総務省へ「テレビジョン放送における手話言語実証実験」にかかる要望を提出



テレビジョン放送における手話言語実証実験の実施について、総務省へ要望書を提出しました。

連本第200082号
2020年5月21日

総務大臣 高市 早苗 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8階
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

「テレビジョン放送における手話言語実証実験」にかかる要望

 日頃より障害者の情報アクセシビリティの向上について、多大なご配慮を賜り、心より感謝申し上げます。
 さて、平成30年度第二次補正予算による「聴覚障害者放送視聴支援緊急対策事業」では、「聴覚障害者放送視聴支援緊急対策事業」として、音声認識技術等を活用した字幕表出技術の調査研究に経費補助をする等、文字による情報保障においては、情報アクセスの機会の確保を図っていただいていると思います。しかし、先述の事業は「日本語字幕」が対象であり、「手話言語」は対象となっていませんでした。また、令和2年度予算において「字幕番組等の制作促進」が予算に計上されていますが、手話放送については「制作費等に関する助成」にとどまっており、調査研究については言及されていません。
 今般の新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において、首相記者会見や全国の知事の会見等、手話言語通訳をテレビジョン放送で目にする機会が増えています。全国的にこのような体制整備がされることにより、音声のみでは情報が届きにくい人たちがいるということの理解、手話言語に対する社会的な認知も進みつつあります。一方で、報道・バラエティー番組などの放送において、手話言語の付与がされない番組がいまだ多いことも事実です。手話言語による情報保障が普及しつつある今、あらゆるジャンルのテレビジョン放送において、手話言語の付与が検討されるべきと考えます。
 現行の規格では、放送局は手話言語のON/OFF操作を行うことができませんが、ITU-Tの国際標準規格に準拠した装置(注)であればそれが可能となります。
 以上をふまえ、「手話言語の実証実験」も追加していただくよう、下記の通り強く要望します。なお、本件に対する貴省のお考えと現在の取り組みの状況を、本書到着後1週間以内に文書にてご回答いただきたく、お願い申し上げます。

  1. すべてのキー局、地方局、BS放送に対し、字幕付与とともに手話言語を付与した実験(現行の実験を含む)を行ってください。なお、貴省の考えについてご教示いただいた後、今後の取り組みの推進について、オンラインによる意見交換を希望します。

(注)
 ITU-Tの国際標準規格に準拠した装置について、わが国では認定NPO法人障害者放送通信機構が開発した「アイ・ドラゴン4」がその例となります。

以上