自民党 ユニバーサル社会推進議員連盟 開催



 11月15日、自民党本部にて「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」が開催され、全日本ろうあ連盟より石橋理事・山根理事が出席しました。出席した各団体から、ユニバーサルな社会構築に向けて行ってほしい取り組みを報告したのち、各担当省からの取り組みの報告がありました。
 連盟からは、公共インフラとしての電話リレーサービスを検討する際、検討段階から当事者意見を反映できる仕組みを作ってほしいこと、選挙時の政見放送において、手話通訳や字幕・要約筆記などの付与を義務化し、きこえない人の参政権を保障してほしいこと、「手話言語法」「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」を早急に制定してほしいことなどを要望しました。(詳細は要望書を参照)

ユニバーサル社会推進議員連盟
連盟からの要望

連本第190537号
2019年11月15日

自由民主党
ユニバーサル社会推進議員連盟
 会 長  石破 茂   様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

要 望 書

 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 聴覚障害者をとりまく環境をユニバーサルなものにしていただきたく、下記の通り要望いたします。

1.電話リレーサービスについて
(1)聴覚障害者も電話ができる電話リレーサービスの公共化は現在、検討が進められていますが、その検討過程において当事者意見を反映できるようにしてください。また公的な電話リレーサービスの事業整備後も当事者意見を反映できる仕組みを作ってください。同時にきこえる方にも電話リレーサービスの周知広報をしてください。

2.「手話言語法」「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」について
(1)「手話言語法」を早急に制定してください。
 ニュージーランドやフィリピン等の諸外国では手話を「言語」として規定し、ろう者が手話言語を獲得することをはじめ、手話言語による情報獲得や教育、ろう児を持つ親への支援等が進んでいます。ろう者が手話言語を用いて、きこえる人と対等に社会参加をしていくためにも、手話を「言語」として規定し、手話言語を獲得し手話で学べるようにするための環境整備と手話言語を研究・普及・保存していくことを保障するための法律「手話言語法」の制定を早急に進めてください。

(2)「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」を早急に制定してください。
 聴覚障害、盲ろう者をはじめ、話すこと、聞くこと、見ること、書くこと、読むこと、認知することに困難がある人達は、情報アクセスとコミュニケーションに制限を受けています。そのため、憲法で保障された権利を行使とするときに必要な情報アクセスとコミュニケーションを保障する制度も、縦割り行政のなかで部分的に保障されている状況が続いており、依然として「制度の谷間」が存在します。
 あらゆる場面における「情報アクセスとコミュニケーション手段の選択」を保障するための法律「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」の制定を、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」の制定を機に、早急に進めてください。

3.市町村長選挙を含むすべての選挙について
(1)聴覚障害者の参政権の保障のために、手話通訳、字幕・要約筆記等を義務付けてください。現在、参議院議員選挙・衆議院議員選挙・都道府県知事選挙の政見放送への「手話通訳や字幕の挿入」は可能になっていますが、すべてに手話通訳・字幕の付与が実現されておらず、義務付けも行われていません。
 さらに市町村長選挙では、候補者の演説会における「手話通訳、要約筆記等の情報保障」については市町村の選挙管理委員会の判断によるもので、義務付けとなっていません。聴覚障害者の参政権を保障するため、すべての政見放送や演説会について手話通訳、要約筆記等の義務付けをしてください。

4.きこえない・きこえにくい乳幼児、子どもの支援について
(1)きこえない・きこえにくい乳幼児、子どもの言語やコミュニケーション方法について考える際、音声言語の獲得の重要性とともに、手話言語の獲得の重要性についても同時に情報提供し、きこえない・きこえにくい乳幼児、子どもが成長してから自分自身で言語が選択できるよう、音声言語・手話言語両方の獲得を支援する体制を整備してください。

(2)文部科学省・厚生労働省が共同で取り組みを進めている「難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト報告」では、各都道府県の中に「地域の難聴児支援の中核機能を果たす機関」を設ける・多領域にまたがる専門家によって構成する協議会を設置する方向性が示されています。この中核機能を担う機関や協議会の中には、きこえない当事者を組み入れ、当事者意見を反映した難聴児支援を行ってください。また、中核機能を担う機関については、全国に設置されている聴覚障害者情報提供施設の活用も視野に入れることを検討してください。

以 上