厚生労働省へ聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出



 2016年9月21日(水)、全日本ろうあ連盟福祉・労働委員会は、厚生労働省へ、聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出し、意見交換を行いました。

【写真】左:全日本ろうあ連盟 理事長 石野富志三郎
           〃   福祉・労働委員会 委員長 大竹浩司
           〃   福祉・労働委員会 副委員長 吉野幸代
    右:厚生労働省年金局…事業管理課

厚生労働省へ要望書を提出

連本第160403号
2016年9月21日

厚生労働大臣
 塩崎 恭久  様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、本年6月12日徳島県徳島市において開催された第64回全国ろうあ者大会にて、聴覚障害者の福祉施策に関する大会決議を行ないました。つきましては、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。
 なお、我が国は、「障害者基本法」の改正を経て、「障害者差別解消法」を制定し、これにより、合理的配慮の提供義務を含めた、障害のある方の権利を保障するための国内法が整備され、「障害者権利条約」を批准しました。
 障害者を取り巻く環境は一歩前進しましたが、合理的配慮の具体例として人的支援でもある「手話通訳・要約筆記」の記載がほとんど見られません。今後、合理的配慮の事例を積み重ねていき、より一層の基礎的環境整備を講じていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

1.障害基礎年金に関して、下記の事項を要望します。

①身体障害者手帳交付申請と障害基礎年金受給申請における聴覚障害の認定基準を統一し、誰が見ても分かりやすいシステムとなるよう、対策を講じてください。

<説明>
 2015年度回答では、「制度」と「等級基準」の異なり、また「認定」と「主治医」の違いにより、全国一律、統一化は困難とのことですが、やはり申請者から見てもわかりやすい仕組みを強く望みます。(以下は2015年度を転記)
 聴覚障害の認定基準を決定するにあたって、身体障害者福祉法と国民年金法との違いにより、それぞれの等級が異なる等、申請者にとっては煩雑な仕組みとなっています。
 身体障害者福祉法と国民年金法のシステムを連動させ、身体障害者手帳交付申請用の「診断書」と障害基礎年金受給申請用の「診断書」の統一を図る等、誰が見ても分かりやすいシステムとなるよう、対策を講じてください。

②障害基礎年金の受給更新手続きにおける「再認定」の在り方を見直し、正確性及び公平性を持って認定がなされるよう、「永久認定」と「有期認定」の判断基準や47都道府県・市町村の対応の統一を図ってください。

<説明>
 2015年度回答では、ガイドラインの検討、また実態調査も検討する旨となっております。(以下は2015年度を転記)
 障害基礎年金は、指定医による障害の状態についての「診断書」を踏まえて、受給資格の有無、年金の等級が決定されることになっています。
 障害の状態についての認定には、「永久認定」と「有期認定」があり、次に障害基礎年金の受給更新手続きとなりますが、先天性あるいは幼少時から聴覚障害で障害の程度や状態が固定しており、今後も変動する見込みがないことが明らかであるにもかかわらず、「有期認定」とみなされ、数年に1回、指定医による「診断書」の提出を求められる「再認定」のケースが報告されています。
 当連盟で、この「再認定」のケースの有無について全都道府県の加盟団体にアンケートを実施したところ、12県(全体の25%)で、先天性あるいは幼少期からの聴覚障害であるにも関わらず「診断書」の提出を求められたケースがあることが分かりました。更に同じ「再認定」であっても、提出物に「診断書」が含まれる場合とそうでない場合が混在しており、47都道府県でも、対応方法が異なることが判明いたしました。
 乳幼児や突発性難聴・特発性難聴など進行性のある場合や等級4~6級の場合、「有期認定」とみなし、「再認定」が必要であることは十分理解しておりますが、等級2級のうち先天性あるいは幼少時からの聴覚障害は、障害の程度や状態が変動することはほぼ皆無に等しい状態であり、一定期間の「有期認定」後には「永久認定」とみなされるべきではないかと考えます。
 正確性及び公平性を持って認定がなされるよう、「永久認定」と「有期認定」の判断基準や47都道府県・市町村の対応を統一し、通達すると共に日本年金機構ホームページにもその基準を公開してください。

以 上