「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟 第7回総会」開催



 12月5日、参議院議員会館にて「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟 第7回総会」が開催されました。
 日本視覚障害者団体連合会、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国盲ろう者協会の4団体がヒアリングを受け、連盟からは小中副理事長、久松事務局長が出席し、「手話言語法」と「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」の早期制定について要望を述べました。
 議員連盟からは、「読書バリアフリー法が成立をしたので、次は情報コミュニケーション法が基本法となる形で成立できるよう努力したい」との発言がありました。

総会の様子
小中副理事長

連本第190597号
2019年12月5日

障害児者の情報コミュニケーション
 推進に関する議員連盟 御中

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

要望書

 手話言語獲得・手話言語を使える環境整備を保障する「手話言語法」、ろう者、難聴者、盲ろう者、視覚障害者等の情報アクセス・コミュニケーションを保障する「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」の双方を制定させ、福祉・医療・雇用・教育・司法等の様々な場面で具体的な施策行うことで、ろう者等の真の社会参加を推進できるものと考え、以下要望いたします。

1.「手話言語法」の早期制定を推進してくださいますようお願いします。

<説明>
 全日本ろうあ連盟では2010年より「手話言語法」の早期制定を求めて取り組みを進めております。日本政府は、手話が言語であると明記された国連障害者権利条約に2014年に批准し、その後、改正障害者基本法で手話が言語のひとつであることが盛り込まれ、認知が広まりつつあります。
 しかしながら、現在、障害者総合支援法・意思疎通支援事業の手話通訳制度等において、ろう者等が手話通訳を利用する環境は整いつつありますが、ろう児(乳幼児含む)・者が手話言語を獲得するための環境が整備されていません。また、聞こえる人々が義務教育の中で国語を教科として学ぶように、聞こえない、聞こえにくい児童・生徒が「手話言語」を教科として学ぶための仕組みがありません。
 諸外国においては、その国の音声言語と手話言語を学ぶバイリンガル教育の仕組みが確立されており、その効果が科学的に証明されています。
 私たちが考える「手話言語法」では聞こえない、聞こえにくい乳幼児・児童・生徒が「手話言語を学び」、また「手話言語で学ぶ」ことが、人格形成および社会参加の上で非常に重要であると考えます。

 本年9月にジュネーブで開催された国連障害者権利委員会では、「日本手話言語を国レベルで公式な言語として法律上認めるプロセス」が含まれた事前質問事項が採択されました。日本政府はこれに対して2020年6月までに回答することが求められています。
 今こそ、「手話言語法」制定に向けた道筋を立てていただき、一日も早い法制定を求めます。

2.「手話言語法」で実現出来る手話言語使用環境をふまえて、共生社会への参画を可能とする「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」の早期制定を推進して下さいますようお願いします。

<説明>
 障害者権利条約が批准された今もなお、聞こえない人、聞こえにくい人をはじめ、盲ろう者や、話すこと、聞くこと、見ること、書くこと、読むこと、認知することに困難がある人達は、今の国内法制度の中で、憲法第21条に定める「知る権利」や「表現の自由」が十分に保障されている状況ではなく、情報アクセスとコミュニケーションに制限を受けたり、制度の谷間により、憲法第25条や第11条などで保障された「生活を営む権利」などの基本的人権を行使しづらい状況におかれています。
 障害者権利条約の第21条(表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会)に対応する障害者の情報アクセシビリティの権利を保障する国内法制度が残念ながら存在しません。
 情報アクセスに困難がある人達が、「手話言語」を含む多様なコミュニケーション手段から自分に合ったコミュニケーション手段を選択し、社会のあらゆる分野の情報に自由にアクセスできるようにすることで、共に生きることのできる共生社会が実現できます。
 一日も早い「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」の制定を強く求めます。

以 上

【添付】
①「日本手話言語法」(案) (全日本ろうあ連盟案)
②「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」(案)

【参考】
①手話言語法制定を求める意見書採択 1788自治体議会
②都道府県手話言語条例制定数    27道府県
③市手話言語条例制定数       210市
④町手話言語条例制定数       41町
➄村手話言語条例制定数       1村

[主な手話言語法制定賛同団体]
①手話を広める知事の会(会員数:47都道府県)
②全国手話言語市区長会(会員数:557市区長)
③日本耳鼻咽喉科学会
④ろう教育を考える全国協議会
➄日本財団

[主な情報・コミュニケーション法制定賛同団体]
①一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
②社会福祉法人全国盲ろう者協会
③一般社団法人全国手話通訳問題研究会
④一般社団法人日本手話通訳士協会
⑤特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会