ろう児の言語権に関するWFDの方針説明書(全日本ろうあ連盟試訳)
※ 全日本ろうあ連盟による試訳です。試訳をPDFでダウンロード
※ 原文は世界ろう連盟公式サイトに掲載されています。
※ 2016年9月7日、WFD理事会にて承認されました。
WORLD FEDERATION OF THE DEAF
An International Non-Governmental Organisation in official liaison with ECOSOC, UNESCO, ILO,
WHO and the Council of Europe. WFD was established in Rome in 1951. PO Box 65, 00401
Helsinki, FINLAND www.wfdeaf.org
ろう児の言語権に関するWFDの方針説明書 (試訳:全日本ろうあ連盟)
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1. 要点 (国際手話はこちらをクリック)
- 国際連合障害者の権利に関する条約(UN CRPD)では、手話言語が、音声言語と対等の立場であり、尊重および推進されるべきであることを認めている。
- ろう児は自分たちの文化的及び言語的アイデンティティを十分に発展させる権利を有する (国連障害者権利条約第30条)
- 歴史的にみて、ろう児は、手話言語による質の高い教育を拒否される等、質の高い教育を妨げる数多くの障壁に直面し、結果として、自分たちの権利が否定されていた。
- 自国の手話言語と自国の書記言語による質の高い教育は、ろう児およびろうの成人学習者の教育の充実と人権拡大のために重要な要因の一つである。
- 調査研究が報告するところによれば、多言語(すなわち、手話言語と書記/音声言語)による質の高い教育を受けたろう児は、学業的に成功して活動的な市民や一人前の社会人に成長する可能性が最も高い。
- 早期のうちに手話言語と多言語使用に接触することは、家族の手話言語への力強い支持と併用することで、ろう児が将来、社会に効果的参加するための最善の準備となる。
- 調査研究によれば、手話言語との接触は、話し言葉の習得や言語学習の妨げにならない。
- 専門家たちは、脳の発達や認知プロセス、および長期的な社会・学業的成果を最大限発揮するために、すべてのろう児が生後直ちに手話言語で教えられることを推奨している。
- ろう児は、技術機器の使用に関係なく、母語の手話言語による教育への完全なアクセスを有しなければならない。
- 各国の政府はろうコミュニティやろうの手話言語教師と協力して、ろう児の家族や保護者を対象に手話言語を教えるための支援プログラムを実施しなければならない。
- 障害者権利条約第30条に従い、教育環境は、ろう児が文化的及び言語的アイデンティティを十分に発展させる権利を行使できるものでなければならない。これは、ろう児の人格、自尊心、回復力の発達に絶対必要である。
- 国連障害者権利条約は、ろう児の教育において手話言語を奨励し促進するよう肯定的かつ積極的に取り組むアプローチを採っており、第24条 の解釈によって、ろう児が学業的に向上し成果をあげることができる教育の選択を推進する必要がある。
- すべての教育段階で、自国(もしくは生来の)手話言語が自国の音声言語と対等であると認めなければならない。
- ろう児にとっての最高の教育環境とは、ろう児の文化的及び言語的アイデンティティを助長・尊重するとともにろう児の経験と選択の多様性も尊重し、ろう児の言語的、学業的、社会的、および長期にわたる経済的成果を最大限発揮できる多言語的環境のことである。
2. 序論 (国際手話はこちらをクリック)
世界ろう連盟(WFD)は、世界中のろう者の人権を推進する国際的非政府組織である。盲ろう者や重複障害のろう者も含めて、ろう者が、母語である生来の手話言語で教育を受けるための権利の推進に取り組むことが私たちの重要な業務である。手話言語による自然な言語獲得の必要性は、すべてのろう者にとって非常に重要なことである。
国連障害者権利条約(UN CRPD)は、手話言語の重要性を認めてその使用を促進することを各国政府に委ねている 。国連障害者権利条約は、他の者との平等を基礎として、その独自の文化的及び言語的アイデンティの承認および支持を受ける権利をろう者に与えている。教育環境を含む文化的及び歴史的アイデンティティの発達を認められることがろう児の大事な権利である。
国連障害者権利条約は、ろう者を含むすべての障害者が、機会均等に基づき差別されることなく教育を受ける権利を認めることを政府に要請している。この条約は、ろう者を含めた生涯教育を提供する必要性を認め、次のことを促している:
