警察庁へ聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出



 2016年10月21日(金)、全日本ろうあ連盟情報・コミュニケーション委員会は、警察庁へ聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出し、意見交換を行いました。

連本第160446号
2016年10月21日

警察庁 長官
 坂口 正芳 様

東京都新宿区山吹町130 SK ビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、本年6月12日徳島県徳島市において開催された第64回全国ろうあ者大会にて、聴覚障害者の福祉施策に関する大会決議を行ないました。つきましては下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。
 なお我が国は、「障害者基本法」の改正を経て、「障害者差別解消法」を制定し、これにより、合理的配慮の提供義務を含めた障害のある方の権利を保障するための国内法が整備され、「障害者権利条約」を批准しました。
 障害者を取り巻く環境は一歩前進しましたが、合理的配慮の具体例として人的支援でもある「手話通訳・要約筆記」の記載がほとんど見られません。
 今後、合理的配慮の事例を積み重ねていき、より一層の基礎的環境整備を講じていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

1.緊急自動車の警光灯に緊急走行か、それ以外の走行か、が聴覚障害者にもわかるような表示を義務付けてください。
<説明>
 パトカーをはじめとする緊急自動車は、警光灯の点灯・回転が緊急時も緊急時以外でも同じである場合があり、聴覚障害者の場合はサイレンの音が聞こえず、緊急走行か、そうでないか、が判断できません。
 聴覚障害者も、緊急自動車が緊急走行をしているかどうかを判断できるような警光灯の表示もしくはそれに代わる視覚的な表示を義務付けてください。

2.全国の全て警察署等において手話で対応ができるように手話普及とともに手話講座を実施してください。

<説明>聴覚障害者が免許更新や拾得物届け出、交通事故での事情聴取などの際に、筆談、口話などで対応していただくケースがありますが、手話通訳者の派遣がないことで、意思疎通・コミュニケーションがうまくいかない例が多く聞かれます。
 本年4月に障害者差別解消法が施行され、聴覚障害者への合理的配慮の提供が義務となっております。警察庁におかれましても対応要領等で聴覚障害者とのコミュニケーション方法の合理的配慮が明記されていますが、聴覚障害者にはさまざまなコミュニケーション方法があること、また手話について正しく理解し身に付け、直接手話で会話をすることで対応できないときは、直ちに資格をもった手話通訳者の派遣を依頼する等、聴覚障害者や手話についての正しい理解と対応が不可欠となります。ついては法に基づき、聴覚障害者も安心して警察機関を利用し、警察官とコミュニケーションが取れるように、聴覚障害者や手話に関する講座を実施してくださいますようお願いします。

3.無人体制の交番・警察署に、聴覚障害者が安心して利用できるように指導をお願いします。

<説明>警察官が巡回中の交番や休日の警察署は無人になることがあります。その際には電話で警察官を呼び出す必要がありますが、聴覚障害者は電話ができず、呼び出したり話したりことができません。
 交番や警察署において無人になる場合は、聴覚障害者も呼び出しや話ができるようにテレビ電話や遠隔手話通訳といった通信装置などを設置するよう指導をお願いします。

以 上