総務省へ聴覚障害者放送視聴支援緊急対策事業について要望書を提出



聴覚障害者放送視聴支援緊急対策事業にかかる要望について、総務省へ下記要望書を提出いたしました。

連本第190282号
2019年7月30日

総務大臣 石田 真敏 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8階
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

「聴覚障害者放送視聴支援緊急対策事業」にかかる要望

 日頃より障害者の情報アクセシビリティの向上について、多大なご配慮を賜り、心より感謝申し上げます。
 平成30年度第二次補正予算による「聴覚障害者放送視聴支援緊急対策事業」では、「放送番組用音声認識システムによる自動字幕表示システム」の実証実験が行われており、緊急時を含め「字幕付与の機会の拡充とあらゆる視聴者の情報アクセスの機会の確保」を目指していると理解しております。しかし、この事業は「字幕付与」が対象であり「手話言語」が対象となっておりません。
 ご承知の通り、聞こえない人の中には「日本語の文字情報(字幕)」を必要としている人や「手話言語」を日常的に使用している人がいます。聞こえない人すべてに、放送に「日本語の文字」と「手話言語」を提供し、放送しているあらゆる情報を理解できるようにしなければなりません。「手話言語」による実証実験が行われないことは、手話言語を必要とする聞こえない人にとって、情報アクセスの機会が著しく制限され、大きな不利益となります。
 2018年4月に公表された「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」では、字幕付与だけではなく手話放送の数値目標も定められていますが、現在の状況を見ると、地方局だけではなくキー局も目標値には届かず、数値目標達成の見通しは厳しい状況です。このような状況を打破するため、より目標達成の及ばない情報アクセシビリティについて国が率先して取り組み、手話放送拡充のための推進事業を展開すべきと考えます。
 かつて、アナログテレビに字幕デコーダーをつないで字幕を視聴していた時代がありましたが、今では全てのテレビに字幕装置が内蔵され、字幕のON/OFF操作が可能となりました。現行の規格では、放送局は手話言語のON/OFF操作を行うことができませんが、ITU-Tの国際標準規格に準拠した装置(注)であればそれが可能となります。それらを実証するために事業での検証が必要です。
 以上をふまえ、「手話言語の実証実験」も追加していただくよう下記の通り強く要望します。

1.すべてのキー局、地方局、BS放送に対し、字幕付与とともに手話言語を付与した実験(現行の実験を含む)を行ってください。
(注)
 ITU-Tの国際標準規格に準拠した装置について、わが国では認定NPO法人障害者放送通信機構が開発した「アイドラゴン4」がその例となります。

以  上