国土交通省へ聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出



 2016年9月21日(水)、全日本ろうあ連盟福祉・労働委員会は、国土交通省へ、聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出し、意見交換を行いました。

【写真左】
 左:国土交通省…総合政策局安心生活政策課/航空局航空ネットワーク部航空事業課
   /鉄道局鉄道サービス政策室/道路局高速道路課/自動車局旅客課/都市局街路交通施設課
 右:全日本ろうあ連盟 理事長 石野富志三郎
        〃   福祉・労働委員会 委員長 大竹浩司
        〃   福祉・労働委員会 副委員長 吉野幸代

国土交通省へ要望書を提出 国土交通省へ要望書を提出

連本第160404号
2016年9月21日

国土交通大臣
 石井 啓一  様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、本年6月12日徳島県徳島市において開催された第64回全国ろうあ者大会にて、聴覚障害者の福祉施策に関する大会決議を行ないました。つきましては、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。
 なお、我が国は、「障害者基本法」の改正を経て、「障害者差別解消法」を制定し、これにより、合理的配慮の提供義務を含めた、障害のある方の権利を保障するための国内法が整備され、「障害者権利条約」を批准しました。
 障害者を取り巻く環境は一歩前進しましたが、合理的配慮の具体例として人的支援でもある「手話通訳・要約筆記」の記載がほとんど見られません。今後、合理的配慮の事例を積み重ねていき、より一層の基礎的環境整備を講じていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

(航空局)

1.聴覚障害者の情報アクセス、コミュニケーション保障の観点から、音声による機内アナウンスや緊急時の放送だけでなく、音楽や映画などエンターテイメントなども楽しめるようにしてください。

<説明>
 ANAおよびJALなど国内における航空会社では、機内アナウンスや緊急時の放送に関する情報アクセシビリティは整備されつつあります。しかし、音楽や映画などエンターテイメントの映像は音声のみが多く、聞こえる人が無料貸出のイヤホンやヘッドホンで楽しめるのに対し、聴覚障害者は字幕がないため楽しむことができません。
 字幕や手話の映像を流すなど、あらゆる情報が視覚的に分かるよう、情報アクセシビリティの基礎的環境の整備について、国内便を有するすべての航空会社に働きかけてください。

(自動車局・総務課・鉄道局)

2.公共交通機関(駅・バス・高速道路等)やコインパーキングや無人駅や無人料金所におけるインターホンによる音声やり取りについて、聴覚障害者も安心して利用できる仕組みに改善してください。

<説明>
 利用者が少ない公共交通機関(駅・バス・高速道路等)やコインパーキング等において、自動券売機また精算機等が増加しつつありますが、これらの機械にトラブルが生じたとき、聴覚障害者はインターホンによる音声やり取りができません。
 また、無人駅の自動券売機で障害者割引適用の切符を買う際、インターホンによる音声やり取りで、カメラに障害者手帳をかざす方法になっているため、聴覚障害者は音声での対応ができません。
インターホンに代わる方法として、タッチパネルによる文字送信等を導入するなど、情報アクセシビリティの基礎的環境の整備について、関係会社に働きかけてください。

3.観光地や名所等において、音声による車内ガイダンスを聴覚障害者も楽しめるように改善してください。

<説明>
 電車が観光地や名所を通る時に、歴史や背景など、音声による車内ガイダンスがありますが、聴覚障害者は楽しむことができません。
 字幕や手話の映像を流すなど、あらゆる情報が視覚的に分かるよう、情報アクセシビリティの基礎的環境の整備について、すべての鉄道会社に働きかけてください。

以 上