厚生労働省へ2021年度の報酬改定に対する緊急要望書を提出



 きょうされんから出された、2021年度の報酬改定に対する緊急要望書に賛同するとともに、連盟としての独自の要望内容を併せて提出いたしました。

厚生労働大臣 様

2021年度の報酬改定に対する緊急要望書

 厚生労働省は、2018年度から報酬改定検討チームを開催し、2021年度改定にむけた膨大な調査・研究をすすめ、見直し・抑制を含めた改定の検討をすすめています。
 障害福祉の充実には、基本報酬(公的な基本給付)の拡充が不可欠です。障害に伴う必要十分な支援がなければ、他の者との平等な生活は実現できません。にもかかわらず、公費の給付を抑制するために、支援を利用日数や時間で刻み、成果主義や実績主義によって報酬を算定する現在の仕組みは、障害のある人と福祉の現場に、疲弊と利用者間の格差を生じさせています。2018年度の報酬改定による影響は、前述の問題が一気に表面化しました。
 ついては、2021年度の報酬改定にむけて、障害のある人への支援の充実のために、基本報酬や加算制度の拡充に関して、「2021年度の報酬改定に対する緊急要望」を別紙の通り提出いたします。

団体・法人・
事業所名   一般財団法人 全日本ろうあ連盟

住所     東京都新宿区山吹町130 SKビル8階

代表者    理事長 石野富志三郎

<現在の報酬制度の問題点や要望についてご記入ください(自由筆記)>

①手話言語のできる福祉人材の処遇を充実させてほしい

理由:手話言語などで意思疎通支援できる福祉人材は貴重です。 その専門性の理解し、意思疎通支援に係わる単位加算をしていただけますよう、お願いします。

②手話言語のできる福祉人材については
 サービス提供先から次の提供先への移動時間も含め加算対象にしてほしい

理由:聴覚障害者に特化した支援事業を行う事業の場合、手話言語等のコミュニケーション手段を持つ福祉人材でサービスを提供しているため、代替できる事業所がなく、派遣が市町村単位ではなく県全域になっている現状があります。
そのような事業所に対しては、移動時間も含め加算し支給していただけますよう、お願いいたします。

③障害児の行動や移動支援についても報酬対象としてほしい

理由:聴覚障害が利用対象者になっている自治体となっていない自治体があり、地域格差が生じています。耳が聞こえない・聞こえにくい児童は、移動する際の情報アクセスが困難なので、必要な情報の提供や移動の援護が必要です。
一律に報酬対象にしていただけますよう、お願いいたします。

【取り扱い団体】 きょうされん 〒164-0011東京都中野区中央5-41-18 東京都生協連会館4F
TEL 03-5385-2223 FAX 03-5385-2299 E-mail zenkoku@kyosaren.or.jp


― 2021年度の報酬改定に対する緊急要望 ―

  • ●日中活動・就労支援について
    • ○生活介護事業における社会参加や作業活動の保障を引き続き評価し、現在の報酬水準を引き上げてください。
    • ○就労継続支援事業B型の報酬は、障害の重い人たちへの支援を困難にした平均工賃による報酬基準を廃止し、定額基準としその水準を引上げてください。
    • ○就労継続支援事業A型の報酬は、平均労働時間を基準とする仕組みを廃止し、定額基準としてください。
    • ○就労移行支援事業の報酬は、前年度6か月間の就労定着を評価する実績主義を廃止し、定額基準としその水準を引き上げてください。
  • ●送迎と食事提供の体制支援について
    • ○自力通所が困難な障害のある人の通所保障や、公共交通機関の不足による地方の通所保障のために、送迎加算を恒久化してください。
    • ○障害のある人たちの継続的な栄養摂取や負担軽減のために、食事提供体制加算を恒久化してください。
  • ●居住支援について
    • ○グループホームの夜間支援を充実させるとともに、日中の支援に対応できるように、基本報酬基準を引き上げてください。
    • ○2021年3月まで経過措置が延長された介護サービス包括型におけるホームヘルパー利用を恒久化してください。
    • ○施設入所支援事業(夜間支援)の基本報酬を引き上げ、夜間の支援体制を改善してください。
  • ●相談支援について
    • ○地域で暮らす障害のある人の様々な相談をワンストップで受け止めている基幹相談支援、委託相談支援事業を市町村事業とせずに国の責任で行なってください。
    • ○計画相談支援の報酬水準を引き上げ、充分な人員を確保できるようにしてください。
  • ●訪問支援について
    • ○重度訪問介護事業の対象の拡大等、支援の質量の拡充のために報酬基準を引き上げるとともに、通学・通勤、就学・就業時の利用を可能にしてください。
    • ○24時間の生活保障を念頭にした居宅支援・介護保障制度に拡充してください。
    • ○介護保険対象者が障害福祉の重度訪問介護、行動援護などを利用する際の国庫補助基準減額の仕組みを廃止してください。
    • ○居宅介護の業務内容に、家事援助を正当に位置づけ、現行の低い報酬単価を見直し、充実してください。
  • ●児童支援について
    • ○放課後等デイサービスの利用児童に対する「指標判定」とそれに伴う報酬区分を廃止するとともに、障害のある子どもを主体に、その発達と生活を安定して支えている支援事業所が正当に評価される制度にしてください。
  • ●地域活動支援や移動支援について
    • ○地域活動支援センターへの国庫補助金を引き上げるとともに、市町村の責任をもっと明確にしてください。
    • ○移動支援における市町村の大幅な格差をなくし、全国どこに住んでいても同等の支援が得られるよう自立支援給付に位置づけるとともに、通学・通勤でも利用できるようにしてください。
  • ●福祉・介護職員等の賃金改善について
    • ○2019年10月実施の福祉・介護職員等特定処遇改善加算は、経験年数と資格取得によって賃金改善額に格差を設けることが決められていますが、これは職場に混乱と分断を招くとともに、若年の支援者の確保につながりません。障害福祉現場の意見を十分に聴取するとともに、これらを踏まえ、福祉・介護職員等が安心して働き続けられる新たな仕組みを構築してください。