内閣府特命担当大臣へ 「災害等緊急時における聴覚障害者への情報保障に関する要望書」を提出
2019年11月22日、石野富志三郎理事長と久松三二事務局長が、武田良太 内閣府特命担当大臣(防災)に対し、「災害等緊急時における聴覚障害者への情報保障に関する要望書」を提出しました。
武田大臣は、災害時における緊急記者会見において、テレビやインターネット上で放送される際、放送事業者の都合で手話言語通訳者がカット(フレームアウト)されないよう、すべての放送事業者に働きかけることを約束してくださいました。また、災害時は高齢者と障害者の支援が後回しになりがちである為、個別サポートの仕組み、ノウハウを持った専門家の派遣の継続性を要請しました。近日中に、災害時の障害者等への情報伝達の在り方を検討するワーキンググループが立ち上がる予定とのことです。
連本第190553号
2019年11月22日
内閣府特命担当大臣(防災)
武田 良太 様
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎
災害等緊急時における聴覚障害者への情報保障に関する要望
厚生労働省
1 ろう者、難聴者、中途失聴者(以下、ろう者等)の情報を保障する手話言語通訳者及び要約筆記者(以下、情報保障者)について、全自治体で設置できるよう、設置の拡大・促進する施策を図ってください。
情報保障者は、ろう者等の社会生活にとって無くてはならないものであり、また災害のような非常時は優先的にろう者等に十分な情報を提供できる体制を整えるよう、全自治体に指導してください。
2 被災地における被災者のニーズは災害初動期と復興期では異なります。災害発生後、復興の時期も含め長期的に支援できるよう、被災地に対して十分な情報保障者やろうあ者相談員の設置を行ってください。
被災したろう者等は周囲とのコミュニケーションが円滑に取れず、孤立した状態になることが多くあります。その心のケアや、生活再建のためには情報保障者やろうあ者相談員の設置は不可欠です。
3 現在、災害救助法による被災県以外からの情報保障者やろうあ者相談員等支援者の公的派遣の派遣範囲は、公的機関、避難所の要援護者用窓口、福祉避難所の受付に限定されています。最近の台風、豪雨等の災害時にはライフラインが止まった自宅にとどまり、必要な情報も無く、窓口や避難所に出向くことのできないろう者等の被災者もいます。
法改正も含めて派遣範囲を拡大し、要支援者の個人宅の訪問や聞き取り調査への同行にも適用できる等、派遣の範囲が限定されないようにしてください。
4 災害時にろう者等支援の拠点となる「聴覚障害者情報提供施設」を全ての都道府県・政令指定都市に設置し、福祉避難所の指定などを含めて災害時に即時に対応できるような体制づくりを進めてください。
「聴覚障害者情報提供施設」の役割として、防災への啓発や訓練、災害時の情報発信、避難所等への情報保障者や、ろうあ者支援員等の派遣を担えるように、必要な法整備と予算化を図ってください。
消防庁
5 災害・有事関連情報は防災無線等だけでなく、視覚的にろう者等にも伝わるような各自治体(市町村)で整備してください。
①屋内:防災無線や緊急放送を文字で受信できる機器(文字表示装置付き個別受信機等)の設置やタブレット型端末での受信システムの整備)
②公共施設等:ろう者等へ文字や視覚情報による対応を周知すること
③街頭無線:光や文字で緊急時やその音声情報を視覚的に知らせる装置の整備
(文字表示装置付き屋外拡声子局等)
総務省・地上放送課
6 全ての災害関連テレビ番組に「手話言語」と「字幕」を付与してください。
NHK・民放各局、またキー局だけではなくローカル局(NHK地方局も含む)全てが対象です、被災時はろう者等にとって視覚情報が瞬時に得られるテレビが重要な情報源になります。居住する地域や放送局によって、テレビから得られる「情報格差」が生じないよう、各テレビ局に指針を出す等、必要な施策を講じてください。
7 障害者放送通信機構の「目で聴くテレビ」(アイ・ドラゴンのIPTVを利用した放送)では、災害発生時にろう者等の命や生活を守るために自発的に手話言語通訳者・字幕付きで放送しております。この緊急放送の場合は、手話言語通訳をすぐ手配する、字幕を即付けるなどの対応に費用負担が発生しています。この費用について助成してください。
内閣府
8 役所等の公的機関や災害時の一般避難所における備品のガイドラインに、手話言語・字幕付き放送「目で聴くテレビ」が視聴できる「アイ・ドラゴン」(聴覚障害者専用情報受信装置)を設置してください。また、福祉避難所対象となる全ての施設に「アイ・ドラゴン」を設置し、それに係る設置工事費や受信料等の補助の予算化をしてください。
内閣府・各省庁
9 緊急・定例にかかわらず、首相官邸や各省庁が実施する会見においては、必ず手話言語通訳者を配置してください。会見がテレビやインターネット上で放送される際、放送事業者の都合で手話言語通訳者がカット(フレームアウト)されないよう、発表者のすぐ近くに手話言語通訳者の立ち位置を設定してください。また、放送事業者にも手話言語通訳を付与した状態で放送するよう、働きかけてください。
■ 聴覚障害者災害救援基金 呼びかけチラシ
https://www.jfd.or.jp/info/2019/20190910-saigai-chirashi.pdf
■ 長野県聴覚障害者災害支援対策本部のページ https://www.nagano-choujou.com/
■ 福島県聴覚障害者災害救援本部のページ https://www.normanet.ne.jp/~deaffuku/
■ 災害時・聴覚障害者への支援のためのリーフレット
https://www.jfd.or.jp/info/saigai/p013/p013-leaflet.pdf
<参考>記者会見の様子
※注:本画像は、気象庁内の資料用に撮影したもので、テレビ局の中継映像ではありません。

10月9日 台風第19号の今後の見通し

10月28日 口永良部島の噴火警戒レベル3発表
※ アメリカのフロリダ州リック・スコット知事によるハリケーン「イルマ」の緊急会見風景の動画を紹介します。
https://youtu.be/wGWtTRYSleU