自民党へ「2018年4月からの障害福祉サービスの報酬改定」について要望書を提出



 2017年11月14日(火)、自由民主党政務調査会障害児者問題調査会の会合が開かれ、全日本ろうあ連盟から石野理事長、吉野理事が出席し、「2018年4月からの障害福祉サービスの報酬改定」について要望を行いました。

 計11の障害者団体の出席がありました。

出席:
・全日本ろうあ連盟/石野理事長、吉野理事
・自民党の障害児者問題調査会会長…衛藤晟一議員(参…大分)

衛藤晟一議員
衛藤晟一議員
 
石野理事長
石野理事長
 
吉野理事
吉野理事

連本第170503号
2017年11月14日

自由民主党政務調査会
 障害児者問題調査会長 衛藤晟一様

一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策に関する要望について
(2018年4月からの障害福祉サービスの報酬改定について)

 時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素より聴覚障害者福祉の向上にご理解、ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、我が国は「障害者権利条約」批准に向けての国内法整備の一環として「障害者差別解消法」を制定し、1年半が経過しました。障害者を取り巻く環境は一歩前進しましたが、聴覚障害者にとっては手話通訳・要約筆記等を含めた情報アクセスやコミュニケーション支援が不可欠です。
 その中で、今般の障害福祉サービスの報酬改定は、聴覚障害者情報提供施設、ろう重複障害者、ろう高齢者等の聴覚障害者福祉の経営を圧迫する内容となっており、以下のとおり強く要望するものであります。

1.視覚・聴覚言語障害者支援体制加算について

①視覚・聴覚言語障害者支援体制加算を維持してください。
(理由)
 ろう重複障害者の専門施設は49施設しかありません。国保連の平成28年12月データによると視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の取得率は低い数字となっていますが、全国ろう重複障害者施設連絡協議会の平成29年度基礎データ調査によると、協議会に加盟している事業所の90.4%が視覚・聴覚言語障害者支援体制加算を算定しており、高い取得率となっています(※参考資料1)。この差異が生じているのは、国保連がろう重複障害者等の人口ではなく、国民全体の人口で取得率を算出していることが理由として考えられます。
 また、ろう重複障害者のコミュニケーション手段や言語獲得の状況は個別性が強く、より質の高いサービスを提供していくためには、手話言語を含む様々なコミュニケーションや聴覚障害についての専門性を有する支援者の体制を整えることが不可欠です。これまで通り、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の維持を強く求めます。

②児童福祉法の障害児通所支援(児童発達・放課後等デイサービス)に「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」を適用してください。
(理由)
 全国の特別支援学校の在学者数は単一障害学級の聴覚障害が5,218人、重複障害学級の聴覚障害が3,351人、合計8,569人(文部科学省平成26年度特別支援教育資料)、その中で、聴覚障害児・ろう重複障害児の専門施設は13施設と少しずつ増えてきています。
 現在、成人のろう重複障害者等が利用する日中サービスや施設入所、共同生活援助について、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算が適用されていますが、児童発達支援及び放課後等デイサービスについては適用されていません。
 今後も聴覚障害児やろう重複障害児のための放課後等デイサービスや児童発達支援の利用ニーズが高まることが予想されます。その為にも、手話言語を含む様々なコミュニケーションや聴覚障害についての専門性を有する職員を配置している児童発達支援及び放課後等デイサービスの事業所に対して、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の適用を強く求めます。

2.食事提供体制加算について、経過措置の打ち切りをやめ、これからも加算を継続してください。
(理由)
 全国ろう重複障害者施設連絡協議会の平成29年度基礎データ調査によると、日中活動サービスの中で食事提供体制加算を算定している事業所は54.5%となっています。
 利用者の健康維持増進の為にも、食事面での栄養バランスなどを支援する食事提供体制加算の継続を強く求めます。

(参考資料1)

以上