電話リレーサービスのパブリックコメントへ意見を提出



 オペレーターを介して、きこえない人ときこえる人同士が、手話言語や文字で24時間365日電話出来る、公共通信インフラとしての電話リレーサービスが2021年度より始まります。
 この度、総務省より、制度化に向けた電話リレーサービスの法律施行規則や基本的方針に関するパブリックコメントが募集され、当連盟より下記の通り意見書を提出いたしました。

◆聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律施行規則等に関する意見募集
 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban02_02000366.html

2020年10月14日 意見提出

該当場所 意見
第6条に以下の事項を新たに追加すべきである
・電話リレーサービス提供業務に必要となる人材の資格・養成・研修に関する事項
第6条三において、運営その他の体制に関する事項が書かれているが、この条文だけでは、制度の要となるオペレーターの品質確保を行うことが読み取れず、オペレータに関する事項も明記する必要がある。

◆聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する基本的な方針に関する意見募集
 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban02_02000368.html

2020年10月19日 意見提出

該当場所 意見
「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する基本的な方針」の考え方について  聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する基本的な方針の全文に「聴者」が6ヶ所で使われている。
 「聴者」について日本語の定義はないのに法令に使われるのは不適当と考える。また、聴覚障害者の対比として「聴者」を使うのは不適切であり、また、「聴」は「聴衆」「聴衆」「傍聴」のように、きこえる・きこえないに関わらない使い方をしているので、日本語としての「聴者」の使い方は問題がある。さらに、「聴覚障害者」の略として「聴者」を使っている地域もある。
 音声言語により意思疎通を図ることに支障がない者の略称として「聴者」ではなく「きこえる人」に修正すべきである。
「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する基本的な方針」の考え方について  電話リレーサービスは公共インフラとして整備される以上、きこえる人・きこえない人を問わず、すべての国民が利用できるようにすべきである。
 しかし、五頁に「障害者手帳の有無を問わず聴覚障害者等が使えるようにすべきである」とある一方で、10頁には「聴覚障害者等以外の者の利用を避けるための対策を取るべき」ともある。
 「障害者手帳の有無を問わず」、聴覚障害者等が使えるようにすべきとする一方で、聴覚障害者等以外の利用を避けるための対策を取るべきというのは大きな矛盾がある。そもそも「聴覚障害者等」をどのように定義するのかが何も示されていない。
 「すべての国民が使えるようにすべきである」と修正し、「聴覚障害者等以外の者の利用を避けるための対策を取るべき」の文言を削除すべきである。
三頁~四頁 二「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化のための施策に関する基本的な事項」  四頁に「さらに聴覚障害者等による電話の利用の円滑化には聴覚障害者等の理解に加え、聴覚障害者
等の意思疎通の相手方である聴者による理解及び協力が不可欠である。」と記載されているが、どのような理解及び協力が必要なのかが具体的に触れられていない。
 「国民は電話リレーサービスを介して聴覚障害者等と通話する場合には手話通訳や文字通訳を介していることを認識し、通訳に一定の時間がかかることに配慮し、また、重要だと思われる通話内容については重要事項の説明を行うなど円滑なコミュニケーションを図ることを心掛ける」といった具体的な書きぶりにするべきである。
三頁~四頁 二「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化のための施策に関する基本的な事項」  基本的な事項に、電話リレーサービス制度を進めるにあたり、聴覚障害当事者や関係者の意見の反映やまた制度の基盤となるオペレータについての記述がない。
 法案への付帯決議にある
・電話リレーサービス提供機関及び支援機関の運営については、指導監督を行うこと。
