【声明】第49回衆議院議員総選挙の政見放送における手話通訳業務の妨害について



 政見放送における手話通訳挿入については、きこえない人たちの参政権保障には不可欠で、当事者団体と支援団体の長い運動を重ねてきました。
 しかし、この度の第49回衆議院議員総選挙の政見放送において手話通訳士に対する不適切な行為がありました。
 このことはすべてのきこえない人の情報保障と参政権保障が損なわれることにもつながります。
 私たち三団体は、今後このようなことが無いよう、多くの方々にご理解をお願いすることを目的とし声明を出すことになりました。

2021年12月16日

【声明】第49回衆議院議員総選挙の政見放送における手話通訳業務の妨害について

 今般実施されました第49回衆議院議員総選挙における神奈川県選挙区の政見放送で候補者による担当手話通訳士に対する不適切行為が行われ、担当手話通訳士への聴取により、当該行為は事前に知らされたものではなく、業務に支障をきたしたことが確認されました。
 私たち3団体は、すべてのきこえない人・きこえにくい人(以下、「きこえない人」と表記)への情報保障と参政権保障、そしてそのために欠かせない手話通訳士の安心安全な通訳環境保障のため、各政党、各候補者、また関係する団体等に対して以下の点を強く求めます。

1.担当手話通訳士への業務妨害の防止
 手話通訳士は政党や候補者の政策を正確に視聴する者に伝える任務があり、そのために安心安全な環境で手話通訳を行うことがその目的を果たすことになります。しかし、その安心安全が損なわれる不適切行為が確認されました。このことは、すべての手話通訳を担う者に対し恐怖を与え、手話通訳の業務を妨害しました。このような行為は認めることができません。

2.きこえない人への情報と参政権の保障
 今回の手話通訳士に対する行為は、手話通訳業務の妨害のみならず、政見放送を視聴するきこえない人の知る権利をおびやかしました。このことは候補者の政策を正しく知り、投票をする権利(参政権)が損なわれることにもつながります。すなわち私たちが長年求めてきた政見放送への手話通訳挿入のための長い運動をも否定されることにつながるということに危惧を覚えます。私たちが候補者や政党の政策を正しく理解するためにも手話通訳士への不適切行為が繰り返されることが無いよう求めます。

 政見放送における手話通訳は、きこえない人の参政権を保障するためには不可欠なものです。担当する手話通訳士は、きこえない人に情報を伝える専門職として、政見放送の候補者の政策や訴えを伝える役目があり、演出者ではありません。政見放送における手話通訳士の役割を正しく理解し、今後は安心安全が保たれた環境で手話通訳ができ、きこえない人の参政権が保障される環境を強く求めます。

一般財団法人全日本ろうあ連盟
一般社団法人全国手話通訳問題研究会
一般社団法人日本手話通訳士協会