新型コロナウイルスについて、国際手話で日本の状況を発信しました



日本の状況についての動画発信

 新型コロナウイルスが世界的に流行しているなか、世界のろう者仲間に日本のろう者の現状について、全日本ろうあ連盟を代表して国際委員長の太田から報告します。
 日本では、新型コロナウイルスの更なる感染拡大を抑制するために、緊急事態宣言が4月7日に初めて発令、その後、5月25日に全面的に解除されました。
 緊急事態宣言中は、ろう学校の休校により、子どもたちには手話言語で学べる場がなく、ネット教材は、字幕も手話言語もないものがほとんどでした。また、会社もリモートワークが増えたことで、会議の内容がつかめず、マスクをしている人が増えたことで、「口の動きが読み取れない、でも外してとは言いにくい」、「手話言語通訳を頼んでもいいのか、うつさないかどうか心配」と悩むろう者も多くいました。
 現在は厚生労働省からフィジカルディスタンスを保つことや、うがい、手洗いの徹底、検温、換気、マスクの着用などが新しい生活様式として示されています。
 一方で、今まで記者会見には、首相会見のみ手話言語通訳者がついていましたが、地域の協会や通訳者団体からの働きかけで、都道府県知事の会見にもすべて付くようになりました。その手話言語通訳者にマスクがない姿が話題になり、ろう者は口の動きを見ていることや、透明マスクに対する世間の関心が高まりました。現在の記者会見では、手話言語通訳者の命を守るためにフェイスシールドを付けるなど工夫をしています。
 全日本ろうあ連盟でも今年の全てのイベントが中止になりましたが、新型コロナウイルス危機管理対策本部を立ち上げ、新型コロナウイルスについて手話言語による情報発信、手話言語によるオンライン相談、そして各省庁へオンライン授業や、行政が発信する新型コロナウイルス対策動画への情報保障の要望を行ってきました。その結果、厚生労働省では通訳者の感染防止や遠隔手話サービスの整備のための予算が付きました。
 また、地域協会や情報提供施設においても、地域の記者会見の手話言語通訳や、行政の各給付金に対する手話言語による動画制作を行ったり、手話言語による応援メッセージを発信したりと、ろう者も聞こえる人も日本中が一丸となって新型コロナウイルスと戦っています。
 世界ろう連盟の加盟国の皆さんも一緒に頑張っていきましょう。