自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟に「手話言語法 早期制定に関する要望書」を提出



 2016年10月5日(水)、自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟(以下、議連)の会合が開かれ、石野理事長、久松事務局長、石橋理事が出席し、要望書を提出しました。
 会合終了後、議連事務局長の盛山議員より、傍聴に参加された加盟団体役員や手話関係者に、今後の手話言語法の制定に向けた取り組みについてご説明いただきました。

要望書を提出 要望書を提出
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連本第160398号
2016年10月5日

自由民主党 ユニバーサル社会推進議員連盟
会長 石破 茂 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

「手話言語法」 早期制定に関する要望

 平素より聴覚障害者福祉の向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 今般、ユニバーサル社会推進議員連盟の会合にお招きいただきありがとうございます。
 ご承知のように2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中から障害の有無にかかわらず多くの人々が来日します。多種多様な人々と自由にコミュニケーションをし、「心のバリアフリー」によるおもてなしをもって迎えるよう、「世界に開かれた言語・コミュニケーション環境」の整備のために、下記の通り要望いたします。

早急に「手話言語法」の制定をすすめてください。

<説明>
 「障害者権利条約(以下、権利条約)※1」において「手話」が言語のひとつとして規定されたことを契機に、わが国では「障害者基本法(以下、基本法)※2」において、言語としての手話が明記されました。
 しかし、手話を「言語」として明記するだけにとどまらず、ろう者が手話を獲得することをはじめ、手話による情報獲得や手話によるコミュニケーションを保障する法律、「手話言語法」はまだありません。我々はこの「手話言語法」の制定に向けて、2010(平成22)年より6年に渡り、取り組んでまいりました。
 6年に渡る取り組みの結果、2016年3月3日に1,788ある全ての自治体の議会において「手話言語法制定を求める意見書」が採択され、全国市長会・全国都道府県議会議長会等においても「手話言語法」の制定を国に要望しています。
 この広がりを受けて各地で手話言語に関する条例を策定する動きも広がり、2016年7月現在、全国52の自治体で手話言語に関する条例が成立・施行しており、約15の自治体が条例を検討しております。また条例制定を機に、首長間のネットワーク化が進められ、6月8日「全国手話言語市区長会」が設立され、現在266の区市町が入会しています。また7月21日には「手話を広める知事の会」が設立され、現在36の道府県知事が会員となっています。
 諸外国においては、ニュージーランド、ハンガリー、ベルギーなどで手話言語を規定した法律を制定しており、アジアでは韓国が「韓国手話言語法」を制定し、2016年8月4日に施行されました。また、フィリピンでも国会において「手話言語法」を審議している状況です。

 ろう者が手話を用いて、聞こえる人と対等に社会参加をしていくためには、手話を「言語」として規定し、手話を獲得し手話で学べるようにするための環境整備、そして手話言語を研究・普及・保存していくことが必要になります。ろう者の「手話を獲得する」が保障された法律こそが「手話言語法」です。
 この「手話言語法」を一日でも早く制定されることを強く希望します。

※1:「障害者権利条約」第2条
「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう。

※2:「障害者基本法」 第3条
「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。

以 上