自由民主党「障害福祉サービス等報酬改定に関する団体ヒアリング」が開催



 2020年11月19日、自由民主党本部で自由民主党 政務調査会 障害児者問題調査会(会長 衛藤晟一議員)による令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に関する団体ヒアリング(第2回)が開催され全日本ろうあ連盟より石野理事長、久松事務局長、倉野本部事務所長が出席しました。
 日視連、手をつなぐ育成会、DPI、全難聴、全国盲ろう者協会等の他オンライン及び要望文のみの提出も含め14の障害者団体から意見が提出されました。

連本第200344号
2020年11月19日

自由民主党
政務調査会 障害児者問題調査会
 会 長  衛 藤   晟 一  様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

要 望 書

 日頃より、私どもろう者等の福祉向上に、ご理解ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 また今回、このようなヒアリングの機会をつくっていただき、ありがとうございます。
 私たちろう者にとり、情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法及び手話言語に関する法制度は永年の願いであり一日も早くその制度化を切望いたします。
 さて、地域において、利用可能な支援施設や提供される障害福祉サービスは、私たちろう者以外の障害者を対象にしたものが多くを占め、手話言語を使うろう者向けの社会資源が非常に乏しいのが実情です。報酬改定以前に、ろう者が自分の住む地域で自分に合った障害福祉サービスが利用できるよう、ろう者向けの施設整備及びサービス拡充を切にお願い申し上げます。
 聴覚障害者に係る障害福祉サービス等の報酬改定について、下記の通り要望いたします。

1.視覚聴覚言語障害者支援体制加算について

①全国のろう重複障害者施設の利用者の高齢化、重度化が顕著であり、視覚聴覚言語障害者支援体制加算をしていただきたい。
 今般のコロナ禍においても、ろう重複障害者にとってはコミュニケーション保障とあわせて病気の理解や新たな生活様式などの様々な学習機会の保障(集団学習の支援と個別支援対応と併用して)など「理解支援」が不可欠であり、そのための報酬加算が必要である。

②児童福祉法の障害児通所施設(児童発達支援・放課後等デイサービス)にも「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」を適用していただきたい。
 現在、成人のろう重複障害者等が利用する通所施設や施設入所、共同生活援助について視覚聴覚言語障害者支援体制加算が適用されるにもかかわらず、障害児通所施設(児童発達支援及び放課後等デイサービス)については適用されていない。乳幼児期から聴覚・ろう重複児にはコミュニケーション支援が欠かせず、発達保障を考えるとき集団保障も重要。聴覚・ろう重複児の専門的な支援体制を行っている児童発達支援及び放課後等デイサービスの事業所に対して、視覚聴覚言語障害者支援体制加算の適用が必要である。

2.送迎加算について(拡充)
 ろう重複障害のある利用者を専門的に受け入れている通所施設(生活介護、就労継続支援、地域活動支援センター等)は、利用者が広域に点在しており、広域に送迎を実施している。送迎に関する事業所の負担が大きく、送迎加算を拡充していただきたい。

3.福祉・介護職員等特定処遇改善加算について
 現在、障害福祉サービスにおいては、手話通訳士、手話通訳者、手話奉仕員、要約筆記者が、職員分類の変更特例として改善されたが、手話言語のできる聞こえない職員についてはその対象になっていない。聞こえない人がスムーズに手話言語でコミュニケーションができる社会資源は少なく、少しでもろう者が利用しやすい社会資源拡大のためにも手話言語のできる聞こえない職員も加算対象としていただきたい。

4.新型コロナウィルス感染症に関する加算(基本報酬及び各種加算の運用について)

①ろう重複障害者など24時間介助が必要な者が入院した際、施設スタッフの理解支援や付き添い支援が必要になる。その体制を十分に確保できるように、基本報酬及び各種加算を柔軟に算定できるようにしていただきたい。

②視覚聴覚言語障害者支援体制加算の弾力的な運用として、一般の施設に入所しているろう者及びろう重複障害者へタブレットなどのIT機器等を貸出し、自由に手話言語で話せる環境整備をしていただきたい。
 外部との面会が制限されている一般の施設に入所しているろう者及びろう重複障害者は、第一言語である手話言語で話せず、その孤独から認知症が進行したり、精神的な落ち込みから鬱になる状況にある。タブレット等のIT機器を貸出し等し、手話言語でコミュニケーションができるよう環境整備をしていただきたい。

③「新型コロナウィルス感染症緊急包括支援交付金」の介護・障害分野の慰労金支給について、盲ろう者向け通訳・介助派遣事業と同様にその他の全ての意思疎通支援事業を対象に含めていただきたい。
 障害福祉サービス施設・事業所に通算10日以上勤務し、利用者と接する職員に慰労金が支給されているが、地域生活支援事業の中で意思疎通支援事業は対象外となっいる。その中で、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業は対象となっているが、手話通訳者等は支給対象に含まれていない。手話通訳者等も対面(約1mの近距離)による通訳業務を行っているので、盲ろう通訳・介助員同様に慰労金支給の対象としていただきたい。

石野理事長
挨拶に立つ石野理事長

倉野本部事務所長
説明をする倉野本部事務所長

他団体の意見を聞く
他団体の意見を聞く 左から倉野本部事務所長、久松事務局長、石野理事長