平成30年北海道胆振東部地震:気象庁、NHK、民放連へ聴覚障害者への情報保障について緊急要望を提出



 2018年9月6日(木)3時8分、北海道胆振(いぶり)地方中東部で最大震度7の地震が発生しました。この報道に関して、気象庁、NHK、民放連へ、聴覚障害者への情報保障に関する緊急要望を提出しました。

連本第180347号
2018年9月6日

気象庁長官
  橋田 俊彦 様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

緊急記者会見での
聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報提供等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、貴庁より、平成30年9月6日3時8分に北海道胆振地方中東部で発生した最大震度6強の地震について関連情報が発信されておりますが、多くの聴覚障害者が正しい情報を入手し、命を守り安全に過ごせるようにすることが重要です。しかし、貴庁は公共機関としての使命を果たさなければならない立場でありながら、その使命を未だ果たしておりません。極めて遺憾に思います。貴庁に本来の使命を果たしていただきたく、私たちは下記の通り要望いたします。
 なお本件につきましては、昨年より要望、意見交換をさせていただいておりますが、貴庁のお考えをご回答いただきたくお願いいたします。

1.地震、特別警報をはじめとした気象庁が行う記者会見、報道発表においては、「手話通訳者」を必ず付けてください。
<説明>

・災害時にはテレビ等で報道される気象庁の記者会見が正確かつ重要な情報源になります。貴庁の定例記者会見、緊急記者会見、報道発表においては、手話通訳をつけて会見・発表をしていただき、それがテレビ画面に入り報道されることで、手話を使う聴覚障害者にも情報が伝わるようになります。

・「気象庁における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」(気象庁訓令第 14 号)が平成 27 年 12 月2日に 制定されており、その第3条においては

(合理的配慮の提供)
第3条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。

と定められております。
手話通訳のない現在の状況は、合理的な配慮を行っているとは言えず、障害者差別解消法に抵触するものと考えます。
 つきましては定例記者会見、緊急記者会見、報道発表においては、手話通訳をつけて行っていただけますよう、ご手配の程お願いいたします。

※参考 アメリカのフロリダ州リック・スコット知事によるハリケーン「イルマ」の緊急会見風景の動画を3点紹介します。いずれもテレビの画面に手話通訳者が配置される立ち位置になっています。
   https://youtu.be/wGWtTRYSleU
   https://youtu.be/mQG7KFflYqg
   https://youtu.be/5inlHGIlxEc

緊急会見風景
緊急会見風景 緊急会見風景

以 上

連本第180348号
2018年9月6日

日本放送協会
  会長 上田 良一 様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

「北海道胆振地方中東部地震(震度6強)」に関する
聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、平成30年9月6日3時8分に北海道胆振地方中東部で発生した最大震度6強の地震に関しては、現状も余震等予断を許さないところですが、発災時の報道より「手話」による放送がなされておらず、聴覚障害者は正しい情報を入手できておりません。
 現在被災地では停電が続き、最大の情報源であるテレビからの情報も取れない中、被災地の方々はインターネット等で発信される動画などで情報を得ることもあります。しかし、手話が付かないキー局等の情報は、聴覚障害者にとっては正しい情報を迅速に得ることになりません。多くの聴覚障害者がきこえる人と同様、同時に正しい情報を入手し、命を守り安全に過ごせるよう、また今後の生活再建も踏まえた情報を得るためにも「手話」や「手話通訳」付きの放送(以下、手話放送)をお願いいたします。
 万が一の事態が起こっても聴覚障害者は情報が得られずに対応が遅れてしまい、命を失う危険にいつも直面しております。災害時には被災地における住民、そして被災地を見守る国民にとって、公共放送による迅速にして正確な情報提供はもっとも大切な情報源になります。
 当連盟は、これまでに災害が起こるたびに字幕と手話の付与をお願いしてきました。字幕放送につきましては6時30分に字幕が付与されましたが、それまでは字幕がなく聞こえない私たちは大変苦しみました。手話放送につきましては依然として進展が見られず残念でなりません。
 貴協会が公共放送としての使命を果たされるよう、下記の通り強く要望いたします。
 なお本件につきましては、これまでも要望をさせていただいておりますが、貴協会のお考えをご回答いただきたくお願いいたします。