- 人間の潜在能力並びに尊厳及び自己の価値についての意識を十分に発達させ、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。
- 障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
- 障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること。
しかし、世界的に見て、ろう児が教育を受ける際に様々な障壁に直面することは多くの文書に記されている。学校が存在しても、途上国では多くの家族がろう児を学校に通わせるだけの経済的ゆとりがない。ろう児を受け入れる学校がない場合もある。あるいはまた、子どもを学校に送るための交通手段がない場合もある。
ろう児が教育にアクセスできる場合でさえ、自然な言語によるインプットがない等のさまざまな障壁のために、多くの場合、到達できた教育レベルが低く、非識字である(読み書きができない)ことも珍しくない。手話言語による教育が提供されていないと、事態が悪化することもよくある。このような教育における手話言語への反感には、過去に世界の多くの国で手話言語が禁止されていたという遺憾な歴史がある。今日においてさえ、場合によっては、手話言語が事実上禁止(つまり、積極的に勧められないかあるいは過小評価)されているところも数か国ある。このような禁止には調査研究による根拠がなく、実のところ、調査研究が示すところに相反している。
ろう児のための効果的な教育を実現する際の障壁としては、他に、熟練した教師(ロールモデルとしてのろう教師を含む)の不足、手話言語に堪能な教師の不足、ろう生徒の効果的学習に貢献する学習環境や教授法の欠乏等がある。バイリンガルもしくは多言語教育それ自体が、教育成果を保証しているのではなく、質の高い教育でなければならない。さらに、多くのろう児は手話言語のスキルを持たない聞こえる親の元に生まれている。ろう児の家族が手話言語を学ぶための包括的な政策や計画的支援がないことも障壁となっている。生徒の大多数が聞こえる学校は、自分の目標達成や堅固な言語的及び文化的アイデンティティを獲得するために必要な支援的かつインクルーシブな手話環境が欠けるという点で、ろう生徒には障壁となる可能性がある。
自国(あるいはまた生来)の手話言語および自国の書記言語による質の高い教育が、ろう児と成人学習者の教育の充実と人権拡大のための重要な要因の一つである。 他の要因としては、手話言語 の認知と推進、専門的手話通訳 があり、これらを通して社会・経済・文化・市民・政治などあらゆる生活領域へのアクセシビリティが促進される。これらはすべて互いに連結し、手話言語による質の高い教育を必要としている。
民族的または種族的、宗教的及び言語的少数者に属する者の権利に関する宣言第4(3)条は、少数派に属する者が可能な限り、自分たちの母語を学んだり教えたりできる十分な機会がもてるよう適切な措置をとることを国家に要求している。ろう者は言語的少数派であり、手話言語が該当する。
手話言語による教育がなければ、社会・学業・心理の面で、ろう児が自立し大勢の聞こえる人たちと同等の仕事や社会的特権を獲得するための能力に弊害をもたらす。
WFDは、技術機器の使用に関係なく、母語の手話言語による質の高い教育への完全なアクセスをろう児が持つことの必要性を繰り返し主張している。これは、ろう児が人間としての潜在能力を十分に発揮するためには視覚的な言語アクセスをもつことが非常に重要であることを示す、言語獲得や言語発達に関する優れた実施例や研究結果に合致する。
政策や計画の決定事項は、必ずしっかりした調査研究などの証拠によって裏付ける必要がある。政府その他の関係者が調査研究上の証拠に基づいて決定が行えるよう、WFDはろう児の言語獲得に関する調査研究や多言語/バイリンガル教育に関する研究結果を以下に解説する。
この調査研究の重みは、ろう児の教育発達において母語の手話言語へのアクセスをもたせることの必要性を圧倒的に支持している。WFDは、ろう者も聞こえる人と同様に、複数の言語を学ぶ機会が与えられるべき多言語的人間として認識する。
言語権や手話言語獲得に関する調査研究の報告は、技術とは無関係であり、それ自体が普遍的な適用可能性をもち、世界中のろう教育に適用することが可能である。ろう児の言語獲得、多言語使用、多言語教育に関する調査研究の文献より抜き出した主な報告を以下に記載する。
3. 言語獲得に関する調査研究
ろう児の言語獲得 (国際手話はこちらをクリック)
