新年のご挨拶



『咲む』にふさわしい新しい時代へ

一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎
 

理事長 石野 富志三郎 新年おめでとうございます。
 昨年5月、元号が「平成」から「令和」に変わり、日本は新しい時代への一歩を踏み出しました。新元号の「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味の通り、移りゆく時代の中で、手話言語や情報アクセシビリティへの理解も少しずつ広まっています。元号発表記者会見の生中継に、手話通訳や字幕がついたこともその表れです。
 国へ法制定の要望を進める中で、昨年12月27日現在295の自治体が手話言語条例を制定、着実に手話言語への理解・関心が社会に広まりつつあります。一方で、きこえない・きこえにくいという特性が見た目ではなかなか理解されづらいため、生活や職場の中で、手話通訳や筆談等の合理的配慮を思うように受けられないろう者が多くいます。社会に溢れる音声情報の全てを視覚的な情報に変えていくため、新しい「令和時代」にこそ手話言語法、情報・コミュニケーション法の制定やろう運動のパワーが必要です。手話言語と出会ったろう青年の皆さんにはろう者の実態と手話言語に関心を持ち、共生社会の実現への活動の一役を担っていただきたいと思っています。
 当連盟は、創立70周年記念映画『咲(え)む』の製作に着手し、東京オリンピック・パラリンピックが開催される今年の6月から全国各地にて上映活動を広げていきます。限界集落を舞台に、一人の若きろうの女性を通して「手話言語」は魅力的で素晴らしい言語であること、さらにろう者の泣き笑う豊かな表情が、村の人々の心を変えていきます。障害の有無に関わらず、誰もが心豊かに、ともに暮らせる社会づくりを皆さんと共に進めていきましょう。
 本年もよろしくお願いします。