1.特別警報をはじめとした緊急災害放送には、ローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳と字幕」を必ず付与してください。
<説明>

・緊急災害時には居住地の様子を放映するローカル番組こそ、重要な情報源です。緊急災害の場合はローカル番組においても「手話通訳と字幕」を付与してください。

・聴覚障害者向けの「手話ニュース」を緊急放送し、緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して放送して下さい。

・放送法第7条(日本放送協会定款第3条)には「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、且つ、良い放送番組による国内放送を行い・・・」とあります。
「公共の福祉のために、あまねく」と貴協会が謳われているように、「公共放送」ということを強く認識いただき、「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう、速やかに対応してくださいますようお願いいたします。

※参考 アメリカのフロリダ州リック・スコット知事によるハリケーン「イルマ」の緊急会見風景の動画を3点紹介します。いずれもテレビの画面に手話通訳者が配置される立ち位置になっています。
   https://youtu.be/wGWtTRYSleU
   https://youtu.be/mQG7KFflYqg
   https://youtu.be/5inlHGIlxEc

緊急会見風景
緊急会見風景 緊急会見風景

以 上

連本第180349号
2018年9月6日

一般社団法人 日本民間放送連盟
 会長 大久保好男様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

「北海道胆振地方中東部地震(震度6強)」に関する
聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、平成30年9月6日3時8分に北海道胆振地方中東部で発生した最大震度6強の地震に関しては、現状も余震等予断を許さないところですが、発災時の報道より「手話」による放送がなされておらず、聴覚障害者は正しい情報を入手できておりません。
 現在被災地では停電が続き、最大の情報源であるテレビからの情報も取れない中、被災地の方々はインターネット等で発信される動画などで情報を得ることもあります。しかし、手話や字幕が付かないキー局の情報は、聴覚障害者にとっては正しい情報を迅速に得ることになりません。多くの聴覚障害者がきこえる人と同様、同時に正しい情報を入手し、命を守り安全に過ごせるよう、また今後の生活再建も踏まえた情報を得るためにも「手話」や「手話通訳」付きの放送(以下、手話放送)をお願いいたします。
 万が一の事態が起こっても聴覚障害者は情報が得られずに対応が遅れてしまい、命を失う危険にいつも直面しております。災害時には被災地における住民、そして被災地を見守る国民にとって、公共放送による迅速にして正確な情報提供はもっとも大切な情報源になります。
 当連盟は、これまでに災害が起こるたびに字幕と手話の付与をお願いしてきました。今回、いち早く字幕を付与したキー局もあり、今後も引き続き、他の局も含めより迅速な対応をお願いしたいと思います。しかし手話放送につきましては改善されておらず残念でなりません。
 基幹放送(民放)事業者各位が放送事業者としての使命を果たされるよう下記の通り強く要望いたします。
 なお本件につきましては、これまでも要望をさせていただいておりますが、貴連盟のお考えをご回答いただきたくお願いいたします。

1.緊急災害時におけるローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳と字幕」の付与を行ってください。また、手話通訳がつく記者会見は必ず手話通訳が見切れることのないようにして下さい。
<説明>
 緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して「手話放送」を実施して下さい。
 基幹放送(民放)事業者各位におかれましては、放送免許の更新にあたり、「基幹放送局の再免許等に当たっての要請」を総務省から受けとっておられると思います。
 その要請項目5では、「字幕放送、解説放送及び手話放送について、視聴覚障害者、高齢者に十分配慮し、総務省が策定した「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を達成するよう努めること。特にできる限り全ての大規模災害等緊急時放送における字幕放送の実施及びCMへの字幕付与の普及に留意すること。」とされています。
 いうまでもなく、放送には「公共性」が問われますが、この「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう速やかに対応してくださいますようお願いいたします。

※参考 アメリカのフロリダ州リック・スコット知事によるハリケーン「イルマ」の緊急会見風景の動画を3点紹介します。いずれもテレビの画面に手話通訳者が配置される立ち位置になっています。
   https://youtu.be/wGWtTRYSleU
   https://youtu.be/mQG7KFflYqg
   https://youtu.be/5inlHGIlxEc

緊急会見風景
緊急会見風景 緊急会見風景

以 上