すべての子どもたちにとって、全般的な認識や心理社会的健康のためには第一言語の確固たる基盤が必要である。手話言語は、ろう児が何の妨げもなしにアクセスし、他の補助や支援もなしに使用することが可能な唯一の言語である。言語へのアクセス遅延は、子どもの言語発達に深刻な悪影響を与えうる(Mayberry 1993, Boudreault 1999)。ろう児は、ろうや聴覚損失の発見が遅れたり(Apuzzo & Yoshinaga-Itano 1995, Moeller 2000, Yoshinag、a-Itano et al. 1998, Calderon & Naidu 2000, Snyder & Yoshinaga-Itano 1998, Calderon 2000, Yoshinaga-Itano 2003)、早期介入における手話言語プログラムの包括的なサポートがない(Snoddon, 2008)ため、言語獲得の体験が遅れてしまうというハイリスクを抱えている。早期の内から手話言語に接触したろう児と、音声言語のみで育ち後期になって手話言語に接触した人たちを比較した調査研究では、手話言語獲得の年齢の遅延が当該言語の流暢さに深刻な悪影響を及ぼすことが報告された(Mayberry & Fischer 1989, Newport 1990, Mayberry & Eichen 1991)。手話スキルが妨げられるだけでなく、音声言語の学習においても、手話に接触したのが遅かった人たちは早期に接触した手話話者よりも流暢さに欠けていた(Mayberry & Lock 2003, Mayberry 2007)。このように、調査研究の結果は、手話言語の早期獲得が言語の全体的な発達に不可欠であり、それによって、音声言語・書記言語におけるろう児の能力がサポートされることを明らかにしている。
手話言語へのアクセスの重要性は、ろう児の言語スキルの発達をはるかに上回る。すべての子どもたちは、全般的な認識や心理社会的健康のために、第一言語の堅固な基盤が必要である。調査研究によれば、理想的には3歳より前、遅くとも5歳より前の早い時期にアクセシブルな言語の基盤を固めなければならない。このような基盤がないことによる脳への影響は、Humphries 等 (2014)が論述し、言語記憶組織(Rönnberg 2003)、基本的な計算力や読み書きの熟達度(MacSweeney 1998)、実行機能や心の理論などの高次元認知処理(Courtin 2000, 2010, Courtin & Melot 2005, Morgan & Kegl 2006, Schick et al. 2007, Courtin et al. 2008, Figueras et al. 2008, Marschark & Hauser 2008, Remmel & Peters 2009; Humphries et al. 2014)などに問題があることも示された。これらの証拠を前提に、最近の専門家委員会は、ろう児はすべて、生後直ちに手話言語を教えられるべきあると結論した。 (Napoli et al. 2015)
手話言語によって、ろう児は聞える仲間と対等に言語を発達させることができる。過去数十年にわたる調査研究の結果、(子どもがろうか聞こえるかに関係なく)一つの手話言語に十分長く接触した場合の言語・認知の発達は、聞こえる子どもが音声言語に接触する場合のパターンや発達結果と同様であることが示された (Courtin 2000, Mayberry et al. 2011, Woolfe et al. 2002)。ろう児の場合は、早期介入が非常に大切であり、親や保護者が手話言語によるコミュニケーションに積極的に参加することが要請される。ろう児が手話言語活動に関わるためには、質の高いコミュニケーション・パートナーへの信頼できるアクセスが必要である。調査研究によれば、親が手話言語を学ぶことで、ろう児の手話言語による伝達能力が同時に発達できる(Oyserman & de Geus 2015)。若年での手話言語への一貫した接触は有益である(Singleton & Newport 2004)。
WFDは、政府がろうコミュニティとろうの手話言語教師と協力して、ろう児の家族や保護者に手話言語を教えるための支援プログラムを実施するよう強く勧告する。この支援が、親の経済的負担になるようなことがあってはならない。有給の業務免除時間を使って親や保護者が手話言語教室へ通う場合もあるし、家族に費用負担させてはならない。このような支援は、国連子どもの権利条約 に沿ったものであり、国連子どもの権利条約では、締約国が、家族内でろう児とのコミュニケーションを強化するために手話言語を学ぶ機会を提供することの保証も含め、育児の責任を果たす親[および法的保護者]への適切な援助とサポートを義務として提供することを締約国に勧告している。
多言語使用のメリット (国際手話はこちらをクリック)
