台風20号:内閣府、気象庁、NHK、民放連へ聴覚障害者への情報保障について緊急要望を提出



 強い台風20号は、23日夜には強い勢力を保ったまま四国、中国、近畿にかけてかなり接近して上陸する見込みです。気象庁では「さらに台風20号の接近、通過に伴って、非常に激しい雨や猛烈な雨が降り、四国や紀伊半島を中心に総雨量が1000ミリを超える恐れがあり、めったにない大雨となる可能性がる」とのことです。
 これを受けて、中央本部では、内閣府、気象庁、NHK、民放連に対して今回の台風20号に関する報道、記者発表について緊急要望を提出いたしました。
 ここのところ猛暑や災害が続きますが、まずは皆様の安全を願っております。

連本第180318号
2018年8月23日

気象庁長官
  橋田 俊彦 様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

定例記者会見、緊急記者会見での
聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報提供等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、気象庁より平成30年台風第20号の関連情報について、発信されておりますが、多くの聴覚障害者が正しい情報を入手し安全に過ごせるよう、下記の通り、ご配慮いただけますようお願い申し上げます。

1.気象庁が行う定例記者会見、緊急記者会見、報道発表においては、「手話通訳者」を必ず付けてください。
<説明>

・災害時にはテレビ等で報道される気象庁の記者会見が正確かつ重要な情報源になります。貴庁の定例記者会見、緊急記者会見、報道発表においては、手話通訳をつけて会見・発表をしていただき、それがテレビ画面に入り報道されることで、手話を使う聴覚障害者にも情報が伝わるようになります。

・「気象庁における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」(気象庁訓令第 14 号)が平成 27 年 12 月2日に 制定されており、その第3条においては

(合理的配慮の提供)
第3条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。

と定められております。
 手話通訳のない現在の状況は、合理的な配慮を行っているとは言えず、障害者差別解消法 に抵触するものと考えます。
 つきましては定例記者会見、緊急記者会見、報道発表においては、手話通訳をつけて行っていただけますよう、ご手配の程お願いいたします。

以 上

連本第180319号
2018年8月23日

日本放送協会
  会長 上田 良一 様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

平成30年台風第20号の関連情報に関する
聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、平成30年台風第20号の関連情報については、聴覚障害者が正しい情報を入手するためにも、「手話」もしくは「手話通訳つき」の放送(以下、手話放送)をしていただけますようお願いいたします。
 2011年3月11日に発生した東日本大震災では緊急災害放送等に「手話・字幕」がつかなかったため、多くの聴覚障害者が正しい情報を入手することができず、当連盟では緊急災害放送には「手話・字幕」の付加を義務化するよう求めてきました。その後、貴協会で様々な取り組みを進められ、とりわけ字幕については生字幕やローカル番組への字幕付与など体制の強化を進めていただいている旨、伺っております。この取り組みは、聞こえない我々の命を守り、不安を軽減につながることですので、引き続き強化改善をお願い申し上げます。
 しかしながら、手話放送については、進展がみられません。私たちは「手話ニュース」や「ハートネットTV」などの定時番組での対応だけではなく、災害や緊急事態が発生したときの字幕付与と同じタイミングで手話による放送を求めています。常時、手話通訳や手話のできるキャスターを待機させる体制を敷くことは困難なことは承知しておりますが、手話を必要としている聴覚障害者が数多くおりますので、字幕放送において生字幕などの実現に向けての取り組みと同様に、手話放送についても取り組みをお願いするものです。
 また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)において、「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をする」とされております。是非とも緊急の手話放送の実現に向け、合理的な配慮の観点からもご検討いただけますようお願いいたします。
 熊本地震被災者へのアンケートで、「役にたった情報」は「テレビ」が最も多く、72.6%、情報取得手段についてもトップが「テレビ」の70%でした。(熊本地震聴覚障害者救援活動報告書より) 貴協会の災害、緊急事態の放送は、聴覚障害者にとっても非常に重要な情報となっております。
 公共放送の担い手である貴協会へ、下記の通り強く要望いたします。