・電話リレーサービスのオペレータについては、専門的な技術や知識を要することを踏まえ、手話通訳士、手話言語通訳者又はこれらと同等の資格や技能を有する者を基本とすること。また、オペレータの養成カリキュラムの策定に当たっては、手話通訳者及び要約筆記者養成にかかる現行制度及び聴覚障害者等その他の関係者の意見を踏まえて行うこと。
・本法の施行の状況について検討を加えるときは、聴覚障害者等その他の関係者の意見を踏まえること。
 この3つの文言を、二「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化のための施策に関する基本的な事項」に明記するべきである。
三頁~四頁 二「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化のための施策に関する基本的な事項」  電話リレーサービスにおける本人認証はさまざまな日常生活や就労場面で重要であり、これらが保証されなければ電話リレーサービスは公共インフラになりえない。
 電話リレーサービスを介した本人認証について、企業や金融機関等が拒否また協力を拒むことが無いよう、協力義務を明確に法に規定すべきである。
三頁~四頁 二「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化のための施策に関する基本的な事項」の1.①正当な理由がなければ電話リレーサービスの提供を拒んではならず 、利用者を公平に扱うこと。(サービス提供義務利用の公平性)  誰でも通信を利用できるとする法の理念に照らせば「利用者登録」を必要とする理由は特段にないものと解する。
 公共インフラとして、電話リレーサービスを利用する以上、きこえる人、きこえない人だれでも制約なく利用できるようにすべきであり、利用者登録が前提であってはならない。「利用者登録」の全体及び文言を削除すべきである。
三 電話リレーサービス提供業務の実施方法及び電話リレーサービスの利用に係る料金に関する事項の1.②電話リレーサービスで利用できる電話番号並びに手話及び文字(サービス提供の範囲)  三②において、110,119,118など特定のダイヤルをあげているが、すべての番号に対応すべきである。
 「電話リレーサービス提供機関は固定電話番号、音声伝送携帯電話番号、特定IP電話番号及び緊急通報番号、付加的役務電話番号等、全ての電話番号が利用できるようにしなければならない。」という書きぶりに修正すべきである。
三1.⑦電話リレーサービスの品質を適正に担保すること。(サービス水準の確保)  オペレータは手話を行う者の知識及び技能の審査・証明事業の認定に関する省令(平成21年厚生労働省令第96号)第2条の認可を得た者が実施する手話通訳技能の向上を図るために実施される試験若しくは都道府県、指定都市及び中核市が実施する手話通訳者・要約筆記者養成研修事業における登録試験合格者又はこれらと同等の資格や技能を有する者としているが、だれがどうやって、「これらと同等の資格や技能を有する者」と同等の資格や技能を有するものと認めることができるのか非常に疑問である。
 「これらと同等の資格や技能を有する者」について認定を行う方法及び機関を明記すべきである。明記できないようであれば、この箇所は削除すべきである。
 また、「厚生労働省が別に定める養成カリキュラムに基づく研修等」とはどのようなものなのかをパブリックコメント時点で示すべきである。
 なお、「品質を適正に担保しなければならない」とあるが、誰がどのようにそれを評価するのか問題点である。品質について評価を行う第三者機関を明記すべきである。
三1.⑧利用の適正性を担保すること。(利用者の本人確認の実施)  「利用者登録」が必要な理由は何か?
公共インフラとして、電話リレーサービスを利用する以上、きこえる人、きこえない人だれでも制約なく利用できるようにすべきであり、利用者登録が前提であってはならない。「利用者登録」の全体及び文言を削除すべきである。
三2.「附帯業務の在り方
②電話リレーサービスに関連する技術の調査研究等
 電話リレーサービスの基盤となるオペレータの養成やたゆまぬ技術向上は重要である。
 調査研究に、「オペレータの養成カリキュラムの研究」も入れるべきである。
 また、社会生活上の安全及び戸外における最低限の通信手段を確保するために設置される第一種公衆電話と同様に、電話リレーサービスが利用可能な公衆電話の配置も進めるべきであり、その配置について調査研究も行うよう文言を入れるべきである。
三2.「附帯業務の在り方
③電話リレーサービスに係る周知広報
 聴覚当事者への電話リレーサービスの周知啓発や学習はとても重要であり、その効果を最大限に上げるためにも、周知啓発は、聴覚当事者団体及び聴覚障害者情報提供施設の連携のもとに行われるべきである。
 「このため、電話リレーサービス提供機関は、電話リレーサービスに関する周知広報を、聴覚当事者団体及び聴覚障害者情報提供施設の連携のもとに、国民等に対して幅広く行うものとする。」と書きぶりを修正すべきである。