幼児が複数の言語に接触すると混乱し言語と認知に遅延をもたらすのではと心配する親もいるが、これは誤解に過ぎない。調査研究によると、第一言語が流暢であれば、第二言語も流暢さの獲得を妨げるどころかむしろ助けになることが示された(Scheele et al. 2010)。手話言語と音声言語を学ぶ子どもの場合、手話言語の使用がスピーチも学ぼうとする子どもたちの意欲のマイナスとなることはない(Swanwick 2001)。手話言語の獲得が音声言語の獲得を妨げるというのは迷信である。米国(Davidson et al. 2014)、オランダ(Giezen 2011, Giezen et al. 2014)、イラン(Hassanzadeh 2012)、ブラジル(Quadros et al. 2012)、イタリア(Rinaldi & Caselli 2009, 2014)、ベルギー(Mouvet 2013)など最新の調査研究はすべて、人工内耳装用のろう児は、手話言語に接触する間にも音声言語が問題なく発達したことを報告している。Jiminez 等 (2009)の片耳人工内耳装用のろう児のスピーチ発達の比較調査によると、バイリンガルの子どもたちは、手話言語を知らない子どもたちよりも言語表現が豊かだったことが明らかになっている。Preisler, Tvingstedt and Ahlstrom (2002)の長期的調査研究でも、優れた音声言語スキルをもつろう児は、手話言語スキルも優れていることが判明した。さらに、子どもたちのコミュニケーション発達は、手話言語の使用によって良い方向に影響され、親や仲間との相互交流に好ましい質的効果をもたらしている(Hyde 2007)。
これらは、音声言語を学んでいる間に手話言語に接触しても、音声言語の発達は妨げられないことを立証する。残念ながらろう児の家族の多くはこの情報を得られていない。その結果、言語喪失の危険がある教育環境の中にろう児が入れられてしまう。訓練の量や機器の多少に関わらず、スピーチの成果は、世界中のろう者の成功を測る信頼できる方法ではない。特に、スピーチ・セラピーあるいは技術的なリソースを得られない人はそうである。スピーチを知能と同一視することで、子どもの社会情緒的・学業的発達を遅らせている。音声・手話のどちらでも、言語は、読解力の成功を予測する判断材料となる(Mayberry et al., 2010)。両方の様式(モーダリティ)は、認知力の成長を助長する。ただし、ろう児が視覚優先の生物学的な傾向を持っていることに鑑みれば(Hauser et al., 2010)、ろう児の社会情緒的な健全育成のためには手話言語がもっともアクセシブルな手段である。音声言語の入力には個人差があるが、手話言語は音声言語の基礎を支える表出と理解のスキルの強力な基盤を保証する。
実際、カナダ・ケベック州での調査によると、ケベック手話言語(LSQ)とフランス語を獲得したろう児は、一言語のみを獲得している子どもや英語とフランス語を獲得している子どもと同じペースで言語発達の早期目標値を達成している。2つの言語でコミュニケーションする能力は、混乱を招くどころか、ろう児が両方の言語でうまくコミュニケーションするのを助けるのである。なぜなら、子どもの新しい単語を学び文法意識を発達させる能力は、語彙量もしくは既知の単語数と深い相関性をもつ(Lederberg & Spencer 2009, Sebastián-Gallés & Bosch 2009, Lee 2011)。手話言語を学ぶことは、自分の周りにある音声言語と書記言語を学ぶろう児の能力を増進するのである。
手話言語を使うろう児の認知に関する効果 2つの言語を認知的処理することで、バイリンガルの子どもは、一言語だけの子どもよりも、早期のメタ言語意識等、多くの言語的効果(Galambos & Goldin-Meadow 1990, Bialystock 1988)とすぐれた音韻的意識を経験する。これは読解力の発達を直接的に促進する(Schwartz et al. 2008)。また、注意力の向上や抑制制御のような非言語効果 (Bialystock & Feng 2009)、優れた葛藤解決(Costa et al. 2008)、優れたワーキングメモリー(Engle 2002)、強力な空間認知、特に知的回転作業(Emmorey 2002)等を経験する。ろう児にとって、手話言語と音声/書記言語のバイリンガルであることは、双方の言語の発達を相互に促進し、双方の言語における学業的達成につながる(Hoffmeister 2000, 2005)。このことを念頭に置くと、バイリンガル能力を促進することはろう児にとって最も有用である。バイリンガルであれば、ろう児は、視覚的言語へ十分にアクセスでき、学び合いや交流のために人々へ最大限アクセスし、様々な状況でコミュケーションを選ぶ方法を自由自在に決められるようになる。