1.特別警報をはじめとした緊急災害放送には、ローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳と字幕」を必ず付与してください。
<説明>

・緊急災害時には居住地の様子を放映するローカル番組こそ、重要な情報源です。緊急災害の場合はローカル番組においても「手話通訳と字幕」を付与してください。

・聴覚障害者向けの「手話ニュース」を緊急放送し、緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して放送して下さい。

・放送法第7条(日本放送協会定款第3条)には「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、且つ、良い放送番組による国内放送を行い・・・」とあります。
「公共の福祉のために、あまねく」と貴協会が謳われているように、「公共放送」ということを強く認識いただき、「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう、速やかに対応してくださいますようお願いいたします。

2.緊急災害時には、認定NPO法人障害者放送通信機構に対し、ローカル番組を含むニュース・その他の必要な情報を、速やかに提供してください。
<説明>

 認定NPO法人障害者放送通信機構が放送している「目で聴くテレビ」では、災害時には緊急災害放送を実施しています。
 貴協会より災害情報を提供いただくことで、聴覚障害者や聴覚障害者情報提供施設等では「目で聴くテレビ」により、「手話と字幕」付で貴協会の一般視聴者と等しく情報を得ることができます。

以 上

連本第180320号
2018年8月23日

一般社団法人 日本民間放送連盟
 会長 大久保 好男 様

〒162-0801 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

平成30年台風第20号の関連情報に関する
聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、平成30年台風第20号の関連情報については、聴覚障害者が正しい情報を入手するためにも、「手話」もしくは「手話通訳つき」の放送をしていただけますようお願いいたします。
 2011年3月11日に発生した東日本大震災では緊急災害放送等に「手話・字幕」がつかなかったため、多くの聴覚障害者が正しい情報を入手することができず、当連盟では緊急災害放送には「手話・字幕」の付加を義務化するよう求めてきました。その後、基幹放送(民放)事業者各位で様々な取り組みを進められ、とりわけ字幕については生字幕やローカル番組への字幕付与など体制の強化を進められていると伺っております。この取り組みは、聞こえない我々の命を守り、不安を軽減につながることですので、引き続き強化改善をお願い申し上げます。
 しかしながら、手話放送については、進展がみられません。常時、手話通訳や手話のできるキャスターを待機させる体制を敷くことは困難なことは承知しておりますが、手話を必要としている聴覚障害者が数多くおりますので、字幕放送において生字幕などの実現に向けての取り組みと同様に、手話放送についても取り組みをお願いするものです。
 また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)において、「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をする」とされております。是非とも緊急の手話放送の実現に向け、合理的な配慮の観点からもご検討いただけますようお願いいたします。
 熊本地震被災者へのアンケートで、「役にたった情報」は「テレビ」が最も多く、72.6%、情報取得手段についてもトップが「テレビ」の70%でした。(熊本地震聴覚障害者救援活動報告書より)災害、緊急のテレビ放送は、聴覚障害者にとっても必要不可欠な情報となっており基幹放送(民放)事業者各位が放送事業者として我々聴覚障害者にとっても見やすい放送をしていただきたく下記の通り要望いたします。

1.緊急災害時におけるローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳」の付与を行ってください。また、手話通訳がつく記者会見は必ず手話通訳が見切れることのないようにして下さい。

<説明>
 緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して「手話放送」を実施して下さい。
 基幹放送(民放)事業者各位におかれましては、放送免許の更新にあたり、「基幹放送局の再免許等に当たっての要請」を総務省から受けとっておられると思います。
 その要請項目5では、「字幕放送、解説放送及び手話放送について、視聴覚障害者、高齢者に十分配慮し、総務省が策定した「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を達成するよう努めること。特にできる限り全ての大規模災害等緊急時放送における字幕放送の実施及びCMへの字幕付与の普及に留意すること。」とされています。
 
 いうまでもなく、放送には「公共性」が問われますが、この「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう、対応してくださいますようお願いいたします。

以 上