感染症に関わる医療場面における手話通訳についての見解



 今般の新型コロナウィルス感染拡大を受けて、感染症に関わる医療場面における手話通訳について、連盟・全通研・士協会の3団体の見解を示します。

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★感染症に関わる医療場面における手話通訳についての見解

 世界で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、関連する医療場面における手話通訳者の感染についての懸念が広がっている。
 現在の「登録された手話通訳者の派遣による手話通訳保障の提供」を中心とする手話通訳制度では、休業補償や医療保障のない登録手話通訳者が感染症に罹患する懸念がある。また、指定管理者制度で運営されることが多い情報提供施設職員の罹患は施設運営に与える影響が大きい。
 これらを踏まえ、関連する医療場面における聴覚障害者の情報アクセス及びコミュニケーション保障並びに手話通訳者の感染防止について、「公的責任の確認」「身分保障が不十分な手話通訳者による手話通訳の回避」を図り、下記のとおり見解を公表する。
 なお、上記の課題は現在の手話通訳制度の不十分さに起因するものであることから、私たちは、「雇用された手話通訳者を中核とする手話通訳制度」の確立を目指して引き続き取り組む。

(1)聴覚障害者の情報保障の必要性
 すべての聴覚障害者は、あらゆる医療場面において、適切な方法により情報アクセス及びコミュニケーション保障の必要がある。
 感染拡大防止のためには適切な治療及び情報提供が不可欠であり、情報アクセス及びコミュニケーション保障の方法は、国並びに地方自治体の責任により提供される必要がある。

(2)手話通訳者の感染防止の必要性
 すべての手話通訳者は、あらゆる医療場面において、適切な方法により感染防止のために必要かつ十分な手段が提供される必要がある。また、手話通訳実施後の行動に関する情報は、医療機関及び国または地方公共団体の責任により提供される必要がある。
 万一、手話通訳により手話通訳者が感染症に罹患した場合は、労働災害として取り扱われる必要がある(休業補償、医療補償)。このため、登録手話通訳者の派遣による手話通訳保障は適切ではない。

(3)事前情報提供の必要性
 感染症の治療過程における聴覚障害者及び手話通訳者の行動の制約など関連する情報は、聴覚障害者及び手話通訳者に対して、国及び地方自治体の責任により事前に提供される必要がある。

2020年3月6日
 
一般財団法人全日本ろうあ連盟
一般社団法人全国手話通訳問題研究会
一般社団法人日本手話通訳士協会