手話言語への十分なアクセスは、ろう児のメンタルヘルスと発達に好影響を与えうる。 Dammeyer (2010)の研究では、ろう児の心理社会的発達が観察された。聴力損失の子どもたちの心理社会的困難さは比較対象の聞こえる子どもたちのグループの3.7倍だったが、手話・音声のどちらでも優れた言語スキルがあれば、歴然とした心理社会的困難はないことが判明した。
多言語教育(国際手話はこちらをクリック)
ろう児の教育では、完全な言語理解と表現を念頭に置く必要がある。学習を促進できる代わりの方法はない。教育は、バイリンガル環境、理想的にはすべてのディスカッションと書かれた文章の読解を手話言語で行うのが最善であることを調査研究は報告している(Grosjean 2010, Hoffmeister 1990, Snoddon 2014)。手話言語と音声言語の両方における社会的・学業的熟達はバイリンガル環境を通して発達する。手話を用いるろう児は、回答形式の自由な質問に答えることができ、イベントを計画したり感情を伝えたりするために言語が使え、こうして学業の準備ができる。
多言語教育の基本的特徴は、完全な自然の手話言語に早期アクセスし頻繁に接触することである。こうして、第一言語による言語獲得プロセスが始まり多言語使用の可能性が生まれる (Grosjean 2008, Johnson et al. 1989).優れた第一言語スキルをもつろう児は学業的にも優位であること、手話がうまいろう児は、他の要因に関係なく、手話を使用しないろう児よりも学業が優れていること、これは、手話を使うろう児に言語的不利が見られないという事実に帰することを、有り余る多くの調査研究が報告している (Freel et al. 2011)。この事実は、アメリカ手話言語(ASL)と英語(Padden & Ramsey 2000, Strong & Prinz 2000, Hermans et al. 2008, Chamberlain & Mayberry 2008, Mayberry et al. 2011, Clark et al. 2014)、英国手話言語(BSL)と英語(Cormier et al. 2012)、ケベック手話言語とフランス語(Dubuisson et al. 2008)、ドイツ手話言語とドイツ語(Mann 2007)、チリ手話言語とスペイン語(Alvarado et al. 2008)、オーストラリア手話言語と英語(Trezek et al. 2010)、イスラエル手話言語とヘブライ語(Miller 2013)、アムハラ手話言語と書記アムハラ語および英語(Ludago 2014)、香港手話言語と音声広東語および書記中国語(Tang et al. 2014)等、数多くの手話言語と音声言語の組み合わせにおいて再現されている。
すぐれた第一言語スキルは、学業的成功のための最善の準備になる。 聞こえる子どもの学業的成功は様々な要因に依存する。多くは、偶発的な学びであり、母語話者による会話を耳にすることや、(大人と子どもが一緒に本を読む)共同の頻繁な読書活動など、言語モデルに接することで起きる。後者の活動は、後になって学業的成功に深く結び付く。それは、アルファベットを教えたからとか他の教育的活動があったからではなく、本を共有している間に、豊かな言語のやり取りがあるからであり、特に、大人と子どもの双方がこのやり取りを楽しみ、自由に回答できるような質問をなげかけることで効果的があがる(Erting 2001)。このように、子どもは登場人物、場面設定、話の筋書きなどを理解するようになるが、これはどのような文章を理解するにも重要な鍵である (Anderson et al. 1985, Grabe & Stoller 2013)。手話言語のロールモデルに接したろう児は、同様に手話の会話から、偶発的な学びと、複雑な統語構造や概念表現を学ぶ機会を得る。言語をまねることと、言語ベースの遊び活動によって、子どもの手話言語における対話から学業的成功への移行が促進される。音韻に関する感覚は手話言語を通して発達し、優れたリテラシー(読み書き)スキルに寄与する(Corina et al. 2014, McQuarrie & Abbott 2013)。ASLと英語のバイリンガルろう者が英語の単語を読むときに、頭の中ではASLの単語も呼び起こされる (Morford et al. 2011)。また、手話を使用するろう児が(バイリンガル―バイモーダルの電子ブックや、手話言語による共同読書等の)適切な共同読書活動あるいは手話言語による物語りに接触すると、登場人物や筋書きをよく理解し、共同読書活動に参加した聞こえる子どもと同じように、文章の内容を理解するようになる(Bahan 2006, Rathmann et al. 2007, Sutton-Spence 2010, Napoli et al. 2015)。
