東日本大震災を忘れない ~9年目を経て~ 3.11声明



 3月11日で東日本大震災から9年を迎えるにあたり聴覚障害者災害救援中央本部が「東日本大震災を忘れない ~9年目を経て~ 3.11声明」を発表しました。

東日本大震災を忘れない ~9年目を経て~ 3.11声明

 2011年3月11日「逃げろ!」の言葉が届かなかった、逃げようとしたが逃げることができなかったなど、様々なケースが発生し障害者の死亡率は住民全体に対する死亡率の2倍にも達していました。
 あれから9年が経とうとしています。復興庁の統計によると震災による避難生活者は約5万人、仮設住宅での生活を余儀なくされている被災者は約5000人、震災後の避難生活による体調悪化、自殺などによる「震災関連死」は、いまだに増加しています。また、福島の原発事故の影響により住み慣れた家を離れ避難生活をしている方の「住民帰還意向調査」の回答では、元住民の半数以上が「戻らない」と回答しています。「もう故郷に戻れない、戻らない」苦悩が続いています。
 新元号「令和」がスタートし、明るい未来を期待していた矢先、9月には台風19号が日本列島に上陸し、千葉県・栃木県・埼玉県・長野県と広範囲にわたり河川の氾濫や土砂崩れが発生して膨大な被害が起きました。聴覚障害者災害救援中央本部は、緊急会議を開いて状況確認や支援について協議し、聴覚障害者災害救援基金を全国の仲間に訴えました。
 また、厚生労働省、総務省、気象庁、内閣府、NHK、民放連へ災害時に聴覚障害者の情報保障や支援について要望書を提出してきた結果、気象庁が緊急発表する際に試行的ではありますが、手話通訳が配置されることになりました。このことが試行で終わらないために、2019年9月5日、東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターより講師をお招きし、厚生労働省、総務省、気象庁と共に、災害時の聴覚障害者に対する情報保障に関する学習会を開催しました。
 2020年8月から東京五輪・パラリンピックが開催されます。大会組織委員会は、東日本大震災や熊本地震などの被災地をまわる五輪の聖火リレールートと決定しました。この「聖火」が全国の仲間を結ぶ「絆」とし広がり、障害のある人もない人も安心して暮らせる社会になることを願っています。全国の仲間とともに防災・減災の取り組みをさらに強化していく決意をここに表明します。

2020年3月11日             
聴覚障害者災害救援中央本部       
運営委員長 石野富志三郎        
 
〈構成団体〉一般財団法人全日本ろうあ連盟     
      一般社団法人全国手話通訳問題研究会  
      一般社団法人日本手話通訳士協会    

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