人事院へ国家公務員障害者選考試験についての緊急要望を提出



 2018年11月6日、人事院へ「国家公務員障害者選考試験についての緊急要望」を提出致しました。

連本第180451号
2018年11月6日

人事院
総裁 一宮 なほみ  様 

〒162-0802 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

国家公務員障害者選考試験についての緊急要望

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、人事院から「国家公務員障害者選考試験」の概要が発表されました。それによりますと、今年末12月3~14日の受験申込期間を経て、2019年2月3日に第一次選考が全国で9か所、第2次選考が各府省の採用予定機関で実施されることになっています。
 一方で、財務省や国税庁が障害者向けに行った非常勤職員の求人の応募資格に「自力で通勤できる」「介護者なしで業務を遂行できる」などの障害者にとって不適切な表現があり、後日これを削除する事態が起きました。これは多くの都道府県が採用試験の受験資格として「介助者なしで業務を遂行できる」ことを求めるのと同様に障害者差別解消法及び障害者雇用促進法において規定される差別行為に該当する可能性が大きく、都道府県のこうした差別的取り扱いに関して、日本聴覚障害公務員会が2018年9月3日付で総務省宛に要望書を提出し、早急の撤廃を求めているところです。なぜならば、こうした条件を設けることは、手話通訳者や要約筆記者等の情報保障者を求める聴覚障害者の受験機会を実質的に奪うものとなるからです。
 また、聴覚障害者の採用試験受験時における情報保障手段につきまして、耳が聞こえなくなった原因、環境によって本人が望む意思疎通手段は様々です。こうしたことに関し、「国家公務員障害者選考試験」において、適切な配慮を行っていただきたく、下記の通り要望いたします。

1.聴覚障害をもつ受験者に対して本人が望む合理的配慮を提供することを第1次選考の実施者への周知を徹底すること。

<説明>
 「国家公務員障害者選考試験」の概要によれば、受験上の配慮で試験官が「試験官の発言事項を書面で伝達することができる」旨とされています。これは「できない場合がある」こともあるのではないかと不安を抱かされます。また試験前に文面伝達を行なわれる場合でも、口頭説明などが行わることも想定される場合、必ず手話通訳、要約筆記など聴覚障害をもつ本人が望む意思疎通支援者を配置することを求めます。こうした配慮は試験における公平性の確保を意味します。

2.第2次選考で各省庁の採用予定機関が行なう個別面接等で、聴覚障害をもつ受験者に対して本人が望む合理的配慮を提供すること。

<説明>
 面接時に手話通訳、要約筆記など聴覚障害をもつ本人が望む意思疎通支援者を配置すること。

3.聴覚に障害があることについて、採用決定上の不利な判断材料としないこと

<説明>
 聴覚に障害があること、また、手話通訳者などの介助者の配置が難しいことを、採否の判断において本人にとって不利に扱うケースが地方自治体および民間企業における採用試験においてたびたび見られます。各省庁における採用判断においては、そのような差別的取り扱いをすることなく、本人の聴覚に関わらない本質的な業務遂行能力及び試験の得点のみに基づいて対応することを求めます。
 なお、地方自治体および民間企業の採用試験において本人の求める合理的配慮を実施するところ、また公的資格試験および民間資格試験においても本人の求める合理的配慮を提供して努力されているところが多々あります。各省庁においても受験者が望む場合は率先して意思相通支援者を配置するよう各省庁が地方自治体および民間企業の模範とされることを強く求めます。

以上