4. 手話バイリンガル教育の裏付けとしての国連障害者権利条約第24条の解釈(国際手話はこちらをクリック)
このWFD方針説明書で紹介した調査研究は、教師や仲間の間での手話言語への完全なアクセスを可能とする環境の中で、ろう児が教育されることの必要性を明確に示している。このことは、国連障害者権利条約(UN CRPD)第24条(教育)で支持されている。この条約は、全世界の障害児すべてが教育を受けるための権利の完全な実現達成に向けて、教育を受ける際の障壁に取り組み乗り越える方法を明記するために策定された。第24条の目的は、(ろうを含む)障害があるすべてのこども(および成人)が、自分のアクセスニーズに見合った教育に参加できるよう拡充することである。
第24条 は、特に次のことを要請している:
- 締約国は、あらゆる段階のインクルーシブ教育制度を確保すること (第24(1)条);
- 締約国は、手話言語の習得とろうコミュニティの言語的アイデンティティの促進を容易にすること (第24(3)(b)条);
- 締約国は、特に、ろう児の教育が、その個人にとって最も適切な言語並びにコミュニケーションの形態及び手段で、かつ学業面及び社会面の発達を最大にする環境で行われることを確保すること (第24(3)(c)条);
- 締約国は、手話について能力を有する教員[すなわち、ろう教師]を雇用し、…すべての段階において教育に従事する専門家および職員に対する研修を行うための適切な措置をとる。この研修には、「適切なコミュニケーションの代替的な形態、手段および様式」、ろう児を支援するための教育技法および教材を組み入れること (第24(4)条)。
第24条の「インクルーシブ」教育の定義を巡って、多くの混乱が起きている。この言葉の意味を、ろう児を含めてすべての子どもが「主流(mainstream)」の教育環境(訳注:つまり、一般校)にいなければならないとして、ろう学校は「分離されて(segregated)」いるので、定義によれば「間違い」であり閉校すべきだと主張する人がいる。この主張は、国連障害者権利条約を策定した経緯から見ても、支持されるものではない。条約制定の経緯を見ると、ろう児(盲ろう児や盲児)の生涯を通じた社会的・文化的・経済的・市民的・政治的参加を容易にする重要な学習スキルを彼らが身に着けるには、同じ障害を持つ子どもと一緒に教育を受ける機会が尊厳をもって、且つ選択的に提供される必要性があることを政府および関係者は理解していたことが分かる。国連CRPDの策定プロセスに関わった関係者(ろう者を代表する市民社会団体を含む)は、ろう児には手話言語環境の中で同じ仲間と一緒に教育を受ける選択が与えられる必要性を認識していた。第24条(3)と第24条(4)は、この子どもたちのグループの特有のニーズを強調しているのである。第24条は、ろう児が一般校への通学を選択した場合に、学校が排除してはならないことを明確にした。しかしながら、第24条をもって、「すべてのろう児のための教育の唯一の様式」として一般校を命令したと読み違えてはならない。
第24条を単独で切り離して解釈はできないことに注目することも大切である。この第24条は、国連障害者権利条約の他の範囲の原則や条項と併せて読むべきである。この条約は締約国に次のことを要請している。
- 手話言語と音声言語の等価性を認知すること (第2条「言語」の定義);
- 手話言語を尊重し促進すること (第21条(e) );
- ろう者の文化的及び言語的アイデンティティを、手話言語とろう文化も含めて認めること(第30条(4) );
- ろう者にとって、その個人の自律および自立(自ら選択する自由を含む。)が重要であることを認めること (前文(n));
- ろう者が、政策及び計画(ろう者に直接関連するものを含む)に係る意思決定のプロセスに積極的に関与する機会を有すべきであることを認めること (前文(o));
- ろう児の発達しつつある能力を尊重し、ろう児がアイデンティティを保持する権利を尊重すること(第3条(h));
- ろう者に関連する問題について、ろう者の代表者と協議すること (第4条(3))。
そういう訳で、第24条をもって、ろう児が上述のすべての権利を享受するための場所としての学校を否定する解釈は、どんなものであっても支持されない。条約のいかなる解釈も、ろう児の学業的潜在能力、尊厳、アイデンティティを認めて、人間としての十分に能力を伸ばせるよう、証拠に基づいた意思決定が可能な余地を残すべきである。この解釈の中核をなすのは、教授言語としてもっぱら手話言語で教える学校に在学するという選択を含む、選択そのものなのである。
