自民党 難聴対策推進議員連盟 設立総会 開催



 2019年4月10日、衆議院第二議員会館にて「難聴対策推進議員連盟 設立総会」が開催され、全日本ろうあ連盟より久松事務局長、小出理事、倉野理事が出席しました。
 役員人事が承認された後、難聴児を持つ親からの体験・意見発表、海外の難聴医療の状況報告、厚生労働省からの新生児聴覚検査の実施状況等の報告がなされ、意見交換が行われました。
 連盟からは、全日本ろうあ連盟の若い会員の中には補聴器をしている人が多い、また人工内耳をしている会員もいる。全日本ろうあ連盟は、耳の聞こえない人々すべてにやさしい組織であり、誰一人も排除することを考えていない。
 日本にはろうの医者や弁護士が何人かいるが、その彼らもコミュニケーションの壁に苦しんでいる。
 全ての聞こえない人が排除されない、情報アクセシビリテイな社会をつくるために全日本ろうあ連盟は努力しているので、ご支援をお願いしたい、と意見を述べました。

難聴対策推進議員連盟に提出した要望書

連本第190021号
2019年4月10日

自由民主党
難聴対策推進議員連盟
会長  石原 伸晃 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

要望書

 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 聞こえない・聞こえにくい(以下、「聞こえない」)子どもたちが手話言語による教育を受ける権利の保障に関して、我が国では2014年に「障害者権利条約」を批准し、2016年4月には障害者差別解消法が施行、障害者を取り巻く環境は一歩前進しましたが、聞こえない子どもを取り巻く現場では課題があります。
 聞こえない子どもたちのために、より一層の課題改善に取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

1.「社会モデル」にたった社会制度・支援体制の確立を
 聞こえないことに起因する様々な障壁は、社会の環境整備が不十分であることによって引き起こされます。障壁をなくすためには、「医療モデル」の視点ではなく、障害者権利条約の基本的な考え方である「社会モデル」の視点での情報アクセシビリティとコミュニケーション保障の施策と支援体制の確立が必要です。
 例えば、手話言語条例を制定した県では、幼少期から手話言語を正しく学ぶことで思考力の発達に良い影響があるということで、0歳から対象となる乳幼児向けの手話教室を開催しています。
 医療やハードの面だけでなく、政策面から手話言語を学び、手話言語で教科を学ぶ環境を整備してください。

2.聞こえない子どもたちの言語獲得を保障する支援体制を
 聞こえない子どもたちは視覚的言語である手話言語に乳幼児期から接し、母語として手話言語を獲得することで、聞こえる子どもと同等の言語発達とアイデンティティの確立が見込まれます。
 「人工内耳を装用することで自然に音声言語が習得できる」という説明は誤解であり、実際には補聴器等の聴覚補償機器と同じように継続的なリハビリ訓練や支援が必要です。また、人工内耳により、聞こえる人と100%同じ聞こえが得られることはありません。
 聞こえない子どもには、視覚的な方法での保障が不可欠であり、手話言語を習得することは有益であることを保護者が理解できるように、医療、療育、教育、福祉、行政などが連携し、人工内耳や補聴器等の聴覚補償機器に関わる情報と手話言語に関わる情報の両方を保護者に提供し、支援する体制づくりを進めてください。あわせて、聞こえない子どもの家族が手話言語を学ぶための支援に関する具体的な取り組みを行ってください。

以上

総会の様子
左から 顧問の山東昭子参議院議員、会長に就任した石原伸晃衆議院議員、
会長代行の上川陽子衆議院議員、幹事長の大塚拓衆議院議員

総会の様子
議事を聞く連盟理事 右から倉野理事、小出理事、久松局長