に対応を行ってください。
 また、児童相談所と聴覚障害者情報提供施設を含む関係機関との連携体制のもと、ピアサポートの専門性の確保の観点からも、児童相談所に当事者による相談員(児童福祉司、児童心理司、家庭相談員)を設置および全国のろう学校すべてに、ろう当事者のスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを設置し、きこえない子供がコミュニケーションの壁を感じることがない中で自分の意見を述べたり、相談が可能となる環境を整えてください。
 ろう当事者のスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの研修において、手話通訳や要約筆記等の情報保障を行ってください。

以 上