5. 結論(国際手話はこちらをクリック)
ろう児の教育上の選択に関する意思決定は、証拠およびしっかりした調査研究に基づくことが非常に大切である。ろう児の学業的・社会的発達と、今後の社会への効果的参加は、今日の私たちの選択にかかっている。私たちは、ろう児の多言語的言語獲得に関する調査研究に加えて、国連障害者権利条約がろう児教育における手話言語の奨励と推進、ろう者のスキル・経験・知識の開発のために採用している肯定的かつ積極的なアプローチを説明した。
WFDは、ろう児の家族が手話言語を学ぶための政府による支援方策を併用した、質の高い多言語的アプローチを強く主張する。実は、上手く機能するろう教育のモデルはいくつもある。ろうの教師や手話で指導する教師のいるろう学校、手話を用いるかなりの数のろう児を受け入れ可能なリソースを有する一般校、幼児期に集中的に手話に触れる環境や保育園、各クラスにろうの生徒と聞こえる生徒が半分ずつ在籍する共同入学プログラム等。世界中にある国レベルのろう協会は、政府が自国のろう教育を改革するために役立つ貴重な資産である。世界の多くの国々で、ろう教育や手話指導にろう者が関わっている。その人たちの経験は、政策立案者や教育者にとって貴重である。どのような多言語使用モデルが発達しようと、ろう者の経験を伝えること、ろう児教育にろう者が積極的に参加できるようアクセシブルな道を開いていることが重要である。ろう者が、能力ある教師、保育士、学校管理職になり、ろう児の家族に向けた手話言語による研修を実施する機会をもつようになるべきである。
本書で報告した調査研究は、質の高い教育体制の中で多言語的に教育されたろう児は、学業的に成功し、活発な市民に成長して完全な社会の一員になる可能性がもっとも高いことを示している。自分たちの文化的及び言語的アイデンティティが助長・尊重され、自分たちの経験と選択の多様性が尊重され、自分たちの言語的・学業的・社会的および長期の経済的成果が最大になるような教育制度をろう者が選択することを拒否してはならない。手話言語や多言語使用に早期に接触することは、手話言語に対する家族の強い支持と併用して、ろう児が将来、社会に効果的に参加するための最善の準備となる。これが、教育上の選択における平等と非差別であり、ろうの学習者や彼らのニーズ、権利、優先権を完全にインクルーシブする教育を可能にするのである。
謝辞
この方針説明書は次の者が執筆した:Dr Joseph J. Murray (ギャローデット大学ASL とろう者学准教授 および WFD副理事長), Mr Kaj Kraus (ギャローデット大学ASL とろう者学の大学院生), Ms Elena Down (WFD人権担当), Dr Robert Adam (ロンドン大学UCL ろう認知研究センター専門家継続教育ディレクター), Dr Kristin Snoddon (カナダCarlton University 応用言語学助教)、Dr Donna Jo Napoli (Swarthmore College言語学教授).
WFDより、この方針説明書に詳細な意見を寄せたWFD手話言語・ろう者学専門家グループの共同コーディネーターDr Robert AdamならびにWFDろう教育専門家グループの共同コーディネーターDr Kristin Snoddon、およびそれぞれの専門家グループのメンバーにお礼を申し上げる。
この方針説明書で引用されている研究は、ギャローデット大学のthe Center for Visual Language and Visual Learning (VL2)の事業を利用したものである。VL2は、英語と中国語で一連の研究概要を発表している。次のURLでアクセスできる。: http://vl2.gallaudet.edu/research/research-briefs/
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世界ろう連盟について
世界ろう連盟 (WFD) は、世界で約7000万人いるろう者の人権を代表し推進する国際的な非政府組織です。WFD に132か国のろう団体の連盟であり、ろう者の人権に加えて、自己決定、手話言語、教育、雇用、共同体生活などあらゆる生活領域にへの完全かつ質の高い平等なアクセスを推進することを使命としています。WFDは、国際連合の諮問的立場にあり国際障害同盟 (IDA)の創設メンバーであります。 (www.wfdeaf.org) Email: info@wfdeaf.fi
2016年9月7日WFD理事会はこの方針説明書を承認した。
Mr Colin Allen
世界ろう連盟理事長