武田総務大臣に情報アクセシビリティ環境の整備促進を要望



 2020年11月25日、全日本ろうあ連盟 石野理事長、石橋副理事長、久松事務局長、倉野本部所長が武田総務大臣を訪問し、きこえない・きこえにくい人への情報アクセシビリティ環境の向上に向けた整備促進を要望しました。

連本第200353号
2020年11月25日

総務大臣
武田良太様

東京都新宿区山吹町130 SK ビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

きこえない・きこえにくい人への情報アクセシビリティ環境の
向上に向けた整備促進への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私どもきこえない・きこえにくい人への福祉向上にご理解ご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 来年度から実施される電話リレーサービス制度により、きこえない・きこえにくい人を取り巻く障壁の解消に一歩前進できましたことに大変感謝いたします。
 しかし、電話リレーサービスの公的インフラとしての基盤整備や地域社会における情報アクセシビリティ環境については、まだまだ課題が残されています。
 2020東京オリンピック・パラリンピックで心のバリアフリーや街のバリアフリーが進んだように、私どもも障害のある人もない人も共に暮らせる共生社会の実現の第一歩に向け、2025年デフリンピックの日本開催そして情報アクセスのバリアフリーの促進に向けて取り組んでおります。
 総務省におかれましては、きこえない・きこえにくい人への情報アクセシビリティ環境の向上に向け、より一層の整備を講じて頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。

1.電話リレーサービス啓発普及事業を実施してください
〔説明〕
 電話リレーサービスを公的インフラとして定着させるためには、社会そしてきこえない・きこえにくい人の周知・啓発が重要となります。総務省の先進的な取り組み『デジタル活用支援員推進事業』を好事例にし、電話リレーサービス啓発普及事業(電話リレーサービス活用支援員)を創設し、各都道府県の聴覚障害者情報提供施設及び聴覚障害当事者団体による、きこえない・きこえにくい人への周知啓発を行ってください。

2.電話リレーサービスのオペレーターの資格制度を創設してください。
〔説明〕
 状況によっては、きこえない・きこえない・きこえにくい人への命や人権に関わることもある、きこえない、きこえにくい人ときこえる人同士の会話を、手話言語から音声言語及び音声言語から手話言語に通訳をするにあたり、その通訳業務を担うオペレーターは、利用者保護の観点から、オペレーターは一定基準以上の資格及び技能を有することが必要です。
 電話リレーサービス制度への信頼性を担保するオペレーターの重要性を鑑み、総務省による「電話リレーサービスオペレーター」の資格制度を創設してください。

3.テレビ放送における手話放送時間の目標時間の向上及び災害時の緊急番組への手話通訳ワイプ固定の義務化を図ってください。
〔説明〕
 障害者権利条約第30条「文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加」1項(b)では、「障害者が、利用しやすい様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受する機会を有すること」としています。
 しかし、テレビ放送における1週間あたりの手話放送時間はNHKは8分、民間11分~14分程度(総務省「平成30年度における字幕放送等の実績の概要」令和元年9月発表)と、字幕番組と比べてはるかに低いものとなっています。
 また、災害等の緊急番組等での手話通訳ワイプの義務付けや通訳者の立ち位置にも基準がなく、テレビ番組によって手話通訳者そのものが映し出されないことがあります。
 きこえない・きこえにくい人への命を守るため、テレビ放送における手話放送時間の目標時間の向上及び災害時の緊急番組への手話通訳ワイプ固定の義務化を図ってください。

4.公共施設や避難所等に、「公衆手話電話」や「アイ・ドラゴン4」の設置を促進してください。
〔説明〕
 災害等緊急時における通信手段の確保のため、公共施設や福祉避難所への「公衆手話電話」の設置を推進してください。
 また、災害時におけるきこえない・きこえにくい人への情報提供、アクセシビリティ環境の向上のため、避難所等へアイ・ドラゴン4の設置を推進してください。

5.オンラインにおけるきこえない・きこえにくい人への情報アクセシビリティ環境の構築を推進してください。
〔説明〕
 コロナ禍をきっかけにオンライン会議やオンラインによるイベントの導入などが一気に進みましたが、オンライン会議などのツールは障害のある人の参加をほぼ想定していないため、特にきこえない・きこえにくい人は情報保障が得られにくく、参加しにくい状態となっています。
 総務省主導によるオンライン会議における情報保障のマニュアル策定及び国際基準化を推進してください。
 また、災害時等の緊急時に避難所でのオンラインによる遠隔手話通訳支援は重要なものとなります。避難所へのオンラインによる遠隔支援を行えるシステムの導入、また、オンライン医療等における遠隔システムへの手話通訳等の情報保障の組み入れ等についても検討をしてください。

以上

記念写真
写真右より 石橋副理事長、石野理事長、武田総務大臣、
薬師寺先生、久松局長、倉野所長