2019年5月10日宮崎沖地震:気象庁、NHK、民放連へ聴覚障害者への情報保障について要望を提出



 2019年5月10日(金)午前8時48分頃、宮崎県沖日向灘を震源とする最大震度5弱の地震が発生しました。この報道に関して、気象庁、NHK、民放連へ、聴覚障害者への情報保障に関する要望を提出しました。

【2019/05/17追記】NHKより回答を頂きました。

連本第190081号
2019年5月10日

気象庁長官
  関田 康雄 様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

宮崎県沖日向灘を震源とする地震に関する
聴覚障害者への情報保障について(要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報提供等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、貴庁より、令和元年5月10日午前8時48分頃に宮崎県沖の日向灘で発生した最大震度5弱の地震について、緊急記者会見が行われました。当連盟を含めた関係団体が長年要望してきた手話通訳の付与が初めて行われ、感謝いたします。手話を必要とする聴覚障害者が正しい情報を入手し、命を守り安全に過ごすための貴重な一助となり、また、貴庁が公共機関としての使命を果たす一歩ともなったと思います。
 災害が発生した地域は、現状も余震等予断を許さないところです。今後の報道等も含め、貴庁にはさらなる使命を果たしていただきたく、私たちは下記の通り要望いたします。
 なお本件につきましては、これまでも要望、意見交換をさせていただいておりますが、今回の件をふまえ、貴庁のお考えをご回答いただきたくお願いいたします。

  1. 地震、特別警報をはじめとした気象庁が行う記者会見、報道発表においては、常に「手話通訳」を付与した報道等ができるよう、体制及び予算措置を講じてください。

<説明>
 今回行われた地震津波監視課長の記者会見では、課長の隣に手話通訳者が立ち、会見内容を手話でも国民に伝えることができました。しかしこの手話通訳の付与は、午前9時~午後6時の緊急記者会見時のみとなっています。
 貴庁より、梅雨の時期までには緊急記者会見において24時間体制での試行実施を目指す旨ご説明を頂いております。しかしながら、災害はいつ発生するかわかりません。非常時・災害時にはテレビ等で報道される気象庁の記者会見が正確かつ重要な情報源になり、国民の命を救うことになります。
 手話を必要とする聴覚障害者のため、貴庁の記者会見(定例会見を含む)、報道発表においては、必ず手話通訳をつけて会見・発表し、それをきちんとテレビ報道等されるよう、放送事業者ともご検討いただき、伴う予算を確保くださいますよう、お願いいたします。

以 上

連本第190082号
2019年5月10日

日本放送協会
  会長 上田 良一 様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

宮崎県沖日向灘を震源とする地震に関する
聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、令和元年5月10日午前8時48分頃に宮崎県沖の日向灘で発生した最大震度5弱の地震に関して、発災時の報道より「手話」による放送がなされておらず、手話での情報が必要な聴覚障害者は正しい情報を入手できておりません。
 手話が付かないキー局等の情報は、聴覚障害者にとっては正しい情報を迅速に得ることになりません。多くの聴覚障害者がきこえる人と同様・同時に正しい情報を入手し、命を守り安全に過ごせるよう、「手話」や「手話通訳」付きの放送(以下、手話放送)が必要です。
 聴覚障害者は非常時にリアルタイムに情報が得られないことにより対応が遅れ、命を失う危険にいつも直面しております。災害時には被災地における住民、そして被災地を見守る国民にとって、公共放送の情報はもっとも大切な情報源になります。
 字幕放送及び文字スーパーを多用するなど工夫をいただいてはおります。今回、気象庁の記者会見に初めて手話通訳が付き、この様子をインターネットでライブ配信されていましたが、残念ながら地上波では生中継されず、これらを含めても「手話放送」につきましては依然として進展が見られず残念でなりません。
 当連盟は、これまでに災害が起こるたびに字幕と手話の付与をお願いしてきました。現状も余震等予断を許さないところです。貴協会が公共放送としての使命と掲げる『「人にやさしい」放送・サービスの充実』を十分に果たされるよう、下記の通り強く要望します。
 なお本件につきましては、これまでも要望をさせていただいておりますが、貴協会のお考えを5月17日までにご回答いただきたくお願いいたします。

