共産党「消費税5%への緊急減税で、暮らしと営業、経済を立て直す」各界懇談会に出席



 11月20日、衆議院第一議員会館にて、「消費税5%への緊急減税で、暮らしと営業、経済を立て直す」各界懇談会が行われ、全日本ろうあ連盟から吉田理事が出席しました。
 連盟からは、「消費税増税により、貧富の格差が拡大されている状況がある。ろう者は、就労の場においてよい待遇が受けられず、所得の低い人も多いので、障害者への負担が増えることのないよう、取り組みを進めていただきたい」、「キャッシュレス化・ポイント還元制度の拡大に伴い、クレジットカードが普及している。本人確認やトラブル時の対応等、電話応対が求められる状況を是正していただきたい。関連して、手話言語法、障害者情報アクセス・コミュニケーション保障法の制定にもご助力いただきたい」と意見を述べました。

懇談会

連本第190556号
2019年11月20日

日本共産党中央委員会
委員長 志位 和夫 様

一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

ろう者、難聴者、中途失聴者にかかる政策に関する取り組み要望について

 日頃より、ろう者、難聴者、中途失聴者(以下、ろう者等)の福祉向上について、格別のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申しあげます。
 さて、我が国は「障害者権利条約」批准に向けての国内法整備の一環として「障害者差別解消法」を制定し3年が経過致しました。障害者を取り巻く環境は一歩前進しましたが、手話通訳・要約筆記等を含めた情報アクセス・コミュニケーション支援環境は十分とはいえず、社会参加が困難となり、結果的に消費税の増税や所得の格差などが広がり、生活上の困難や課題に直面する状況があります。
 ろう者等の完全な社会参加と福祉施策充実を保障していき、誰もが暮らしやすい社会を実現して行くために、全日本ろうあ連盟より、以下の意見を提出します。

1.年金生活者や就労継続施設などの利用者の負担が増えることのない施策を推進してください。
 消費税がもつ逆進性が貧困と格差の拡大を招いていることは明らかで、所得の少ない人ほど増税が重くのしかかっています。生計費については非課税となるような施策を実現してください。
<説明>
 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスには、一般企業等での就労が困難な障害者に、就労する機会とともに、知識および能力の向上のために必要な訓練等を提供する「就労継続支援」事業があり、雇用を原則とするA型事業と雇用関係がないB型事業から構成されます。A型事業の場合,利用者は労働者とみなされるため,最低賃金法をはじめとする労働法が適用されますが、最低賃金法第7条で「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」についてはその労働能率に応じ最低賃金を減額できることになっています。また、B型事業の場合,利用者は福祉サービスの対象者であって労働者とみなされず,労働法の適用を受けることが出来ません。
 また、年金についても、長年働き続けていても障害者は一般の方より待遇が低く、低賃金となるために、支払われる年金額も少なくなりがちです。
 以上のことから年金生活者や就労継続施設などの利用者は消費税増税の影響を受けて、生活に困窮する人が増えており、年金生活者支援給付金の支給だけでは困窮を解消できない状況にありますので、根本的な対策、施策の検討を要望します。

2.生活を支える重要な施策となる「聞こえない人の就労保障」を推進してください。
 国の行政機関、地方自治体、民間企業すべてが法定雇用率を達成できるように、またろう者等の雇用を拡大できるように図ってください。
 また、採用後の職場定着支援についても国の行政機関、地方自治体、民間企業の隔てなく採用された障害者が長く働けるような支援体制を構築してください。とりわけ、積極的にろう者等を雇用できるように障害者介助等助成金(手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金)を改善するとともに、より一層の周知、広報に努めてください。
 さらに、障害を持つ人は正社員ではなく、嘱託などの非正規雇用扱いになることが多く、同じ仕事をしていても待遇に違いが出てくることがしばしばあります。同じ業務範囲、内容、時間であれば理由なく非正規雇用とすることのないようにし、正社員登用の可能性を閉じることのないようにしてください。

<説明>
 2018(平成31)年4月発表の障害者の実雇用率は昨年度と比べ、雇用率が上がっていますが、民間企業における実雇用率は2.05%(昨年1.97%)となっており、依然として法定雇用率(2.2%)に達していない状況が続いています。そして、昨年官公庁や地方自治体でも、障害者雇用率の未達成が明らかになり、再発防止と雇用率の引き上げが必要です。
 また、採用されているろう者等の職場での情報アクセスの保障やコミュニケーション・意思疎通の保障や職場環境作りを進め、ろう者等への理解を促進するとともに、民間企業に派遣されているジョブコーチのような支援体制を整備し、長く働ける職場環境の整備が必要です。
 とりわけ、厚生労働省の所管である、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者介助等助成金による「手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金(以下「委嘱助成金」)」の年間助成額の上限や最初のろう者等雇用後10年間のみ適用などの様々な制約の撤廃と一層の拡充および事業所や職業安定所への利用の周知徹底を図ってください。「委嘱助成金」の周知が捗ってこそろう者等雇用の拡大につながり、また労働意欲や職場定着が進みます。企業に対して企業秘密等の理由で手話通訳を断ることのないよう指導し、「委嘱助成金」の拡大につなげるために、全国の利用状況をホームページ等で公表することが望まれます。

3.全国のろう者等が地域格差なく福祉サービスを利用することができるよう、社会福祉施設等の社会資源の整備を図ってください。
 全ての都道府県ならびに政令指定都市で「聴覚障害者情報提供施設」が設置できるよう制度の充実を図ってください。また、全ての障害者サービスや介護保険制度を聴覚障害があっても利用出来るようにしてください。
<説明>
 「聴覚障害者情報提供施設」の整備がまだのところや、出来ていても十分な機能、予算が備わっていないところがあります。
 また、どの障害福祉サービス利用でも意志疎通の面で保障される仕組みが必要ですが、今は予算措置がないという理由で利用できないサービスもあります。障害者差別解消法に基づく環境整備、合理的配慮の提供の義務により、ろう高齢者を含むろう者等また他に障害をもつろう重複障害者が全ての行政サービスを利用できるように利用環境の整備が必要です。
 さらに、介護保険制度で、下記項目の通りろう者等に対する支援、施策が不十分なところがあり、改善が必要とされています。
・特別養護老人ホームへの要介護1・2に該当する方の特例入居制度の継続
・ろう高齢者等が在宅で安全に安心して暮らせるよう、長期入所事業及び短期入所事業における
 「障害者生活支援加算」の引き上げ・適用
・介護保険認定調査において、軽度に判定されがちなろう重複障害者の特性を正確に反映される
 仕組みへの見直し

4.「手話言語法」と「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」を早期に制定してください。
<説明>
 全日本ろうあ連盟では2010年より「手話言語法」、「情報・コミュニケーション法」の早期制定を求めて取り組みを進めております。改正障害者基本法で「手話」が言語のひとつとして認知され、同法を中心に関連施策が進められている点は承知しております。しかし、ろう者の手話言語獲得や手話を使える環境整備を保障する「手話言語法」、ろう者、盲ろう者、視覚障害者等の情報アクセス・コミュニケーションを保障する「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」の双方を制定させ、福祉・医療・雇用・教育・司法等の様々な場面で具体的な施策を行うことで、ろう者等の真の社会参加を推進できるものと考えます。
 特にろう児への手話言語獲得の保障は急務であります。大阪府において手話言語条例を基にしたろう乳幼児の手話言語獲得支援の取り組みを参考に、日本において手話言語法を早急に制定するよう進めてください。また、併せてろう者等をはじめ広く障害者を対象とした「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」の制定を進めてください。

以 上