  1. 特別警報をはじめとした緊急災害放送には、ローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳と字幕」を必ず付与してください。また、手話通訳がつく記者会見は必ず手話通訳が見切れることのないように報道して下さい。

 <説明>

  • 放送法第7条(日本放送協会定款第3条)には「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、且つ、良い放送番組による国内放送を行い・・・」とあります。
    「公共の福祉のために、あまねく」と貴協会が謳われているように、「公共放送」ということを強く認識いただき、「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう、速やかに対応してください。
  • さまざまな記者会見において手話通訳者が配置されている際には、テレビ放送、インターネット配信時に視聴者が話者と手話通訳者を同時に見ることができるよう、撮影時に配慮をしてください。

※参考
 アメリカのフロリダ州リック・スコット知事によるハリケーン「イルマ」の緊急会見風景の動画を2点紹介します。
     https://youtu.be/wGWtTRYSleU
     https://youtu.be/mQG7KFflYqg

緊急会見風景 緊急会見風景

以 上

連本第190083号
2019年5月10日

一般社団法人 日本民間放送連盟
 会長 大久保好男様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

宮崎県沖日向灘を震源とする地震に関する
聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、令和元年5月10日午前8時48分頃に宮崎県沖の日向灘で発生した最大震度5弱の地震に関して、発災時の報道より「手話」による放送がなされておらず、手話での情報が必要な聴覚障害者は正しい情報を入手できておりません。
 手話や字幕が付かないテレビ局の情報は、聴覚障害者にとっては正しい情報を迅速に得ることになりません。多くの聴覚障害者がきこえる人と同様、同時に正しい情報を入手し、命を守り安全に過ごせるよう、「手話」や「手話通訳」付きの放送(以下、手話放送)が必要です。
 聴覚障害者は非常時にリアルタイムに情報が得られないことにより対応が遅れ、命を失う危険にいつも直面しております。災害時には被災地における住民、そして被災地を見守る国民にとって、公共放送の情報はもっとも大切な情報源になります。
 今回字幕放送につきましては、キー局は生字幕放送対応中の時間帯でもあり、必然的に字幕放送となったテレビ局もありましたが、いまだ午前中は字幕放送のないキー局もあります。また、気象庁の記者会見に初めて手話通訳が付き、この様子をインターネットのライブ配信したテレビ局もありましたが、残念ながら地上波放送したキー局はなく、これらをふまえても「手話放送」につきましては改善されておらず残念でなりません。
 当連盟は、これまでに災害が起こるたびに字幕と手話の付与をお願いしてきました。現状も余震等予断を許さないところですので、基幹放送(民放)事業者各位が放送事業者としての使命を果たされるよう下記の通り強く要望します。
 なお本件につきましては、これまでも要望をさせていただいておりますが、貴連盟のお考えを5月17日までにご回答いただきたくお願いいたします。

  1. 特別警報をはじめとした緊急災害放送には、ローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳と字幕」の付与を行ってください。また、手話通訳がつく記者会見は必ず手話通訳が見切れることのないように報道して下さい。

 <説明>

  • 緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して「手話放送」を実施して下さい。
  • 基幹放送(民放)事業者各位におかれましては、放送免許の更新にあたり、「基幹放送局の再免許等に当たっての要請」を総務省から受けとっており、その「要請項目5」では、「字幕放送、解説放送及び手話放送について、視聴覚障害者、高齢者に十分配慮し、総務省が策定した「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を達成するよう努めること。特にできる限り全ての大規模災害等緊急時放送における字幕放送の実施及びCMへの字幕付与の普及に留意すること。」とされています。
     いうまでもなく、放送には「公共性」が問われます。この「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう速やかに対応してください。
  • さまざまな記者会見において手話通訳者が配置されている際には、テレビ放送、インターネット配信時に視聴者が話者と手話通訳者を同時に見ることができるよう、撮影時に配慮をしてください。

※参考
 アメリカのフロリダ州リック・スコット知事によるハリケーン「イルマ」の緊急会見風景の動画を2点紹介します。
     https://youtu.be/wGWtTRYSleU
     https://youtu.be/mQG7KFflYqg

緊急会見風景 緊急会見風景

以 上